表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境の地に追放された元隠キャ〜ハズレスキル【眼福】で覚醒したら精霊にも吸血鬼にも魔王にも狙われたけど美少女戦士たちとSSSSSSSSランクの幸福を極めました!!!!〜  作者: 夢間欧
第16章 SSSSSSSSSSSSSSSS〜えっ親友に彼女をとられただって? そういうときは明るく楽しいファンタジーで元気出して!〜
227/283

第227話 16歳教の信者たち!

 MCヤマーはまだ続ける。


 *   *   *


 俺が助かる方法はただ1つ。


「よし、俺も16歳の女子になる!」


 そう宣言した。


「どうもー、やまっぴでーす。ねーねー、わたしも16歳の仲間に入れてー」


 ピース、ピース、ダブルピースと俺はやった。生きるためには何でもやる。その勇気こそ、俺が海軍大将にまで昇りつめた秘訣だと言っても過言ではない。


 めちょぱとまちょぱは顔を見合わせた。


「ドン引き……仲間に入れてって、ずうずうしいにもほどほどしくね?」


「ピースの位置が胸ってのがマジ50代。10代なら顔の横でやるのにハアー」(ため息)


「チョリース! ヤマるんビーム! ウチ16歳だっちゃ! やっぴー、やっぴー!」


 ひゅうと風が鳴り、めちょぱとまちょぱがカチンコチンに凍った。


「寒いよー、おばあちゃーん。私凍死しちゃう、ウェーン!」


「アタシもー。誰か解凍してー!」


「ねえ、ちょっと! やまっぴは本気なんだよ。マジメに聞きなさいよコラー!」


 俺の本気は通じた。めちょぱとまちょぱはキリッとした顔になり、


「本気ってことは、本気で16歳になるのね?」(キリッ)


「本気で女子になるのね?」(キリリッ)


「当たり前っちゃ。前田のクラッカーっちゃ!」(キリキリキリッ)


「じゃあ16歳教に入信させてあげる。ただし教義の実践は厳しいわよ」


「厳しいわよ」


「頑張るんるん!」


「まずは、いつまでも甘酸っぱくないとダメ。やまっぴは甘酸っぱいの?」


「甘酸っぱいの?」


「甘酸っぱい……でちゅ」


「住所はどこ?」


「どこなの?」


「お花畑でちゅ」


「何を食べてるの?」


「主食は?」


「お花さんの蜜でちゅ」


「特技は何なの?」


「何なの?」


「鳩さんを飛ばせまちゅ」


 俺はひらひらと手を動かした。


「ね? 鳩さんが飛んだの見えたでしょ?」


 めちょぱとまちょぱは、また顔を見合わせた。


「……どう、おばあちゃん。16歳かな?」


「ていうか、頭がお花畑のオッサンじゃない?」


 2人はジーッと俺を見つめた。


「あんた、何歳なの!!」


「16歳と333か月!! イェーイ!」


 俺が甘酸っぱく叫ぶと、


「おいおい!」


 めちょぱとまちょぱが、手首から先を2回振ってツッコんだ。


 そしてーー


「合格! やまっぴの入信を認めます!」


 やったー!!!!


 晴れて俺は、16歳教の信者になれた!!


 このときほど晴れがましい気持ちになったことは、16歳と333か月の人生で初めてだった。


 16歳の女子になると、すべてがおかしかった。


 俺はクスクス笑った。


「何UFOって。ウケる〜。未確認なのに飛んでんじゃねーよ」


 UFOの内側からUFOさんをどついた。


「宇宙って何? はあ? デカすぎんだろ」


 宇宙にもツッコんで、1人で爆笑した。


「あー、星間旅行だりぃー。まぢダルビッシュ。ダルメシアンの肉だるだるー」


 だるだるーのところでは、顎の肉を引っ張ってベロを出してレロレロした。


「ダルメシアンになりたーい。同じ模様になりたーい。4本足で吠えたーい。ガルルルルギガガアアッ!!!」


「ちょっとお兄ちゃん!」


 と、めちょぱが、突然妹キャラに戻って叫んだ。


「吠えるのはやり過ぎ。そんなの16歳教にないから!」


「そうそう。ダルメシアンはギガガアアッって吠えないから!」


「やめて! 家族総出で責めないで! それにわたしもう、お兄ちゃんじゃないから」


「お兄ちゃんじゃなきゃ何?」


「女の子よ!!」


 俺はキュートなヒップをプリンと上げてみせた。


「……おばあちゃん、これ、本物だわ」


「……お兄ちゃん、きっとテレポーテーションできるわ」


 めちょぱが俺の手を握った。


「16歳の女子になったお兄ちゃんは、もう自分の星に帰れるよ。やってみる?」


「みるみるー。やってみるくー」


「じゃあ、アタシとはお別れだね。元気で暮らしてね」


「お別れはヤダー。めちょぱも来てー」


「ワガママ言わないの。チューしてあげるから我慢して」


 めちょぱがほっぺにチュッ、とした。


「めちょぱー」


「何?」


「我慢できない」


「我慢しなさい! 女の子でしょ! それとも男子に戻っちゃった?」


 俺はブンブンと首を振った。


「じゃあ我慢できるはずよ。女の子は最強なんだから。さあ、心の中で、元の星に戻れって念じなさい」


「……そうしたら、テレポーテーションできるの?」


「そうよ。急ぎなさい。戦争に間に合わなかったら、お兄ちゃんの国に迷惑がかかるでしょ?」


「わたし、本当は、戦争のない星に生まれたかったなー」


「何言ってんの。そんな星がないのは知ってるくせに。さあ、早く。あ、別れる前に1つだけ、忠告しておくわ」


「何?」


「アタシの千里眼によると、戦争中に、お兄ちゃんの暴露本を書くっていう軍人さんが現れるけど、絶対書かせちゃダメよ。お兄ちゃんにそんなことしたら、アタシが許さないって言ってたって伝えて。宇宙パワーでヒドい目に遭わせるからってね。わかった?」


「うん、わかった」


「それを聞いて安心した。じゃあ、サヨナラ」


「ねえ、めちょぱ。好きだよ」


「アタシもよ。だからこれ以上苦しめないで。行って!」


「めちょぱ、愛してる」


「行きなさい!!」


 俺は心の中で念じた。


(どうかお願いです。めちょぱにとっていちばん幸せなようにして下さい)


 俺の周りから、景色が消えた。


 すべてが真っ白になった。


 やがて、世界に色がつき始め、景色が構成された。


 それは俺の部屋だった。


 自分の家に戻ってきたのだ。


「そうか。これがめちょぱにとっていちばん良かったんだな」


 俺は暗い部屋で独り言を言うと、それから夜が明けるまでずっと、1人で膝を抱えて坐っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=35567082&size=88
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ