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辺境の地に追放された元隠キャ〜ハズレスキル【眼福】で覚醒したら精霊にも吸血鬼にも魔王にも狙われたけど美少女戦士たちとSSSSSSSSランクの幸福を極めました!!!!〜  作者: 夢間欧
第5章 SSSSS〜転生してゲームの世界に来たのは嬉しいけど冒険が忙しくてゲームをする時間がなくなったのは何かちょっと寂しいのです〜
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第60話 異世界オリンピック

「あのー」


 と、突然後ろから声をかけてきたのは、ボスを倒せばやってくる例のボッタクリ妖精、情報屋のドングリおじさんだった。


「どーも神出鬼没でスミマセン」


「そんなことはどーでもいいけど、また金をむしりに来たんだろ?」


「エヘヘ、こりゃまたどーも人聞きの悪い。このたびは、1万ポイントゲットおめでとうございます」


「なんだ、1千万ポイントじゃないのか。ぷよの得点とステージクリアの得点は別物なんだな」


「さっきはよござんしたね。ヒロインのお嬢さんと肌をお合わせになって」


「肌をお合わせって、妖精のくせに嫌らしい言い方をするんじゃないよ」


「気持ちよござんしたでしょ?」


「だったら何だ! お前に関係ないだろ!」


「あ、良かったんだ。妹みたいに思ってるはずの、15歳の女子の感触が」


「声が大きいぞ、黙れ!」


「旦那に教えてあげましょうか? あのお嬢さんが、旦那のことをどう思ってるか」


「旦那旦那言うけど、僕だってまだ17だぞ」


「この情報は、特別に100ptでご提供させていただきますよ」


「金をとるのか?」


「ヒロインの本音、知りたくありません?」


「そりゃあ、まあ……」


「わかりました、今回だけ、特典として、絶対に焦げつかない鍋も無料でお付けします」


「実演販売かよ!」


「さあさあ、耳をお貸しなさい。その前に100pt……あ、どーもあざーす!」


「早く教えろ!」


「ヒソヒソ、お嬢さんはですね、旦那のこと、好きでござんすよ」


「……マジで?」


「誘ったら、タダでゲットできますよ」


「変なことを言うな! そういうつもりはない。まだ」


「でもさっき旦那に抱かれたことで、あのスケは開花されちまってやすよ」


「嘘つけ! セイラはそんな子じゃない!」


「開発されたがってやすよ」


「開発って何だよ。意味わかんない」


「知ってるでしょ?」


「知らないよ。何だ?」


「いずれ辺境の地へ行って、そこを開発する予定でやんしょ? そういうことでやんすよ」


「全然わかんないな」


「しかし旦那、追放された割には、彼女もできて充実ライフを送ってやすね。どうです、【眼福】のほうは磨いてやすか?」


「なんかいちいち、絡むような言い方をするな。そんなことより、次のステージの情報を売れよ」


「1万ptですけど、買いやすか?」


「買うよ。クリアのためだ」


「まいどあり〜」


 胸がムカムカしたが、情報のあるなしは死活問題だったので、グッとこらえた。


「今回お売りする情報は、文章ではございません。こちらの品となっております」


 と、情報屋が空中から取り出したのは、長さ30センチくらいの定規だった。


「何? 定規がどうした?」


「これがクリアの鍵です。どうぞお納め下さい」


 手にとってみた。何の変哲もない、ただのステンレス定規である。


「まさか、こんなものが武器になるわけないし、何かの謎解きで長さを測ったりするのか?」


「まー、長さを測るっちゃー測りますけど、その定規で測ることはしません。だけど、定規なしじゃあとても勝てませんよ」


「謎めかすじゃないか。そこまで言うんなら教えろ。定規は何に使う?」


「ポイント残高0の方にはこれ以上教えられません。どうぞご無事で」


 情報屋は消えた。


 僕はパーティーのメンバーのほうを振り返った。


「今回の情報は定規だって。よくわからないけど、次の時代に行ってみよう。おっと、その前に」


 セイラの手をとって、強く握った。


「え? 急にどうしたの?」


「だって、時の門をくぐろうとすると、毎回セイラはさらわれちまうじゃないか」


「守ってくれてるのね」


「こうやって離れなければ、安心だ」


「アリスターの手って、あったかいね」


「そう? 自分じゃわからないけど」


「あったかいって言うより、熱いくらい」


「ホント? 熱でもあるのかな?」


「おでことおでこをくっつけてみる? そしたらわかるよ」


「おでこ……ああ、試してみようか」


 セイラが髪を掻き上げて、額を出した。僕はゴクリと唾を飲むと、同じようにして、額をセイラにゆっくりと近づけーー


「なんだか見てらんねーな、おい」


 不意に鬼にどつかれて、僕は砂漠に倒れた。


 その瞬間、


「キャー!!」


 時の門から腕が伸びて、セイラが引きずり込まれた。


「チクショー! 毎回同じパターンだ。行くぞ、みんな!」


 揃って時の門に飛び込む。


 ギュイーン。


 白い光が薄れると、あたりの光景が見えてきた。


「今度はどこだ?」


 僕たちは広場にいた。そして広場の周りは高く盛り土がしてあり、そこに大勢の男女が坐っていた。


「久々に人の姿を見た気がするな。ちょっと情報を集めに行ってみよう」


 土を固めた階段を昇って、盛り土に坐っていた男性に声をかけた。


「すみません、僕たちは、旅をしている者ですが」


 その若い男性は、青鬼を見てギョッとした様子だったが、逃げはしなかった。


「な、何ですか?」


「この広場に、どうしてこんなに人が集まっているのですか? 何か見世物でもあるんですか?」


「えっ、知らないの?」


 男は呆れた顔をした。


「今から10種類のスポーツをやって、チャンピオンを決めるんだ。総合優勝者は、お姫様と結婚できるんだぜ。すごいイベントだろ?」


 男が指差したほうを見る。すると、一段高くなった場所に大理石の椅子があり、そこにはなんと、セイラ姫が坐っていたのだ!


「セイラ! うーん、どうやら催眠術でもかけられて、あそこに坐らされてるんだな。ということは、セイラを救い出すには、10種競技のチャンピオンにならないといけないのか。うわー、過酷だなあ」


 無理だよ、僕は運動オンチのオタクなのに、と嘆きつつ、ふとこの状況が、古代オリンピックみたいだなと思った。


(……オリンピック!?)


 その連想は、僕に閃きをもたらした。


(もしこれが、オリンピックとするならば)


 情報屋から買った定規の使い方が、一瞬にしてわかった。


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