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辺境の地に追放された元隠キャ〜ハズレスキル【眼福】で覚醒したら精霊にも吸血鬼にも魔王にも狙われたけど美少女戦士たちとSSSSSSSSランクの幸福を極めました!!!!〜  作者: 夢間欧
第11章 SSSSSSSSSSS〜もしアホが「あの戦争」に介入したらって歴史イフが始まっちゃったんですけど自信なさすぎて怖いよ〜
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第144話 アニメは世界を救う!!

 僕は艦橋の操舵室に入り、双眼鏡を前方に向けた。


「む?」


 水平線に戦艦らしきものが見え、艦砲から赤い炎を吐いていた。


「空に向かって撃ってるぞ。たぶんナンの戦闘機とやり合ってるんだな」


「よーし、急ぐわよー!」


 戦艦に【変容】した美少女セイラが、拡声器を使って叫んだ。


「全速前進、ヨーソロー!!」


 うーん、これまた萌えますなあ!


 プリンセス・オブ・セイラは、巨体に似合わぬスピードでかっとばした。


「うわー、速ええー! ターボエンジン付きかあ?」


 するとミラの駆逐艦と会敵した。


「撃てえ! じゃなかった撃つなあ! 平和的解決をするんだあ!!」


「了解、キャプテン、アイアイサー!!」


 プリンセス・オブ・セイラはスピードをゆるめ、主砲を敵艦に向けた。


「網タイツ砲、発射!!」


 ダーンと50口径の主砲から飛び出しのは、超巨大な網タイツだった。


 それは投網のように広がると、駆逐艦を見事に捕獲した。


「うーん、さすがセイラ。相手を傷つけずに、戦闘不能にしたね」


「女の子らしい武器でしょ? 実は戦艦って、網タイツに弱いんだ。エヘッ♡」


 みんなも意外だったでしょー?


 ミラ艦隊の駆逐艦は4隻で、すべて網タイツで絡めとった。


「キャプテン、あとは戦艦プリンス・オブ・ミラと、巡洋艦バルスとの対決を残すのみ。これを制すれば、ミラの一大要塞、ガポール軍港の守備はガタガタになる。ナン軍に一気にチャンスが出てくるのよ」


「お、おう」


「プリンス・オブ・ミラのキャプテンは、かの有名なヘリップス提督。でもその名前に気圧されないで。あなたが勝てば、アリスター提督の名前が歴史に刻まれるのよ!」


「って、そもそも僕はへリップス提督なんて知らないし。セイラ、軍事に詳しすぎるよー」


 なんてことをくっちゃべってるうちに、巡洋艦バルスが近づいてきた。


「……ん?」


 僕は目を瞠った。


 爆音が轟いたと思うと、バルスの艦首と艦尾から、同時に炎が噴きあがったのだ。


 巡洋艦バルスは、ゆっくりと左に傾いていく。


「すげえ……」


 僕は放心し、空を仰いだ。


 ナンの荒鷲飛行隊が、大空を背景に舞っていた。


 世界に冠たるミラの艦隊。


 それに、弱小国家のナン軍の戦闘機が襲いかかって、今まさに二番艦を撃沈しようとしているのだ!


 実はナンって強かった?


 いやいや、そんなことはない。


 たぶん荒鷲飛行隊は、命を捨ててバルスに挑んでいったのだろう。


 その捨て身の闘魂が、力に勝るミラの海軍を上回ったのだ!!


「すごいなー。弱くても、勝っちゃうことがあるんだ」


 僕は感動していた。しかし、僕の立場からすれば喜んではいられない。平和のために、バルス号の乗員たちを救わなければ!


「セイラ、救援活動だ!!」


「アイアイサー!」


 アイアイサーって、愛愛さーって変換すると萌えるよね? んなことないか。


「救助ボート、発射!!」


 副砲からゴムボートがボンボン発射され、バルス号の近くに着水した。


「みなさん、急いで乗り移って下さい」


 操舵室で、僕はマイクに向かって話した。


「僕たちは敵ではありません。味方でもないですが、強いて言えば平和の味方です。どうぞみなさん、自分の命を救う行動をとって下さい」


 そこで言葉を切って待った。が、バルス号には何の動きもない。ふねは着実に沈んでいっているというのに。


「ほら、急いで。みなさんにも家族がいるでしょ? 国が勝とうが負けようが、家族を泣かしちゃ意味なくないですか? 生きて帰ってあげて下さいよ」


 やはり動きはない。みんな、あの鉄の塊と心中する気か? 僕は焦った。


「ほらほら、死にますよ? 死んだら楽しいことあります? 女の子と遊べます? 遊べないでしょ? 好きな子の顔を思い出して。ほら、会いたくなったでしょ? 話したくなったでしょ?」


 もうひと押しだ、と思った。軍人たちがプライドを捨てて投降するには、あともうひと押し!


「ねえ、みさなん。マンガって知ってます? 好きな子の顔をマンガに描いたことないですか? もし世の中が平和になって、科学的技術を戦争じゃなくて遊びに使ったら、動くマンガができるんですよ。観てみたくありません? 超可愛い女の子が、動いてしゃべって敵をやっつけたりするんですよ? 愉しくないですか? だから戦争なんてやめて、早くそういう世の中にしましょうよ〜」


 そのときだった。


 バルス号から、続々と軍人たちがボートに飛び降りたのだ!!


 やった……


 僕の目から、ひとすじの涙が流れた。


(アニメの力を信じて、良かった……)


 すると、続けて信じられないことが起こった。


 主艦、プリンス・オブ・ミラのマストに、白旗が翻ったのだ!!!


(ヘ、ヘリップス提督!!)


 僕は思わず、見えない敵のキャプテンに向かって敬礼をした。


(あなたもまた、アニメのためにブライドを捨てて下さったのですね!)


 奇跡は起きた。


 このアレー沖の海戦は、全世界の予想に反して、ナン軍の完全勝利に終わったのだ!!!!


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