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辺境の地に追放された元隠キャ〜ハズレスキル【眼福】で覚醒したら精霊にも吸血鬼にも魔王にも狙われたけど美少女戦士たちとSSSSSSSSランクの幸福を極めました!!!!〜  作者: 夢間欧
第7章 SSSSSSS〜ここからは第2部って感じでムードをガラッと変えてハラハラドキドキな冒険をしようと思ってるから応援よろしくね〜
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第87話 正義か欲望か

 オオハシモドキのピヨちゃんが、金色に光り輝いていたのだ。


「ど、どうした? 何があった?」


 ザンギの死体に止まったまま、ピヨちゃんが僕を見て言った。


「覚醒、した」


「覚醒?」


「そう。悪と、戦うために、天に、喚ばれた。これから、天に、昇る」


「天に昇るだって? 天界に住むのか?」


「今まで、ありがとう。楽しかった。助けが、必要なときは、召喚してくれ。ガルーダとして、現れる」


「………」


 ピヨちゃんは飛んだ。


 空高く、どこまでも。


 やがて天に吸い込まれ、見えなくなった。


「ワテも覚醒した」


 ラブラドールレトリバーのラブちゃんを見ると、やはり星のように光っていた。


「ガルーダと同じや。召喚してくれれば、ガルムとして現れるで」


「待て、ラブちゃん。お前の夢は、飼い主のハジメを【復活】させることだったろ? それを叶えなくていいのか?」


「ハジメには会える。ガルーダが行ったのは天界やが、ワテが行くのは死人しびとの住む冥界やからな」


 ラブちゃんがそう言うと、地面に裂け目ができた。


「今までありがとな。楽しかったで」


 ラブちゃんは地の裂け目に吸い込まれて、見えなくなった。


 ジャックもセイラも寂しそうにそれを見つめた。


「宿命だな」


 そう言ったのは、オーガだった。


「俺たちは、巨大な悪と戦わねばならない。それに勝つためには、召喚獣の力が必要なんだ」


「わかったよ。旅を続けよう」


 僕は別れを吹っ切るように言って、ルイベを振り返った。


「ザンギをどうする? 埋葬するのか?」


「いいえ。私たちは常に移動するから、お墓はいらないの」


「埋めないなら、どうするんだ?」


「動物に食べてもらう。それが自然だから。ねえ、アリスター」


「何だい?」


「お父さんは死ぬときが来て死んだ。だからもういいの。それよりも、私が生きているあいだに抱いて」


「………」


「生きてる私を大事にして。愛してほしいの」


「悪いな。ハッキリ言おう。僕はセイラを愛している」


 セイラは何も言わなかった。


 ルイベは表情を変えずに言った。


「あなたは何人の女を愛してもいいのよ。私は何人目でも構わない。私はあなたもセイラも愛するわ」


「いや、僕はそうはいかない」


「ねえ、生きてるあいだに抱いて。あなたが好きなのよ」


 ルイベに腕をつかまれた。その手は怖ろしく熱かった。


「私と寝たら、あなたは覚醒するわ。獣のように強くなるわよ」


「離してくれ。僕はそういうことはしない」


「17歳だったわね、アリスター。このままだと、二十歳はたちまで生きられないわ。生き残るには、私と結ばれる必要があるのよ」


「例えそうでも、僕はきみとは寝ない」


「弱いままでいて、死んでもいいの?」


「そうだ」


 キッパリと言った。するとルイベが、


「仕方ないわね」


 と言い、空中で手を動かした。


 僕はビクッとした。


「な、何をきみは……」


「どうしたの?」


 セイラが心配そうに見てきた。


 僕は総毛立っていた。


 ルイベがゆっくりと手を動かす。


 そのたびに、感じるのだ。

 

 まるでルイベの手が直接触っているように……


「今すぐやめろ。でないと、パーティーから追放するぞ!」


「やめる? 本当にそうしてほしい?」


「当たり前だ! きみのしていることは許しがたい」


「そう? 今のはほんの遊びなのに。でももうやめるわ」


 ルイベは妖しく笑った。


「私が本気になったら、もっとできるのよ。あなたの頭の中に、私たちが絡み合っている映像を送ることも」


「僕に何かしたら、ここに置いていく。本気だぞ」


「ふーん。じゃあセイラにしてみるわ」


 ルイベがじっとセイラの顔を見据える。


 セイラの顔がこわばる。


 そして、苦悶の表情になりーー


「やめろ! セイラに何をした!」


「おバカさん。今のは苦しい顔じゃないのよ。何にも知らないのね、リーダーのアリスターさん」


「きみは何だ。呪術師か?」


「女よ」


 僕は迷った。


(この「女」を、仲間にしていいだろうか……)


【眼福】を発動させた。


 ルイベの良いところを拡大して視る。


「ほう……」


 いささか驚いた。


「ルイベ」


 僕は言った。


「きみには神性があるのか。しかも正義感が強い」


「そうよ。だから光属性の技を使えるの。牛や馬を襲うモンスターが現れたときは、たいてい私が追っ払ったわ」

 

「なるほど。光属性は、神性や正義の現われだからな。意外だった」


「光栄ね。好きな人にそんなに褒められると」


「欲望に負けて、せっかくの良い性質を腐らせないでほしい」


「ひどい人。普通、目の前で両親を殺されたばかりの女性には、もっと優しい言葉をかけるものよ」


 ルイベはそう言うと、僕に腕を絡めてきた。


「人は孤独じゃ生きられないもの。でしょ?」


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