表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辺境の地に追放された元隠キャ〜ハズレスキル【眼福】で覚醒したら精霊にも吸血鬼にも魔王にも狙われたけど美少女戦士たちとSSSSSSSSランクの幸福を極めました!!!!〜  作者: 夢間欧
第10章 SSSSSSSSSS〜ここからは第3部っていうか吸血鬼の次はそりゃ魔王だよねーっていうか何故か逆シリアスに【極振り】しました〜
129/283

第129話 僕のキャラがブレてるのは魔王のせいです!!!!

「いやいや、余計なプレッシャーを与えてスマン。まずはゆっくりと、我が国の見物でもしてくれたまえ」


 グリアム王は鷹揚に言って、イシシと笑った。


(しっかし、どうして王の立場にいるくせに、あいつはあんなにキモい笑い方しかできないんだ?)


 と、いきなり衛兵が近づいてきて、僕の喉元に槍の切っ先を突きつけた。


「な、何ですか、急に?」


「お前今、無礼なことを考えただろう?」


「……考えてませんけど」


「嘘をつけ! あの笑いを見れば、誰だってキモいと思うはずだ!」


「…………」


「正直に白状しろ! キモすぎて、おえつが止まらなくなったとな!!」


「あいつを引っ捕らえろ!」


 僕の目の前で、その衛兵は両脇を抱えられて連れ去られた。


 たぶん、即死刑執行だろう。


 だってあの兵士、嗚咽のことをオエッてなることと間違えてんだもん。嗚咽はむせび泣くことだよ!


 グリアム王は、エヘンと咳払いした。


「さて、きみのパートナーが、めでたく今月の美少女レースに優勝した。ということで、いつもなら、ここでサプライズプレゼントを渡すところだが」


 グリアム王は、もったいぶって言った。


「きみは弟の寄越した客人でもある。だから、今回は特別に欲しいものを聞こう。何がいい?」


 難しい質問をしてきた。


 僕は小声でセイラに訊いた。


「どうする?」


「無難に、武器とか防具でもお願いしたら?」


「欲しい武具があるの?」


「特にないけど……」


「じゃあ僕が決めてもいい?」


「え? アリスター、欲しい武具があるの? 平和主義者なのに?」


「早くしろ! 陛下をお待たせするな!」


 1人の衛兵が、詰め寄ってきた。


「我が国は貧乏で有名なんだ。高いものなんか頼んだら、ドケチの陛下はブチキレるぞ!」


「引っ捕らえろ!」


 またも王の命令で、衛兵が消えた。


「値段は気にするな。さあ何がいい?」


「ではお願い申し上げます」


 僕はグレアム王の前で片膝をつき、頭を下げて願い出た。


「賞品として、ぜひ、この国を牛耳っているという魔王に会わせて下さい」


「何をっ!!」


 衛兵たちとレフェリーのジョーが、血相を変えて叫んだ。


「陛下! この無礼者にどうか死刑の命令を!!」


 王の間に緊張がみなぎる。


 が、グリアム王は、下がっていろと衛兵たちを制し、


「なんで魔王なんかに会いたいの?」


 興味津々といった様子で尋ねてきた。


 僕は少しだけ頭を上げて答えた。


「はい。陛下はさきほど、この世界が【幸福】になるところを見たいと申されました」


「うん、言った言った」


「そのためには、魔王がいては困ります。普通、そうですよね?」


「魔王と【幸福】は両立しないか?」


「って思うんですよね。魔王が悪かったら」


「まー、善人じゃないよねー」


「僕、【眼福】で魔王を視てみたいんです。もし魔王に、いいところが針の先ほどでもあれば、僕は見落としません」


「あ、そう」


「で、もしそうだったら、両立できる可能性があります。でも正真正銘の悪だったら、そいつが存在する限り、僕は眼福マスターになれず、世界も【幸福】にはなれないと思うんです」


「なるほど。それで、もし魔王がむっちゃ悪かったら?」


「対決する運命になるでしょう。吸血鬼もそうでした。そして、吸血鬼には勝ちました」


 グリアム王は、玉座に寄りかかって脚を組んだ。


「吸血鬼は確かにビッグネームだけど、魔人の1人じゃん? 魔王とは較べものにならなくない?」

 

「そうですかねえ。吸血鬼も最強と呼ばれてましたけど」


「魔王はスケールが違うよ。だって、ナンの国民をみんなアホにしてるんだぜ? 影響力が半端ないっしょ。きみも我が国の街に着いたら、アホにキャラ変しただろ?」


「いいえ」


「いや、したって。自分で気づいてないだけだよ。まったく無意識にアホになってるんだよ」


「うーん……」


「きみ、空気は無意識に吸うでしょ。どう?」


「それはまあ」


「魔王の影響力ってそうなんだよ。要するに空気でさ、知らず知らずに呼吸して、影響されちゃってる訳」


「つまり、この国で空気を吸うと、アホになるってことですか?」


「そーゆーこと」


「何で魔王は、そんなことをするんです?」


「そりゃー人間を堕落させたいんじゃない? それが楽しいんじゃないの、きっと」


「じゃあやっぱり、【幸福】との両立は難しいですね」


「だけど我が国民は、案外幸せそうだよ」


「それはアホだからでしょ?」


「そうなんだけど、もうそれが普通になってるから。国民全部がアホなんだから」


「根が深そうですね」


「でも魔王の影響って、我が国だけじゃないぜ。ほかの国も、ジワジワとアホ化されてっから」


「マジすか?」


「マジマジ。最近魔王、本気出してるし」


「ヤバいっすね」


「別に。世界がアホになれば逆に平和じゃん?」


「いやー、それじゃ魔王の思う壺っしょ。やっぱ対決かなーこりゃ」


 僕がそう洩らすと、


「1回会ってみる?」


 グリアム王が言ったので、目が点になった。


 そんな知り合いの女の子を紹介するみたいに、気軽に魔王に会わせてくれるんスか!?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=35567082&size=88
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ