第122話 スライムからリスタート!!!!
街に着いて空気を吸ったらすべてが変わった。
だってそこは、僕が転生前の世界で遊びまくったゲームに出てくる街そっくりだったんだもん♡
陰キャだったころの魂が甦ってきましたよォ。
よォ〜し、キャラ変ダァーッ!!
「みんなー、この街では遊ぶぞ! 遊んで遊んで遊んで遊んで遊びまくれーい!!」
「アリスター早速キャラ変かあー。俺も何だか暴れたくなってきたぜ!」
「暴れん坊かあ、ジャック?」
「でも夜は甘えん坊じゃい!」
夜は。
甘えん坊♡
ファンキーだぜい!!!
「OHセイラ! きみもキャラ変した?」
「変わんなーい。だってもともと美少女だしい」
「メタメタ美少女やなあ!!!!」
「あたしはどう?」
「ルイベはビチビチ美少女や! 旅楽しー!!」
「なんじゃあああああああ!!!」
鬼のオーガが、こめかみの血管を怒張させてわめいた。
「街道にスライムが現れたあああ!!!」
鬼はバカなのか?
「スライムは現れるからスライムでしょうが。現れなかったら透明人間だろー?」
「だって初めて見たんだもん。超こわーい」
あ、そっちにキャラ変したのね。
「じゃあこうするー」
小鬼のオークがスライムをつかんでグニュニュニュニュと握り潰した。
スライムの正しい遊び方ですねっ!
* * *
僕たちはギルド酒場に行った。
マスターにまずは軽く自己紹介。
「信じないかもしれないけど、僕さっき、吸血鬼の心臓に杭を打ち込みましたよ」
「信じないよ」
マスターは拭いてるグラスから目も移さない。
でしょーね!
その北の酒場には長い髪の女じゃなくてロン毛の兄ちゃんがいた。
「セイラ、あの兄ちゃん面白そうだから【鑑定】して」
「こんなん出ましたあ!」
───────
第1街人
名前:タカシ
タイプ:陽キャ
こいつから街の情報を得るべし!!
───────
陽キャかあ。ズバリ敵です。
「どーもタカシさん、いい天気ですね」
「勝手に名前を【鑑定】すんなよ」
「僕、吸血鬼を斃したアリスターという者ですけど、そんな噂聞いてません?」
「初知りだね」
「ま、ついさっきのことなんで。タカシ広めてよ噂。噂話好きでしょ?」
「何勝手に決めてんの?」
「嫌い??」
「そりゃー噂話は好きだけど、吸血鬼なんて大したことないじゃん」
「いやいやいやいやいやいやいやいや!!!!」
これだから田舎者は嫌いだっ!
「吸血鬼は魔人で最強ですよ? 知らない? それに勝ったんですよ?」
「だってその上に魔王がいるじゃん。だったら魔王を倒してよ。ずっとナンの国は、魔王に牛耳られちゃってるんだからさ」
え、マジで?
「魔王がいる割には結構タカシも【幸福】そうじゃん。それとも【不幸】?」
「よくわかんねーなー。魔王ってさあ、人間をアホに変えて愉しんでるらしいんだけど、アホになると何か幸せっぽくなるじゃん?」
「あータカシみたいにね」
「アリスターだっけ? あんたもここに来たら、アホになったでしょ?」
「ならないよ。超失礼だね」
僕は魔王の影響など受けない。
「まーこの国は貧乏だけど、幸せっちゃー幸せかもしんないね」
「魔王におちょくられる幸せか? そんなのニセモノの【幸福】だね。よし、魔王退治すっか!」
ミッション確定。ナンの国を牛耳る魔王を倒すこと!!
でもその前に。
「僕たち街に来たばっかりなんだけど、遊ぶとこあるタカシ?」
「女遊びのこと?」
「あーでも僕らのパーティーは美少女が2人もいるしねー。見る?」
するとタカシのやつ、眼球をニュッと伸ばしやがった。
「オエッ、キモッ!」
「ワオ! マジ美少女じゃん。あんたの彼女?」
「目を引っ込めろ! このドスケベ!!」
「ああこの目? 【眼球伸ばし】は最近トレンドのスキルだよ。主に女性を鑑賞するときに使うんだ」
「そんなスキル羨ましくないわ! 僕は【眼福】があるからいい。えー、ちなみにランクはSSSSSでしてね。10万年に1人の」
と、このせっかくの貴重な情報を、タカシは聞き流すという暴挙に出た。
「そんなことより、今から美少女レースがあるんだけど、きみたち出ない?」
「美少女レェスゥ???」
僕は美少女たちを振り返った。
「てことだけど、出る?
「出る出る出る出る出る出る出る出る出る出る!!!!」
「出る出る出る出る出る出る出る出る出る出る出る出る出る出る出る出る!!!!!!」
どんだけ出たいんだよ!




