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辺境の地に追放された元隠キャ〜ハズレスキル【眼福】で覚醒したら精霊にも吸血鬼にも魔王にも狙われたけど美少女戦士たちとSSSSSSSSランクの幸福を極めました!!!!〜  作者: 夢間欧
第11章 SSSSSSSSSSS〜もしアホが「あの戦争」に介入したらって歴史イフが始まっちゃったんですけど自信なさすぎて怖いよ〜
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第148話 プリンセス、ごめん(誹謗中傷じゃないよ)!

 北のナン国と南のシン国は、いちおう地続きである。


 ただし、2国のあいだは謎の多い山で隔てられている。


 この山越えのルートは、昔から危険だと人々に恐れられてきた。


 実際僕たちも、ギリギリでレトロゲームの妖精との対決に勝ち、何とかシン国からナン国に行くことができた。


 したがって、戦争になっても、両軍とも山越えをしようとはしなかった。


 だから、海に浮かぶピリピン島が要衝の地になったのである。


 ピリピン島。


 地球でいうところの、フィリピンにちょっと似ている。

 

 この島を、アメリカにちょっと似ているシン国が、国力をあげて一大要塞化したのである。


 これを攻略しないと、シンは石油を確保できず、戦争の継続ができない。つまり敗戦となる。


 だがピリピン方面軍は、海からも空からもこの島に容易に近づくことができず、ほかの方面ではナン軍の連戦連勝が伝えられている中、大苦戦していた。


 そこで僕らが、急遽援軍にやらされたのだ。


「あーあ、やだなー」


 召喚獣ガルーダに乗って海を見降ろしながら、僕はグチった。


「ミラと戦争しながらシンともやるなんて、正気の沙汰じゃないよ。そりゃあ、僕たちのおかげで緒戦は勝ったよ? でも資源がないんだから、続かないのはわかりきってるじゃん。それなのに、シンの国民は勝利に沸いて狂喜乱舞してるんだって。みんなアホすぎてやんなっちゃうよ」


「仕方ないだろ。アホなのは魔王のせいだ」


 ジャックが僕の背中をポンと叩いた。


「お前やセイラの活躍で、今のところ、敵も味方も殺さずに済んでいる。この調子で、なんとか無血のまま相手を制して、国同士が講和条約を結べるようにしよう。俺たちならそれができる!」


 やっぱりジャックも、緒戦の勝利に酔っているように見えた。


(そんな甘いもんじゃない……)


 と思っても、勝っているときに、負ける可能性についての話はなかなかできない。


 もし冷静に、最終的には原爆を落とされて負けるよなんて言ったら、


「ほら、お前があのときあんなことを言ったから、現実になったじゃないか!」


 と、正しい忠告をしただけなのに、まるでそのせいで悪運を招いたかのように、戦犯扱いされてしまう危険性が大きい。


 むしろ、何の根拠もなく「勝つ勝つ」と言ってるほうが、その「必勝の信念」によって幸運を引き寄せるというような、非科学的な考え方が良いとされてしまっているのだ。


 アホでしょ? ホントに。どう考えたって。


 ここ大事だから強調しますよ。


 キチンと計算した結果、負けるという結果が出たとします。


 1足す1は2になったというようなモンです。


 でも結果は2でした、と言うと、


「何を言うか、非国民! そんな不吉なことを言うとは、負けを願ってるんだな? お前もミラ国の回し者で、世界中をペンキで赤く塗ろうと思ってるんだろう。そうに違いない!」

 

 あのー、1足す1は2だと言っただけですよ?


 それはむしろ、国と国民のためを思って言ったんですよ?


 計算の結果を受け止めて、では政治でどう解決するかと考えたらいいじゃないですか。


 それなのに、なんで「この赤ペンキの非国民野郎」とか、「負けを願ってる」とか訳のわからないことを言って、リンチしようとするんですか?


 これぞ、「正しい忠告をすると憎まれる」の法則です。嫌な法則でしょ?


 ここ大事なんで、さらに補足しますね。


 ある国のプリンセスが恋に落ちて、婚約発表したとします。


 すると、その婚約者の家庭に、さまざまな問題があったと判明したとします。


 国民はプリンセスのことが心配になります。


「あの家は問題が多い。ちょっと普通じゃない感じがして怖い。私だったら、自分の娘をあの家にはやれない。大丈夫かしら。もっとよく調べて、結婚については慎重になったらどうだろう」


 このままでは悲劇の結婚になるんじゃないかと、プリンセスのことを心配して話します。するとプリンセスの父親も真剣に悩み、


「問題を解決するように行動しないと、婚約はさせられないよ」


 と忠告します。それはそうです。問題があるのが明らかなまま、それの解決をしようともしない相手に、喜んで娘をあげる父親はいません。


 ところがプリンセスは、父親との対話を拒否します。娘の幸せを願って、今しかできない大事な大事な話をしようとしているにもかかわらず。そう、まさしく「正しい忠告をすると憎まれる」の法則です。


 挙げ句の果ては、


「誤った情報が、なぜか間違いのない事実のようにされ、謂れのない物語となって広がっていくことに強い恐怖心を覚えました」


 と、国民に向かって強く言うようになってしまう。


 もし誤った情報であるならば、なおさら父親とよーく話をして、まずはそこの誤解を解かなければならなかったのでは?


 うーん。


 難しいですね。


 婚約者はいまだに問題を解決できず、「トラブル相手には折に触れてお礼を申し上げてきました」と、だったらなんでまだ揉めてるのかと不思議なことしか言わないのに……


 あっ、スミマセン。


 脱線が長すぎました。


 とにかく残念ながら、昔も今も、正しい忠告は憎まれます。


 これは仕方ありません。法則ですから。


 だから余計なことは考えず、ジャックの言うとおり、


「俺たちならできる」


 と信じて、この世界を平和にしてやりますよおお!!!


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