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辺境の地に追放された元隠キャ〜ハズレスキル【眼福】で覚醒したら精霊にも吸血鬼にも魔王にも狙われたけど美少女戦士たちとSSSSSSSSランクの幸福を極めました!!!!〜  作者: 夢間欧
第12章 SSSSSSSSSSSS〜美少女兵士がタッグを組んでキューティーペアの大冒険よって言ってるけどスペースオペラじゃないですよ〜
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第162話 ついに秘密を知られた……

 それにしても、ガダルカナル島の戦いは悲しい。


 ニッポン、特に陸軍は、アメリカを舐めていた。


「まだまだアメリカは反撃してこない。ガダルカナルは楽勝でとれる」


 そんな空気だったらしい。


 しかしアメリカは、ニッポンの何倍もの兵力で攻めてきた。


 とにかく物量差が圧倒的なのである。


 しかもですよ?


 飛行場を建設するときに、アメリカは、ブルドーザーであっという間に造る。


 だがニッポンは、ツルハシとシャベルでエンヤコラサとやるのである。


 むちゃくちゃな差じゃないスか?


 勝てっこないです。


 だけど陸軍は意地になって、敗戦濃厚なこの島にどんどん援軍を送り込んだ。


 送れば送るほど、犠牲者は増えるばかり。何とも切ない、ひたすら兵力を消耗するだけの戦いが続く……


 どうしてもっと早く、撤退の決定を下さなかったのか?


 現場は悲惨ですよ。


 食糧が届かないから、兵士はガリガリに痩せる。


 マラリアに感染してバタバタと倒れる。


 死ぬとわかっている無謀な「突撃!」を繰り返す。


 悲しいです。


 いったい司令官や参謀たちは、何を考えていたのか?


 やっぱり緒戦の連戦連勝で、ニッポンは負けないんだと調子に乗って、頭に血が昇っていたんでしょーね。


 ミッドウェーの海戦もそうだったけど、冷静な判断ができていない。そしてここからニッポンはどんどん負けていく……


「ゾンビ作戦のおかげで、ミットモネーの海戦は勝った。だけどナン軍には、これで調子に乗ってほしくないなー」


 僕はそれが、心配になってきた。


「ヤマ長官の話だと、食糧を補給する船が狙い撃ちされてるみたい。ということは、島に残された兵は飢えてるよね? 腹が減っては戦ができぬって、昔っからよく言うじゃん」


「ーーそんなことわざあった?」


 いけね。これはニッポンの言葉だった。


「いや、セイラ、僕の言いたいのは、作戦を命令している上層部が、現場の実情をよくわかってないってこと。食糧の補給がなけりゃ戦えないのは、子どもでもわかる常識だよ。でも現場は、できませんなんて言えないだろ?」


「そうね。作戦中止の命令が下されないかぎり、兵は戦い続けるしかない」


「だから上層部は、常に冷静に戦況を判断しないといけないんだ。ダレノガレノなんてちっぽけな島にこだわってないで、飢えた兵を一刻も早く撤退させないと」


「私たちでやる?」


「そうしたい。だけど上層部は、きっと勝つ気でいるだろ? それなのに勝手に兵を撤退させたら、敵対行為と勘違いされて、下手したら僕たち全員死刑」


「どうして? 事情を説明しても?」


「その事情を理解できる人がいたら、そもそもこんな無謀な戦争はやってないよ。あー、どうしよう。僕はこの戦争に、どこまで介入したらいいんだ」


 ガルーダの翼の上で、僕は頭を抱えた。


「アリスター、何を心配してるの?」


 セイラが寄り添ってくれた。


「1人で悩んでないで、私に話して」


 ああ。


 女の子がそばにいてくれるって、なんて素晴らしいんだ。


 あったかくって、柔らかくって、胸がふくらんでいる存在が近くにいると、それだけで、僕は無双にも最強にもなれる気がしてくる!


 そんなセイラを、僕は一生笑顔にしたい!!


「ありがとう、セイラ。実は僕、ずっと悩んでたんだ」


「何を?」


「僕たち、これまでナン軍を勝たせてきたでしょ?」


「ダイヤモンド湾の奇襲攻撃から、ミットモネー諸島の海戦までね」


「うん。アレー海戦もガポールもピリピンもジャバもそう。僕たちの介入で、ナンはここまで無傷で連勝を重ねた」


「文字どおり無傷よね。なんてったって、敵も殺さず、味方も死なせてないんだから」


「それはすごく大きな意味があったと思う。でも戦争って、いつかは終わらないといけない。じゃあ果たして僕らがナン軍を勝たせ続けたら、どうなるんだろうって思うんだよ」


「アリスターは、どうなると思うの?」


「わからない。だけどものすごく心配なんだ。ナンはヒノ国と同盟を結んでるでしょ? そのナンに、もしシンとミラの連合軍が降伏したら、ヒノのチョビひげのニトラー総統が全世界を支配するんじゃないかと思うんだ。それはきっと、恐ろしい結果になる」


「ニトラー総統は、軍国主義者だもんね」


「それだけじゃない。差別主義者でもある。ひょっとすると、ミラ人を根絶しろなんて言い出すかもしれない」


「大量虐殺が起きる可能性があるのね」


「それを考えると、自分のやってることが、正しいのかどうか疑問になってくる。真の平和のためには、このあたりで、ナン軍を負けさせないといけないのかなあって……」


 僕は再び、頭を抱えた。


「すでに僕たちは、ナンの陸軍を調子に乗らせちゃった。だからダレノガレノでも、きっと無理な作戦をするだろう。ああやっぱり、ミットモネー海戦あたりでは、少し負けさせておくべきだったか……」


 するとセイラが、不思議そうな声を出した。


「アリスターの考え方、冒険者っぽくないね」


「……そう?」


「冒険者は、いつでも目の前の戦いに勝つことに全力をあげる。そうでないと、前に進めないから。負けたほうがいいっていう視点は、すごく珍しいと思うな」


 セイラは首を傾げた。


 そして、僕の心臓が止まりそうな一言を放った。


「もしかしてアリスター、転生者?」


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