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辺境の地に追放された元隠キャ〜ハズレスキル【眼福】で覚醒したら精霊にも吸血鬼にも魔王にも狙われたけど美少女戦士たちとSSSSSSSSランクの幸福を極めました!!!!〜  作者: 夢間欧
第20章 SSSSSSSSSSSSSSSSSSSS〜ついに魔王と対決!そして明らかになる【眼福】の秘密!それではみなさんさようなら!!!!〜
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第273話 王の間にて

「行きましょう、王宮へ!」


 突然そう発言したのは、セイラだ。


「時間がないんでしょう? だったらグリアム陛下の口から直接、『ポッチャリ宣言をシカトしたというのは誤解だ。ぜひ受諾して戦争を終わりにしたい』って、世界に向けて言わせればいいのよ」


「いや、だけど」


 ヘラズグチ中将が、おろおろとして言った。


「陛下を処刑しないという返事が、シンミラ連合国側からまだない。もし今受諾して、やはり陛下は戦犯だなんてことになったら、軍を抑えられるもんじゃない。それこそ総玉砕まで突き進んでしまう!」


 ヘラズグチ中将の恐れは正しい。そこの確認は極めて重要だ。


 実際、地球のニッポンにおいても、8月10日の「聖断」から、15日の玉音放送でニッポン国民にポツダム宣言を受諾したことが伝えられるまで、重臣たちは揉めに揉めたのである。


 というのも、連合国側の回答が、以下のようなものだったからだ。


①天皇また政府の統治権は、連合国司令官に隷属する場合がある。

②ニッポンの政治形態は、ニッポン国民の自由な意志によって決定される。


 ①の「隷属する」が、特に問題視された。


「連合国司令官に隷属して、それでも天皇の大権は守られるのか? 退位を迫られたらどうする? 極めて危険だ」


 という懸念が強かった。また②に対しても疑問の声が上がった。


「そもそも天皇は、『神聖にして侵すべからず』とされている。それは、『国民の自由な意志』などによって選ばれるものでは断じてない。それを認めたら、それこそ国体の変革になってしまう……」


 ニッポン側が揉めて返事をしてこないことに対し、アメリカ側は苛立っていた。


 というのも、天皇制廃止を要求するソ連やイギリスを、アメリカは抑えたのである。しかも国体はニッポン国民の自由意志に任せるとまで譲歩したのだ。それなのになぜ受諾しない、と。


 これに決着をつけたのは、やはり「聖断」であった。


「自分の意見は先日申したのと変わりはない。先方の回答も、あれで満足してよいと思う」


 8月14日の御前会議で、はっきりとそう言った。


 にもかかわらず、天皇の「聖断」は和平派の奸臣らによる陰謀だとして、一部の軍人がクーデター騒ぎを起こしたりした。


 が、結果的に、天皇自身の声による玉音放送は無事に流され、それによって大多数のニッポン国民は終戦を受け入れた。


 異世界でも、これが再現されなければならない。


「よし、みんな」


 僕はパーティーの面々に向かって言った。


「行こう、王宮へ!」


 *   *   *


 王宮は、ひっそりとしていた。


 衛兵の数が少ない。


「前に来たときと比べて、人が減りましたね」


 1人の衛兵にそう言うと、


「本土決戦に備えて、衛兵もほとんど海岸の防備に駆り出された」


 と答えた。


「もし空襲があったら、王宮は真っ先に狙われる。だから王族の女性はみな、地方へと移動した」


「ああ、なるほど。でもラオウ島では停戦中だし、ナハナハの戦いも膠着しているから、すぐにはB31スペシャルも飛んでこないと思いますよ」


「だが時間の問題だろう。それに備えて、地下に防空壕も造営された」


「とすると、陛下はそこに?」


「いや。今は王の間におられる。案内しよう」


 王の間に通されると、玉座でグリアム王が笏を振った。


「よお、諸君。久しぶり! 客がめっきり減ったんで、退屈しておったところだ」


 なんたるアホ。ナン民族が絶滅の危機に瀕しているというのに、客がこなくて退屈とは……


「何かして遊ぶ? 王宮全部を使ったハンターゲームとか、宝探しなんてどう?」


「陛下」


 僕は、グリアム王の前に片膝をついて言った。


「失礼ながら申し上げますが、はしゃいでいる場合ではないと思います」


「むむ。痛いところを突いたな」


 グリアム王は、右手に持った笏で左手をペシペシ叩きながら言った。


「今が遊んでいる場合じゃないことはわかっている。しかし余は、何にもやることがないのだ」


「相変わらず陛下は、アホであらせられます」


「そりゃあ、魔王の影響さ。だから大なり小なり、人間はみんなアホだろ?」


「陛下は今でも、魔王に牛耳られておられますか?」


「だって逆らえないじゃん。余だけじゃない。シンの大統領のトゥルーラブマンだって、ミラのチャーリン書記長だって、どいつもこいつも魔王の手下みたいなもんさ」


「魔王に逆らおうとお考えになったことは?」


「もしそうしたら、余は王ではなくなっただろうな。そしてまた別のやつが王になって、そいつが魔王に牛耳られただろう」


「僕は、魔王に逆らうことはできると思います。だって人類の母は、悪である魔王ではなく、善なる精霊なんですよ?」


「そうなの? 余にはよくわからん。が、そんなことより」


 グリアム王が、玉座で脚を組んだ。


「そこの女冒険者が、余に化けていろいろやったらしいな。おかげで余は、本物の王じゃなくて影武者だと勘違いされたぞ」


「その節は、大変失礼いたしました」


 僕とセイラは、揃って頭を下げた。


 その瞬間、


「あっ、そうだ!」


 口から勝手に声が出た。

 

 いいことを思いついた!!!


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