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辺境の地に追放された元隠キャ〜ハズレスキル【眼福】で覚醒したら精霊にも吸血鬼にも魔王にも狙われたけど美少女戦士たちとSSSSSSSSランクの幸福を極めました!!!!〜  作者: 夢間欧
第15章 SSSSSSSSSSSSSSS〜勇者アリスターは見えている。見えているったら見えている。えーえーそーそーホントに見えているってば!〜
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第201話 徹底討論3 優しいほうがいい!

「アリスター二等兵、きみの意見をもう一度確認する」


「何でしょう?」


「面白くないものを面白くないと言う。きみはこれを、悪口であり、人格否定であり、ぶっ叩きであると言うのだな?」


「そのとおりです」


「では創作物に対する批評はどうなるのだ? 批評がなければ、そのジャンルは発展しない。その批評には、面白いか面白くないかの分析も当然入ってくると思うが?」


「もちろん僕は、真摯な批評まであってはならないと考えている訳ではありません。なぜそれを面白くないと感じたかという根拠を示したり、こうしたらもっと面白くなるなどの提案があったりすれば、そうした批評は作者にとってもありがたいものとなるでしょう」


「批評家は、そこまで作者に気を遣わないといけないのか?」


「もし作品に対して低評価の発言をするのであれば、もろもろの影響を考えて、慎重にするのが当然だと考えます」


「もろもろの影響とは?」


「作品の売り上げ、作者のモチベーションの低下、『面白くない』の評価だけが切り取られて拡散されること、『面白くない』の発言が、その作品や作者を叩くことのキッカケとなり、悪意のある人々を引き寄せて炎上に発展すること」


「そんなところまで、批評した人間の責任になるのか?」


「そうです。地球はそういう例であふれています。そういう事実があることを無視して、発言の自由だけを主張するのは優しさに欠けます」


「優しさか。結局、それが言いたかったんだな?」


「そうですよ。優しくないより、他人に優しい世の中になるほうが【幸福】でしょう?」


「面白くない作品でも褒めるのが、お前の求める優しさなんだな?」


「よく考えて下さい。一つも面白くない作品なんてありますか? 創作物は、いわば人間と一緒で、どれも個性を持っています。金子みすゞさんの詩にあるように、『みんなちがって、みんないい』んです。少なくとも、簡単に『面白くない』の一言で切り捨てていいとは思えません。僕にはそれが、いきなり刃物で刺すのと同じに見えます」


「とすると、レベルの低い作品でも、無理やり面白いところを探して褒めろと、お前はそう言うのだな?」


「閣下。もし閣下があるジャンルの発展を願っていて、批評というとても影響の大きなことをする情熱があるのなら、ぜひ『レベルが低い』と思われている作品の中から面白いものを発掘して、人々に紹介してあげて下さい」


「残念ながら、ワシの職業は批評家ではない」


「では今後、『批評』はお辞め下さい。真摯に批評をする覚悟がないのなら、やはりそれは、『悪口で人格否定でぶっ叩き』に過ぎない行為ですから」


「ちょっと待て。例えばワシが、2時間かけて小説を読んだとする。ワシにはそれがひどくつまらない作品だったとする。それに対して『面白くなかった』と正直な感想を洩らすことも、ワシは今後できないのか?」


「その作品は、閣下の感性に合わなかっただけです。つまり、面白さを閣下が理解できなかっただけなのです。それなのに、自分の感性だけを尺度にして、さも面白くないことが事実であるかのような発言をすれば、それはやっぱり単なる悪口ですから、辞めて下さいというほかありません」


「いや、お前は現実を無視して理想を語っている。多くの人にとって面白くない作品は存在する。ワシ1人の感性うんぬんではなく」


「それは否定しません。創作物には傑作もあれば、その域には遠い作品もあります」


「ほれ見ろ。傑作には程遠い作品、つまり愚作が存在するのは事実なんだろう? それに対して低評価の発言をすることさえ、お前は禁じるのか?」


「何もすべての作品が傑作である必要はありません。そうでない作品も、見方によっては楽しめるんです。だったら、わざわざ低評価をするよりも、その楽しみ方を見つけて教えてくれたほうがいい。僕の主張しているのは、そういうことなんです」


「否定的な感想は黙っていろ、発言するなら肯定的なことだけにしろ。ということか?」


「まさしく閣下のおっしゃるとおりです。そのほうがずっと明るいでしょう?」


「それは健全ではない。否定的な感情を抑えつけるのには賛成できん。ワシはつまらないと思ったものには、自由に『金返せ!』とか、『時間を返せ!』と言いたい」


「否定的な感情を吐き出したら【幸福】になりますか? そういう言葉を口にする人を見ると、僕は逆に、【不幸】な人なんだなーと思いますよ」


「は? どうしてそれが不幸になる?」


「精神のマズしさを感じるからです。どんなことでも、お金や時間の無駄ととらえず、勉強や経験になったと考えるほうが、精神的には豊かじゃないですか?」


「…………」


 ヘラズグチ中将は押し黙った。


 若造に生意気なことを言われて、ムカついているのかもしれない。


 しかし手応えはあった。


 あともう少し。


 もう少しだけ頑張って、この歳上の転生者を納得させることができれば、未来を【幸福】に近づけることができる。


 僕はそう信じて、徹底討論を続けた!!!!


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