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辺境の地に追放された元隠キャ〜ハズレスキル【眼福】で覚醒したら精霊にも吸血鬼にも魔王にも狙われたけど美少女戦士たちとSSSSSSSSランクの幸福を極めました!!!!〜  作者: 夢間欧
第8章 SSSSSSSS〜どうして弱い僕を人狼と吸血鬼の極悪ツートップが狙ってくるのかわからないけどとにかくこの章もシリアスでいくね〜
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第103話 召喚獣のお告げ

 翌朝テントに戻った。


「吸血鬼のところから逃げてきた」


 俺は懸命に、吸血鬼に脅えている芝居をした。


「やっぱりみんなと戦いたい。俺、いや僕、昔の気持ちを思い出したんだ」


 涙を見せると、セイラが強く抱き締めてきた。


 白い首がすぐそばに……


 が、同時にネックレスのチェーンも見えた。あの下には十字架があると思うと、寒気がした。


「人狼の情報をつかんだ。聞いてくれ」


 俺は昨夜聞いたことをそのまま話した。人狼が冥界の王から下半身を返してもらい、今は地上にいるらしいこと。それを天界からガルーダが見張っていて、この近くに来たら知らせようとしていること。


「来るのは時間の時間だな」


 ジャックが腕組みをした。


「やつが現れたら、吸血鬼を一緒に倒そうと持ちかける。アリスターが吸血鬼のアジトに案内する。人狼が、寝ている吸血鬼の心臓に杭を打ち込む。その瞬間、銀の弾をこめた銃で人狼を撃つ。これが作戦の大枠だ」


 テントの中は緊張感で張り詰めた。


「もしも」


 口を開いたオーガの顔は、ピリピリしていた。


「最初に人狼の説得に失敗したら殺される。例えそれに成功しても、吸血鬼に勘付かれてアジトで待ち伏せされてたら殺される。首尾良く吸血鬼を倒せても、1発で人狼の急所を撃ち抜けなかったら殺される。どの局面も危険だらけであることを、よく認識しないといけない」


「わかってるわ」


 セイラの声も、オーガと同じくピリピリしていた。


「常に死と隣り合わせなのはそのとおりよ。だけど、人狼に復讐を誓われた私たちは、この作戦に賭けるしかない。どんなに危険でも、やるしかないのよ」


「そうだなあ」


 いつも楽天的なオークも、神妙な面持ちで言った。


「毎回そう都合良く、スーパーフェニックスが発動してくれるとは限らないしなあ。ヒーリングの通用しない即死技を食らったら、俺たちはそこで全滅だ」


「そうかしら?」


 とルイベは、一縷の望みにすがりつくようにして言った。


「もし天が味方してくれるなら、またスーパーフェニックスは出ると思う。1度奇跡が起こったんだもの。きっとまた天が助けてくれるわ」


(あれは天じゃなくて、吸血鬼様がやったのだ……)


 が、それについては黙っていた。


 もし言えば、この作戦を吸血鬼様が利用しようとしていることがバレてしまう。


 みんなには、天が味方していると信じさせておいたほうがいい。


 今後もし、人狼にやられそうになっても、吸血鬼様がまた助けてくれるだろう。


 俺だけがそれを知っている。


「まあとにかく」


 ジャックが一同を見回して言った。


「今さらジタバタしても始まらない。旨い飯でも食おう。あと、遊牧民の人たちとはここで別れるのがいいと思う。俺たちといたら、巻き添えを食う可能性が高いからな」


 遊牧民のやつらはそれに反対し、一緒にいようとしたが、結局説得された。


 朝食後、遊牧民たちは北東の方角へ去っていった。


「ところで」


 俺はセイラに訊いた。


「人狼を撃つ拳銃はあるのか?」


「まだよ」


 とセイラは首を振った。


「人狼と交渉するときに、銃を見つけられたらマズいでしょ? だからギリギリまで持たないでおいて、人狼が吸血鬼退治に集中しているときに、オークが【盗む】で入手する予定。銀の弾もね」


「撃つのは誰?」


「ジャック。彼しか撃ったことがある人はいないの」


「実戦ではないがな」


 ジャックは渋い顔をして言った。


「射撃場で遊んだことがあるくらいで、正直自信はない。人狼に気づかれないように、できるだけ接近してから撃つよ」


 雑な作戦ではある。人狼の反射神経は、おそらくとんでもない。いくら隙があっても、射撃場で遊んだ程度のジャックに、1発で急所を撃ち抜けるとは思えなかった。


 だが結局、ジャックにその出番はない。


 実際に撃つのは吸血鬼様だ。


 人狼をうまく騙して地下墓地カタコンベに連れていきさえすれば、必ず吸血鬼様がやってくれる。


 万が一にも、人狼に負けることなどない。


 そして、そのあと俺たちは、馬車に乗って歓楽街に行く。


 吸血鬼様が約束を守って下されば……


 もちろん、守るだろう。


 人狼さえ倒せばお前たちのことはもういいと、言って下さったのだ。


 俺は再びこいつらと旅をする。

 

 俺のために、命を捨てると言ってくれたこいつらと……


 そのとき、急にテントの中が明るくなった。


 強力なライトで照らされたかのように。


「何だ?」


 警戒しながら、オーガが入口の布をめくる。


 みな、そこから外を覗いた。


「あっ、あれは!」


 天が割れ、金色に輝く山のように大きな鳥が、翼を広げて降りてきた。


 召喚獣ガルーダだ。


 ということはーー


「ガルーダ! 人狼が来たのか?」


 空を仰いで訊くと、召喚獣は首をゆっくりと縦に動かした。


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