意外と肥料ってヤバいものを使いがち
壮志郎のダンジョンでの生産物として望まれているのは、塩らしい。
だが、地図で見る限り、海からそう離れていないように見える。
「海が近いようですが、そこから塩は入ってこないんですか? こう、製塩とかして」
「やってできなくはないのでしょうがね。問題があるのですよ」
苦い表情で言う桑島の言葉に、パルタパルも同じような顔でうなずく。
どうやら、かなりよく知られたことらしい。
「あのあたりの海岸は、かなり荒い岩場になっておりましてな。地形的に塩造りに適していないのですよ。さらに、海陸共に魔獣が多く生息しておるのです」
なるほど、地形も関係するのか。
思わず納得する壮志郎だったが、気になる単語も出てきた。
「魔獣、ですか。私の居たところにはそういったものがいなかったんですが。やはり危険なんでしょうね」
これに答えたのは、5番だった。
「田沢さんに分かりやすく言うとすると、そうですね。積極的に人間を襲うエゾヒグマぐらいの危険度のものが、野良猫ぐらいの感覚で割とその辺にいる。といった感じでしょうか」
「それは。人間の住める環境ではないのでは」
危険などというものではない。
普通のエゾヒグマでさえ、人間が銃を持ってやっと対抗できるレベルなのだ。
それが「積極的に人間を襲う」となったら、もはや手が付けられない。
例え銃を持っていたとしても、まともに対抗するのは相当に難しいだろう。
しかもそれが「割とその辺にいる」となれば。
壮志郎に言わせれば、それは塩造りに適する適さない以前に、人間の住む環境ではない。
「もちろん、というかなんというか。水の中にも危険な魔獣がいますので。そもそも、漁すらままならない海域なんですよ。いわんや、塩造りなどは、ですね」
「現状、遠くから買い付けるしかない訳ですな。私のダンジョン周辺でも、かなり遠くからの輸入に頼っておるような状態です」
桑島は困ったような顔で、肩をすくめる。
パルタパルも共感するように、何度もうなずいていた。
「私のところも似たような状態です。何しろ、塩は人間が生きるのに必要不可欠なものですからね」
日本という国は、島国である。
豊富な水源が多いこともあり、水と塩には困らないお国柄だ。
だが、桑島やパルタパルのダンジョン周辺では、そういうわけにはいかないらしい。
「となると、私のダンジョンでの生産物は、塩がいいですかね」
「そうしていただけると、助かりますな」
「塩が手に入りやすくなると、街も発展しやすくなりますので」
生活必需品が手に入りやすくなるというのは、その土地で生きやすくなるということだ。
もちろん、栄えていくことにつながる。
この世界におけるダンジョンの存在理由から考えても、歓迎すべきことなのだろう。
「他にも、何かあったほうがいいですかね? それとも、塩単体だけの方が?」
「大きいものは塩として、他にもちらほら産出する形にして頂ければと思います。鉄や銅、ちょっとした宝石あたりですかね。まあ、それらはあくまでサブ的なものとしてですが」
5番の言葉に、壮志郎はなるほどと頷いた。
どうやら、塩だけ産出していればいいというわけでもないらしい。
「あまり単一のものだけだと、不自然になりますので。ごく少量、他のものも出たほうがいいんですよ。まあ、後で構いませんので、いくつか私の方に候補を送ってください。確認させて頂きますので」
「わかりました。そうさせて頂きます」
相談させてもらえるというのは、非常にありがたかった。
問題を起こさずに済みそう、というのは、精神衛生上非常によろしいのだ。
パルタパルが、「ほかに、ということでしたら」と切り出した。
「魔石などはどうでしょう。そろそろ必要になってくるかと思いますが」
なにやらファンタジーな単語の出現に、壮志郎は思わず「おお」と声を漏らした。
「魔石って、何に使うんです? 魔法の道具を作ったりとかですかね?」
「主に、肥料として使われます」
「へ?」
パルタパルからの予想外の答えに、壮志郎は間の抜けた声をだした。
それを見た5番が、思わずといった様子で苦笑する。
「この世界には、魔力というモノがあるのですが。大半の生物は、これを生命活動に利用しているのですよ。地球でいう、電気、炭素、水素、酸素といったもののような。まあ、この世界独特のモノ、と認識していただければ」
地球の生き物も、身の回りにある様々なものを利用して生きている。
この世界でも同じように、身の回りにある「魔力」とやらも利用して生きているのだろう。
まあ、地球と違い、「進化の過程でそうなった」のではなく「神にそうデザインされた」らしいのだが。
「多くの生物が、様々な方法で魔力を吸収、排出しているのですけれどもね。とりわけ植物なんかは、成長するときに多くの魔力を必要とするんですよ。なので、水や肥料なんかと同じ感覚で、砕いた魔石を畑にまくんですよ」
魔石というファンタジーなアイテムなはずなのに、利用のされ方は恐ろしく現実的なようだ。
「魔法の道具の材料に使うー。みたいな感じじゃないんですね」
「そういう利用のし方も、最近は研究されておるようですな。いくらか、実用段階のものもあるとは聞きます。ただ、産出するのが小さな魔石ばかりなうえに、農業利用の方が重要ということで、なかなか進んでおらんようではありますが」
「流石、良く情報を集めていらっしゃいますね」
桑島の言葉に、パルタパルは感心したような声を上げる。
「うちは、生産物が鉱石類ですからな。市場に合わせて調整せねば、色々と面倒なことになるのですよ。情報を集めるのも仕事のうちということですな。まあ、なかなかうまくはいきませんが」
供給する立場なわけだから、需要を調べる必要もあるらしい。
妙なところで世知辛そうなダンジョン経営である。
顔をしかめてしまいそうになるのを、壮志郎はギリギリのところで耐えた。
感情が顔に出るのをある程度でも我慢できるようになると、それだけ随分生きやすくなる。
壮志郎の持論の一つだ。
「では、塩と魔石を産出するダンジョン。ということで、大丈夫ですかね?」
「そうですね。一先ずその方向でお願いしましょうか。お二方も、それでよろしいですか?」
5番に問われ、桑島とパルタパルはそれぞれに答える。
「そうしていただけると、助かりますな。無論、田沢さんがそれでよろしいならばですが」
「私の方も問題ありません。同じく、田沢さんの意思を尊重していただければと思います」
両者とも、最終決定権は壮志郎に委ねてくれるようだ。
とはいっても、壮志郎には何か考えがあるわけでもない。
生来、どちらかというと一から自分で考えるというのは苦手な性質である。
「いえいえ。ある程度どうすればいいか方向性をいただいた方が、考えやすいですし。では、塩と魔石を基本に、他を少々という形で。進めていこうと思います、はい」
こうして、壮志郎が作るダンジョンでの、主な産出物が決まった。
産出物を決めた後、あれこれと世間話などをしてから、通話は終了した。
「塩と魔石かぁ。言い方を変えると、調味料と肥料なわけなのよね。せっかく魔石なんてファンタジーっぽい響きのもの扱うのに、現実が押し寄せてくる感じだわ」
「とはいえ、地球でも肥料は非常に有用な資源です。魔石というのはほかに代用が利かないようですし、重要度は高いでしょう」
ソッティーにそう言われ、壮志郎は小さく唸った。
通話中に聞いたところによると、魔力を畑に与える方法は、今のところ魔石を使うものが最も効率が良いとされているらしい。
また、収穫の増加以外にも、良質な作物が育ちやすくなる効果もあるのだとか。
食料生産力が高いとは言えない国が多いこの世界では、まだまだ魔石の「肥料」としての重要性は高いのだろう。
「まあ、そりゃそうよね。食料が無いと生きていけないわけだし。でもさ、魔石を材料に、魔法の道具を作る研究も最近はされてる。って、桑島さんが言ってたでしょ? そう考えると物騒だよね」
「地球の肥料も相当に物騒だと思いますが。硝酸アンモニウムを使っているのですよ」
「それもそうね」
肥料としてもちいられることも多い硝酸アンモニウムは、爆弾の材料にもなる。
魔石の肥料として以外の利用はまだ研究が始まったばかりだというから、何なら地球の肥料の方が物騒だと言ってもいい。
「ところでさ。塩とかってどうやって冒険者に収集させればいいの。宝箱とか?」
「そうですね。次はそのあたりのことについて説明する予定でした。まず大前提としてですが」
「まってまって。その話って難しい? おじさん、もう脳のキャパがやばいんだけど」
歳をとってくると、一度に覚えられる新しいことの数が、限られてくるのだ。
もちろん、若いころに覚えられる量が元になる。
壮志郎は若いころから物覚えがあまりよろしくない方だったので、この歳になるとますます許容量が少なくなっているのだ。
「ええと。なるべく簡単に説明します」
モンスターは、大きく分けて二種類に分類できる。
一つは、瓶にダンジョン力をつぎ込むことで受肉した、ソッティーのようなタイプ。
そしてもう一つは、完全な体を持たず、仮初の生命として生み出されるタイプ。
「私のようなタイプは、一つの生命として通常の機能を備えています。食事が必要だったり、生殖が可能だったりするわけです」
「そういえばソッティーって食事とか生殖とかできるのん?」
「いえ。空気中などから魔力を吸収してエネルギーにしていますし、マスターが考えておられるような生殖による繁殖は基本的にしません」
「へぇ。低燃費なのね」
「多くの植物よりはエネルギーを必要としますが。運動量が多いですので」
「受肉タイプ」や「通常モンスター」などと呼ばれるこのタイプは、死ねば死体が残る。
冒険者に収集させたいものを体内に貯め込むタイプ。
あるいは、死体そのものが肉や皮などの素材になるタイプの場合は、これが多く用いられる。
「ただ、これはダンジョン力の必要量が多く、経済的ではありません。そこで最も多く使われているのが、もう一つのタイプ。リポップモンスターです」
ダンジョンコアを使って設定した位置に、仮初の身体を持ったモンスターを生み出す。
このモンスターは知能にかなりの制限がかけられており、会話などが成り立たず、最初に設定した行動しかとることができない。
また、絶命すると身体は空気中にとけるように消滅してしまう。
その際、やはり最初に設定して置いた「素材」をその場に残す。
「やだ。なんて都合のいい。ゲームみたいじゃない?」
「神様が人間に素材を渡す目的で作ったモノですから」
それなら、都合がいいのも当然である。
また、「リポップモンスター」は、ダンジョンにしか存在しないらしい。
そのため、「リポップモンスターがいる場所=ダンジョン」という認識が、人間達の間では成り立っているのだそうだ。
「新しいダンジョンが発見される際の、指針の一つということですね。ちなみにリポップモンスターの設定と設置に必要なダンジョン力ですが、平均して通常モンスターの三倍程度です」
「あら、結構お高めなのね」
「ただ、一度設定してしまうと、絶命しても一定時間経過すれば、再びモンスターが生成されます。つまり、リポップ。何度でも同じモンスターが生み出され、追加のダンジョン力消費が必要なく、素材を人間に提供できるわけです」
「ホントにゲームみたいだなぁ。つまり、そのリポップモンスターに、絶命した時に塩や魔石を落とすような設定をすればいい。ってことね」
「そうなります。ちなみに、絶命と言っていますが、正確にはリポップモンスターに生命はありません。なんというか、触ることができる立体映像のようなモノです」
「すげぇなぁ。一気に異世界感出てきた」
土台となる場所を作り、リポップモンスターを配置する。
それだけで、とりあえずはダンジョンとして機能するらしい。
「そうなるとさ。通常モンスターって何のためにいるの。リポップモンスターだけでいいんじゃ?」
「私のようにダンジョン制作の補佐。ダンジョン内部で悪さをする人間を確実に叩くため。周囲の情報収集。そのほかにも、細かな作業や調整が必要だったり、確実性の高い戦力として必要でしょうね」
「そりゃそうか。ていうか今ソッティーがやってるのがまさにリポップモンスターじゃ不可能な仕事なのか。納得ですわ」
要は使い分け、ということだろう。
大雑把に言って、リポップモンスターは倒される用。
通常モンスターは従業員、といった感じなんだろうな、と壮志郎は理解した。
「で、土台となるダンジョンっていうのは、どうやって作るの」
「ダンジョンコアの、ダンジョン制作機能を使います」
「アプリ機能みたいな感じなのね」
「そんな感じです。ソレで設計をし、実行すると、件のガラス瓶が現れます。そこにダンジョン力をヒシャクで注ぎ込むと、ダンジョンが制作されます」
ガラス瓶とヒシャクという単語を聞き、壮志郎は露骨に顔をしかめた。
最近目もかすんできたし、手も震えてきたおじさんである。
あの細かい作業は、正直なところ相当キツイ。
「そういえばさ。ダンジョンを作るにしても、今ってダンジョン力無くない?」
ソッティーに相当な量を使ったので、ダンジョン力の残りはかなり少なくなっている。
少しずつ増えてきてはいるようだったが、元の量になるには相当の時間がかかるだろう。
「通常であればその通りですが、マスターの場合はあまり心配する必要はないかと」
「なんか5番さんもそんなようなこと言ってたけど。どういうことなの?」
「お忘れかもしれませんが、私が取得したスキルの中に、ダンジョン魔法というのがあります。これは、ダンジョン力を使わずにダンジョンを制作することができる魔法です」
「マジで。そんなのあったっけ。記憶にないわ」
何なら、一番最近の食事で何を食べたかすら忘れる程度の記憶力である。
ソッティーに設定したスキルのことなど、大半は忘却の彼方だ。
頭痛でも覚えたのか、ソッティーは思わずというように眉間を押さえた。
もっとも、ソッティーの顔面は目も鼻も口もないので、おおよそ眉間と思われる部分、というのが正確だろう。
「ダンジョン魔法の項目に、但し書きがあったと思うのですが。覚えていますか?」
「全然。あ、いや、思い出した。字が細かすぎて読めなかったんだ」
目を細めたり、ダンジョンコアを離したりしてがんばってみたのだが、結局読めなかったのだ。
まあ、毒にはならんだろうということで、取得させていたことだけは覚えていた。
「ダンジョン魔法というのは、特殊な魔法でして。通常はダンジョン力を消費しなければできないダンジョン制作の一部を、自前の魔力で行うことができます」
「なにそれスゴイ。そんなん皆使うじゃん」
「そこで但し書きのことが関わってくるのですが。このダンジョン魔法というのは、他のダンジョンマスターは使うことができません。マスター専用のスキルです」
「んあい? どういうこと?」
「ダンジョンマスターは、全員が固有の特性を持っています。例えば、専用のトラップであったり、モンスターであったり。マスターのそれは、ダンジョン魔法。ということです」
つまり、ダンジョン魔法というのは、壮志郎しか扱うことができないスキル。
ということらしい。
この「扱う」というのは、壮志郎自身が使うことができる、という以外に、「モンスターにそのスキルを与えられる」という意味も含むようだ。
「へぇー。ってことは、ソッティーはダンジョン力を使わなくても、ダンジョンを作れるのか」
「洞窟を掘ったり、既存の土地をダンジョンとして設定したり。あるいは、少々環境を変える、といった程度のことですが。大掛かりなもの以外でしたら、おおよそのことは」
「かっこいー。ていうか、それっておじさんにもできるんでしょ? すっげぇー」
「どうでしょう。確認してみます」
いうや、ソッティーはダンジョンコアを操作し始めた。
「確認なんてできるの?」
「はい。このダンジョンに所属するものに関しては、ステータスが確認できますので」
「すげぇ。ゲームみたい」
「やはり、利便性を突き詰めていくとそうなるのでは。ありました。マスターのステータス画面です。確認してください」
「字が細かすぎて読めないのよ。ちょっと代わりに確認して貰える?」
「そうでした。ええと。ありました。やはり、マスターもダンジョン魔法が使えるようですね」
壮志郎は思わず、「おお!」と感嘆の声を上げた。
それなりの歳ではあるが、壮志郎もライトノベルやマンガアニメで育った世代である。
自分が魔法を使えるようになっているというのは、感じ入るものがあった。
「ダンジョン魔法レベル1だそうです。開墾したり整備した土地を、ダンジョンとして設定することができます」
「ほうほう。ほかには?」
「それだけですが」
「それだけって。なんかこう、洞窟を作ったり、地面を魔法でぐわーってしたりとかは?」
「このレベルですと、そういったことは出来ません。まあ、スコップやショベルで穴を掘ったりは出来ますが」
「自前の腕力じゃんそれ!」
年甲斐もなくワクワクしたこの思いをどこにぶつければいいというのか。
どうしてこうも世の中というのはおっさんに対して優しくできていないのだろう。
「え、ちなみにだけど、ソッティーはどんな感じなの?」
「リポッパー関連のことや物理トラップ系統の設置以外でしたら、大抵のことは出来るようです」
「理不尽じゃない? そういうのっておじさんが無双するためのやつじゃないの?」
「私に関してはマスターが設定されたものですので」
ソッティーのスキルは壮志郎が設定したものである。
「まあ、それもそうか」
ある程度の年になってくると、諦めも早くなってくる。
恐らく、残り少ない人生を楽しく過ごすために必要な身体機能なのだろうと、壮志郎は思っていた。
「ってことはさ。ここから地上に向かって穴を掘って、ダンジョンを作るってこと」
「いえ。いくら壁を掘っても、どこにも行き当たりません。ここはダンジョン管理用の、言ってみれば異空間ですので」
「そうなの!? じゃあ、冒険者どうやってダンジョン攻略するのよ」
「確かにいわゆるダンジョン物では、ボスやコアを破壊してダンジョンを壊す、というのは定番ですが」
いわゆるダンジョン物と呼ばれるようなマンガや小説、ゲームなどでは、よくある流れだろう。
だが、この世界の場合は少々事情が異なる。
「そもそもこの世界のダンジョンは、そういう風に作られていません。危険と引き換えに、資源を与えるのが目的の場所ですから」
言ってしまえば、鉱山のようなモノなのだ。
ボスやダンジョンコアを破壊されたら無くなってしまう、というような作りにする意味がない。
ダンジョンを作らせている神様サイドの目的にも、合っていないだろう。
「MMORPGとかのダンジョンに近いのかね。ってことは」
「確かに、そうかもしれません」
「なるほどねぇ。しかし、色々覚えることも考えることもあるなぁ」
壮志郎は大きくため息を吐くと、難しい顔で腕を組んだ。
ひとしきり何事か考えるように唸ると、「よし」と勢い込んでソッティーに顔を向けた。
「一回寝ていい? もう、おじさん疲れちゃってさ」
歳をとってくると、持久力が無くなってくる。
何か一仕事終えると、すぐに疲れて眠気に襲われてしまう。
こういう時はがんばっても体が動かなくなる一方なので、寝てしまった方がいい。
壮志郎の持論の一つである。
「まあ。その。マスターが必要だと思うのでしたら、そうしていただければと思いますが」
「やったー。じゃあ、ちょっと寝てくるわ」
こういう時だけは、素早く体が動くらしい。
そそくさと部屋を出ていく壮志郎の背中を見て、ソッティーは深いため息を吐いた。




