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辺境の地に追放された元隠キャ〜ハズレスキル【眼福】で覚醒したら精霊にも吸血鬼にも魔王にも狙われたけど美少女戦士たちとSSSSSSSSランクの幸福を極めました!!!!〜  作者: 夢間欧
第15章 SSSSSSSSSSSSSSS〜勇者アリスターは見えている。見えているったら見えている。えーえーそーそーホントに見えているってば!〜
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第202話 徹底討論4 さあ、褒める練習!

「閣下、練習してみましょう。そうすれば、きっと楽しくなりますよ」


「何の練習だ?」


「褒める練習です。具体例を挙げますね。例えば、地球であったあの出来事、放送作家の小説を芸人さんがディスった件なんかどうですか?」


「え? ワシ、あの騒動は知っとるが、小説の内容そのものは知らんぞ」


「いいんですよ、練習ですから。まずやってみましょう。実際にあったことは、その芸人が『ちっとも面白くないし、都合よく乗っかる芸人はもっと面白くないですね』とツイートしたことです」


「それに対して放送作家が『正直悲しいです』とツイートし、その妻がテレビに出て、『旦那を悲しませたオメーに言ってやる。オメーの漫才は全然面白くねーんだよ!』と激怒した」


「結果、発言した芸人は放送作家に謝罪しました。そのことを、閣下は問題視されましたね?」


「公開されている小説に対して、誰かが『面白くない』と感じてそれを発言する。こんなことは当たり前にできていいし、それに激怒した人こそたしなめるべきではなかったのか、とワシは言った。あれでは怒ったもん勝ちで、自由な感想が一切言えないムードになった。言論封殺だとな」


「ではその『自由な感想』を、もっと上手に言ってみましょう。そうすれば、この不幸な出来事は起こらなかったはずです」


「はあ? 上手にって、どうやって?」


「では例題ですから、僕が見本を見せます。はい、小説を読みました。うーん、僕の感性には合わなかったなー」


「……その芝居、要る?」


「閣下の得意な漫才に寄せたんですよ。えっと、この小説に乗っかる芸人も、何か腹立ってきたなー」


「ワシ、何かお前に腹立つ」


「黙ってて下さい。よーし、呟いてやるか。面白くないって言ってやる……いや、待てよ」


「うっ、臭い芝居」


「いきなりそんなこと言われたら、作者は傷つくかな? 俺も漫才が面白くないって言われたら、『お前に何がわかんねん!』って言いたくなるしな」


「エセ関西弁、やめい!」


「小説読みました。ちっとも面白く……じゃなくって、芸人としていろいろ思うところがありました。これに都合よく乗っかった……じゃなかった、この作品に絡んだ芸人さんたちにも、いろいろ聞きたいことができました。うん、これなら誰も傷つかないし、俺の感情もいくらか表現できている。よし、ツイート送信と」


「……終わった?」


「はい、終わりました。どうでしたか?」


「芝居の才能はない。ぜひ辞めてくれ」


「そっちじゃないっス! ツイートの添削ですよ!」


「ああ。ちっとも面白くないを、いろいろ思うところがあった、に変えたんだな」


「これだったら、否定とは違いますから、作者を悲しませることはないですよね?」


「どうかなあ。あの妻だったら、『オメーごときがいろいろ思うんじゃねー!』って噛み付きそうだけど」


「それは偏見ですよ。それとも閣下なら、もっといいツイートができますか?」


「うむ、やってみるか。はい、小説を読みました……うわー、何これ、最悪。気持ち悪ー。え? これが映画化されんの? は? は? はあああ???」


「読んでもないものを、よくそこまでディスれますね」


「漫才師の演技だから気にするな。何だよ、コレ、許せねーな。業界人は、みんなこれを褒めちゃってんの? 芸人たちも? いや、マジあり得んでしょ。忖度しすぎじゃん。誰かが言ってやれよ。よーし、誰も言わないなら俺が言ってやる。こんなモンはちっとも面白くーー」


「閣下、こらえて!」


「うーむ、待てよ。ここで思ったまんまをツイートしたら、売れた作品に売れてない芸人が噛み付いたみたいで、何か損するな。面白くないのは事実だし、忖度するよりハッキリそう言ったほうが人として正しいとは思うけど、ここは利口になろう」


「そう。自分の言葉の影響力をよく考えて」


「下らない小説をゴミと言ったところで、そんなのは当たり前だ。ここは芸人の腕の見せ所だ。えーと、この小説には、感情を揺さぶられました。この小説に乗っかった芸人さんたちには、もっと激しく感情を揺さぶられました」


「後半、要らないです」


「これを読んだら、俺も小説を書きたくなりました。目指せ映画化! これはそんなふうに思わせてくれた、ステキなケッ作です」


「わー、いいじゃないですか。めっちゃ褒めてますね!」


「あんなクズが映画化されるんなら、俺がもっとマシなの書いてやらあ、ってのが本音だ」


「まあ、心の黒さはともかくとして、これなら作者も喜ぶんじゃないですか?」


「皮肉に気づくかもしれんがな。でも確かに、無用なケンカはしないで済みそうだ」


「じゃあ例題はここまでとして、本番にいきましょう」


「本番? ワシ、まだなんかやるの?」


「先ほど閣下が本気でディスった、座布団ゼロ枚落語家さんです。ぜひ彼の名誉を回復させて下さい」


「えーーーっ?? あれを褒めんのーーー???」


 って、ヘラズグチ中将。


 あの方を褒めるのは、そんなに難しいですか!?


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