表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境の地に追放された元隠キャ〜ハズレスキル【眼福】で覚醒したら精霊にも吸血鬼にも魔王にも狙われたけど美少女戦士たちとSSSSSSSSランクの幸福を極めました!!!!〜  作者: 夢間欧
第10章 SSSSSSSSSS〜ここからは第3部っていうか吸血鬼の次はそりゃ魔王だよねーっていうか何故か逆シリアスに【極振り】しました〜
130/283

第130話 会ったら魔王はヤバかった!!!!

「でもね」


 と、グリアム王は補足して言った。


「魔王の本当の姿って、余も見たことないから」


「あ、そうなんスか?」


「うん。いつも何かに化けるんだよね。でないと、人間とコンタクトできないんだって」


「なるへそ」


 僕がすぐに理解できたのは、精霊とコミュニケーションをとった経験があるからだ。


 精霊は必ず、小人やキツネの姿になって現れた。魔王も要は、あんな感じで人間と会話するってことだろう。


「でも陛下は、魔王を呼べるんですね?」


「つーか、この会話も聞いてっから、たぶん」


「マジで?」


 僕は王の間をキョロキョロした。


「出てこい、魔王! なんちゃって」


 ついふざけたくなってふざけると、


「さっきからいるわい!!!」


 グリアム王の王冠のてっぺんに、ピョーンとカエルが出現した。


「呼ばれてジャジャーン、魔王ですっ!! てなこと言っとりますけど」


 …………


 これが、魔王?


 怖くねー。


 っていうか、ある意味怖いか?


 クスリでもやってんのかよ、と疑わせるイッちゃってる感じで、魔王カエルはしゃべった。


「吸血鬼との戦いは観てたヨン♪ いやー面白かったっスね〜。オオカミ男の心臓に穴を開けたシーンが最高」


「お前が魔王かっ!」


 僕はいちおう、緊迫感を出したほうがいいかと思って、カエルをビシッと指差して言った。


「いや、カエルです」


 と、カエルは澄ました顔で言ったあと、


「嘘嘘。実は魔王でぃす」


 と、ぺちんと自分の頭を叩いた。


(……笑いのツボが絶望的に僕と違う)


 僕は、魔王との距離感を測りかねた。


 するとカエルは急に眉毛をキリリッとし、


「ところで吸血鬼とオオカミ男だがな、あいつらを戦いたい気分にさせたのは俺だぜ。なぜかって? ブハハハハハハ、グハハハハハハ!!! そりゃーモロチン、いや、もちろん、派手な殺し合いを観たかったからだぜ!!!」


 訊いてもないことをズンズンしゃべり、自分の言ったことに笑う。


 ウザッ!!


「おたくらのパーティーがその戦いに巻き込まれたのも、俺の計算済みだった。ただ、おたくらが勝つ予定じゃなかったがね。なのにそうなったのは、精霊のトンマが余計なことをしたからだ。まあ、誰が勝とうと、俺は殺し合いを観れればそれでいいがね」


 クワックワックワッとカエルは笑った。


「ところで、おめでとう、勇者アリスター君! あの戦いでSSSSSランクに成長したって? 10万年に1人だって? スゴ〜い! でも1つだけ言わせてくれる? 俺、1億年生きてっから。10万年なんて、俺にとっちゃ一瞬なんだよねー、残念!!」


 腹立つわー。ホント嫌いなタイプ。


(しかし魔王は1億歳か。じゃあ、ものスゲージジイじゃん)


 と、そう思ったとき、地獄谷で出会ったしわくちゃのBBAを思い出した。


 あれはキツネが化けた老婆だった。今ではその正体が、精霊だということを知っている。


 あのときBBAは、自分の年齢が1億歳だと言った。


 つまり魔王と精霊は、同じころに誕生したのだ。


 そういえばBBAは、自分が人類を産んだとも言っていた。


 そのときは、とんでもないホラだと思ってムカついたけど、精霊が究極の善だとわかってみると、逆に気分がいい。


 人類は「善なるもの」の子孫。ってことは、やっぱり人間って根は「善」なんだよ。だったら【幸福】になってもいいよね?


 その一方で、魔王という「悪」も太古から存在している。


 たぶん吸血鬼は、その子孫の代表だ。


 僕は、どれだけ魔王は悪いのかを知るために、カエルを【眼福】で視てみた。


 …………


 どうも、黒すぎてよくわからない。


 きっと、あまりにも邪悪すぎて、人間の理解の範囲を超えちゃってるんだろう。


 つまりは究極の悪。精霊の対極の存在が魔王だ。


(こいつが滅びてくれなければ、世界は真の【幸福】にはなれない)


 それを悟った。


(でも戦って勝つことができるか?)


 どうも無理そうな気がする。だけど、


(僕らには精霊がついている。きっと最後は「善」が「悪」に勝つ!!)


 という希望も感じた。


「何考えてんだ、勇者クン。俺と戦っちゃう気? こわーい!」


 魔王カエルは僕の心を読んでそう言うと、ムンクの叫びと同じ顔をした。


「まー無駄だからやめときなさい。それよりさ、これから世界じゅうを悪夢のズンドコ、じゃなかった、ドン底に突き落としてやろうと思ってるから、楽しみに待っててね。精霊なんかにゃ負けねーよ。じゃーねー!!」


 カエルは不気味な宣言を残して消えた。


 魔王のやつ……


 この世をアホに変えるだけじゃなく、いったい何を企んでるんだ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=35567082&size=88
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ