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辺境の地に追放された元隠キャ〜ハズレスキル【眼福】で覚醒したら精霊にも吸血鬼にも魔王にも狙われたけど美少女戦士たちとSSSSSSSSランクの幸福を極めました!!!!〜  作者: 夢間欧
第13章 SSSSSSSSSSSSS〜異世界恋愛したい!異世界恋愛したい!異世界恋愛したい!だって戦記は柄じゃないからね〜
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第165話 グラミー賞級の復活!!

「まずは、飢えているナン兵を救おう」


 ガルーダを低空飛行させながらそう言うと、


「危ない!」


 セイラが叫んだ。


 見ると、シンの戦闘機が東の空から迫ってきた。


 機関銃が火を噴く!!


「マズい。僕たちはゾンビ化しているから死なないけど、ガルーダに当たったら傷つく。天に帰してあげよう」


「みんな、私に乗り移って!」


 セイラが大鷲に【変容】した。僕らはそれに乗り、召喚獣を帰してやった。


 セイラ鷲は戦闘機の攻撃を巧みによけ、ダレノガレノ島のジャングルに舞い降りた。


 そのジャングルに、容赦なくバンバン爆弾が落とされる。


「ヒャー! ここの戦場は凄まじいな。ガポールやピリピン島の比じゃないぞ!」


「いよいよシン国が本気を出してきたんだ。弾はいくらでもあるから、きっと湯水のように使うだろう」


「ナンの兵隊さん、死んでないかしら……」


 僕とジャックとセイラが口々に不安を洩らすと、


「早くこの島にいる人たちをゾンビ化させるわよ。そうすれば、物理攻撃なんて屁でもないんだから」


 オーガがそう言って、ずんずん歩きだした。


 そのとたん、爆弾がオーガを直撃した。


「オーガ!!!!」


 僕らは爆風に吹き飛ばされながら、オーガの名を叫んだ。


 地面に円い穴が空き、オーガは煙になって蒸発したように見えた。


 バラバラの肉片と化して……


 が、そのとき、


「チャーラー、チャーラーラー♫」


 妙なふしをつけて唄いながら、オークが変テコなダンスを踊り始めた。


「デデンデンデンデデン、デデンデンデンデデン、デデンデンデンデデン、デデンデンデンデデン♩」


「オークのやつ……目の前でオーガがバラバラになって、頭がおかしくなっちゃった」


 僕は目頭を押さえた。オークは発狂した。そうとしか思えないほど、その歌とダンスは異様だった。


「あ、ポー!! あ、ヒーヒー! ポーポー!」


 みんなも泣いた。オークは右に左にステップを踏んで、両手をガォーという形にしたり、ときおり電気に打たれたように手足をビクビク痙攣させたりした。


「あ、ポーポー! ヒーヒー! あ、ヒーヒー、ポーポー!!」


 そのとき、不思議なことが起こった。


 バラバラになったオーガの肉片が動き出し、やがて1つにまとまって、オークと一緒に踊り始めたのだ!


「あラッチャッチャラ、ポーポー! ヒーヒー!  ポー!!」


「オーガ!!!!」


 僕たちはオーガに走り寄って、その逞しい身体を上から下まで叩いた。


「良かった、良かった! 無事なんだな?」


「もちろんそうよ」


 オーガはちょっぴり恥ずかしそうに笑った。


「だってアタシはゾンビ、すなわち不死者だもの。普通に殺されたって死にやしないわ」


「だけど木っ端微塵になったからなー。もう復活は無理かと思ったよ」


「アンタたちも爆弾に当たってみるといいわ。いい経験になるわよ」


 いやー僕たちはと、みんなでブルブル首を振った。鬼だからまだいいけど、人間の僕らがああなったら絵的にグロすぎる。


「だけど」


 僕はオークを見て訊いた。


「さっきの歌と踊りがないと、復活できないの?」


 するとオークは、


「そんな訳ないだろ。ミットモネーの海戦で死んだとき、アリスターはオイラの踊りで復活したか?」


「いや……じゃあ今回は、なんで唄って踊った?」


「そりゃもちろん、演出さ。ムードが出たろ?」


 意味なかったのかよ!


 と、その瞬間、オークに爆弾が落ちた。


「またかー! オーク、復活しろ!」


 木っ端微塵になったオークは返事をしなかった。


「仕方ないなあ……演出するか」


 僕は気が進まなかったが、オークが復活しやすいように、ヒーヒーポーポー踊った。


 すると、


「コラッ、何をしてる!」


 ジャングルの奥から出てきた2人組のナン軍の兵士に、両腕をガチッとつかまれた。


「どうした? 恐怖で気が違ったか? それとも幻覚を視る毒キノコでも食ったか?」


「いや。これはどう見ても、この島の伝染病に脳を冒されたのだ」


「そうか。野戦病院はおろか、ここには医薬品もない。かくなる上は、皇軍の体面を守るために特別に自決を許す」


 さあさあ割腹をどうぞと小刀を握らせてくるので、


「自殺させないで下さい! 病気じゃないですから!」


 と怒鳴ったとき、バラバラのオークが1つに固まって復活した。


「ギャー!!」


 いかに訓練された兵士でも、さすがにこの光景はグロすぎたのか、2人揃って尻もちをついた。


「ス、ス、スリラーだ!」


「ポー!!」


 よせばいいのに、オークがガォーの振り付けで脅かした。


「えー、驚かせてすみません。我々は冒険者で、少々技が使えます。そこで戦場で死なないために、不死者になる技を自分たちにかけたのです」


「……技?」


「はい。【ゾンビーズ】といいます。みなさんにもかけたら、銃や爆弾でやられても死ななくなります」


「い、今みたいに、復活するのか?」


「そうです。ただし聖属性や回復系の技、もしくはアイテムを使われたら、逆に死んでしまいますけど。敵のシン軍に、そういうのを使える冒険者はいないですか?」


「そんなのは、聞いたこともない」


「良かった。じゃあかけたほうがいいです。あ、でも、もしゾンビになるのは皇軍の体面を穢すとお考えでしたらーー」


「今すぐやってくれ。いつ爆弾が降ってくるかわからん」


 そこでオーガが【ゾンビーズ】をかけた。


 次の瞬間、オーガとオークが揃って被爆した。


「チャラッチャチャ、ヒーヒー! ポーポー! あ、ポー!!」


 復活したオーガとオークが見事に息の合ったダンスをすると、2人の兵士は何とも言えない複雑な表情を浮かべた。


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