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辺境の地に追放された元隠キャ〜ハズレスキル【眼福】で覚醒したら精霊にも吸血鬼にも魔王にも狙われたけど美少女戦士たちとSSSSSSSSランクの幸福を極めました!!!!〜  作者: 夢間欧
第11章 SSSSSSSSSSS〜もしアホが「あの戦争」に介入したらって歴史イフが始まっちゃったんですけど自信なさすぎて怖いよ〜
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第137話 追い詰められた王

「あーあ陛下」


 と僕は言った。


「ついに魔王に、骨の髄までアホにされましたね」


「何で?」


「戦争なんて、アホの極みですよ」


「そう?」


「そりゃそースよ。いいことなんか、ひとっつもないですよ」


「そうかなあ……」


 グリアム王は、腕組みをして考え込んだ。


「あんだけ考えたんだがなあ……」


「それ!」


 僕はビシッと王を指差した。


「考えるから間違えるんです。考えないで、答えを出して下さい」


「考えないで、どうやって答えを出すの?」


「陛下は戦争をしたいですか?」


「いや、したくはないよ」


「はい、答えが出ました。したくないのなら、しないのがいちばん!」


「しかしいくら余がしたくなくても、世界情勢が」


「そんなものは無視しなさい。世界は魔王の影響下にあるでしょ? その世界の情勢に踊らされたら、魔王の思う壺ですよ。だって魔王は、人間同士が殺し合うところを見たいんですから」


「それ、各国の王に教えてきてくんない? 無理?」


「僕じゃなくて、陛下がやるべきです。魔王に牛耳られてきたナン国の王が言えば、説得力がありますよ」


「でもさあ、ミラ国もヒノ国もシン国も、みんなナンを狙ってんだもの。その王の余が何を言っても、それこそ『今さら遅い』じゃない?」


 解説しよう。


 この世界は、4つの国に分かれている。


 寒ーい北がナン国。資源も金もない。転生前の世界でいうと、ちょうど世界大戦の前のニッポンみたいな感じ。


 南がシン国。僕が転生して、グレアム隊長やセイラたちと出会ったのもそこ。転生前の世界でいうと、アメリカみたいな感じ。


 東がミラ国。ここがちょっと不気味。謎が多いっていうか、何でも世界中をペンキで赤く塗ることを狙ってるとか。意味不でしょ? 転生前の世界でいうと、ロシアかなあ?


 西がヒノ国。ここは軍国主義のイメージ。アイラブ戦争って感じで怖い。この国の王のチョビひげも、どうもビジュアル的に怖いんだよね。転生前の世界でいうと、世界大戦のときのドイツだね。


「ねえ、陛下」


 僕はグリアム王に訊いた。


「ナン国は戦争はしません、中立国家ですって宣言したらどうですか?」


「フム。しかし相手のあることだ。ウチはそんなの知らない国家ですって攻められたら、意味なくない?」


「そしたら降参しちゃいなさい。降参しても最悪奴隷になるだけで、フツーは殺されません。でも抵抗したら国民全滅ですよ。だってナンはむちゃくちゃ弱いんですから」


「何を!!」


 衛兵たちが色めき立った。そこで僕はすかさず、


「じゃあ陛下。兵隊の長に訊いてみたらどうです? 戦争して勝ち目があるかって」


「そうだな。おい、デズモン」


「ハイッ!」


 1人の兵が前に出て、王に敬礼した。


「お前はどう思う? 戦争した場合」


「ハイッ! 緒戦は勝ってみせます!」


「あとは?」


「ハイッ! 資源が少ないので、戦いが長引くと不利です。ですから緒戦に勝った勢いで、有利な講和条約を結びます!」


「それしかないか?」


「ハイッ! それしかありません!」


「じゃあ奇襲しよう。先制攻撃で、緒戦をとるのだ」


「ダメダメダメダメ!!!!」


 僕は全力で止めた。


「そんな、最初だけ勝ったって、資源のない国がどれだけもちます? 相手もそれを知ってるんだから、持久戦をとりますよ。そうなった場合、ナンに打つ手がありますか?」


「……ない?」


「100パーセントありません。どうかしっかりと、現実を見て下さい」


「アリスターくん」


「はい?」


「そりゃあ余だって戦争はしたくないし、軍が本当に勝つ自信はないことくらい知っている。しかしだね」


 グリアム王は金の王笏で、四方八方を指した。


「どの国も、自分たちの手に世界を入れようと狙ってる。そして我が国が、その中で断トツに弱い。だからといって、我々が黙って負けていい理由があるかね? 奴隷になる? 冗談じゃない。王たる余が、自分の国民を他国に売り渡すことができるかっ!! それだったら、もう大暴れに暴れて、一発逆転に賭けるしかない。それが現実なんだ!!!」


 グリアム王の目は真っ赤に充血していた。


 その目を見ることは、とても悲しかった。


「陛下」


 僕は静かに言った。


「もう、外交でどうにかする道は残されていないんですか?」


「極めて難しい」


 グリアム王は腕組みをした。


「他国はもうナンを植民地にしようと決めているんだ。こっちを対等と見てない相手と、まともな外交なんてできないよ」


 ますますもって、転生前の世界とそっくりになってきた。


 アメリカがニッポンに突き付けた、最後通牒とも呼ぶべきハル・ノート。あれによって、ニッポンは外交による平和解決を諦め、そして泥沼の太平洋戦争に……


 うーむ、これはイカン。


 僕は転生前の知識を活かして、何としても、こっちの世界のナン国を亡国から救わなければ!!!


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