偉い人が視察に来ると、現場はてんてこ舞いになる
ダンジョンの調査団には、調査課所属の従業員達が付きっ切りになっていた。
ガスクラウドにシャドーピープルといった隠密性に優れたモンスター達が中心となり、情報を収集。
アーペインなどが中心となりそれらを精査し、壮志郎に情報を上げる形となっていた。
「ていうか情報処理専門のモンスターの人なんていたの?」
「いや、マスターが呼び寄せたんじゃねぇっすか。瓶にダンジョン力注いで」
「うん、うん。ほら、あのー、呼び出したのも覚えてるし、顔と名前も一致してるのよ。でもほら、何が得意だったかとかすぐに出てこないのよ。会えばわかると思うんだけど」
壮志郎は比較的、名前と顔を一致させて覚えることは得意だった。
その人が何が得意だったかなどという情報も、その人のことを個別に聞かれたりすれば、思い出せる。
だが、「〇〇が得意なのは誰」といった、逆引き的な記憶の引っ張り出し方は苦手だったのだ。
これはおっさん特有の記憶の緩さ、というより、壮志郎個人の欠陥である。
通常のおっさんであれば、顔と名前を一致させて覚えることすら難しいのだ。
おっさんになるというのは、記憶がゆるっゆるになることと同義である。
壮志郎の持論の一つだ。
「絶対に違うともいえないだけに微妙なんすよねぇ。俺も一回寿命で死ぬまで生きてるんで、その辺わかっちゃうのがなんとも」
「世の中って難しいよねぇ」
「マジそれっすよね。いや、それはともかくなんっすけど」
アーペインは脱線しかけていた話を、引っ張り戻した。
ダンジョンの調査団に参加しているメンツが、粗方分かったのだという。
どんな肩書の、どのぐらいの立場の人間が来ているか。
こういった情報というのは、案外重要だ。
何をどのぐらい準備するのか、などといった対策を立てるのに、必要だからである。
それと、壮志郎の心の平穏にも不可欠だ。
「なんか偉い人来てるの? おじさん胃が痛いんだけど」
「エライもエライ。えらい連中が来てるみてぇっすよ。ダンジョン調査の権威に、ギルドお抱えの冒険者。武器、防具、建築、各種の職人に、この地域の教会を束ねるトップも来てるみたいっすね」
「何それ怖い。おじさん既に胃に穴が空きそうなんだけど」
「いやいや。表情変わってねぇじゃないっすか」
「表情筋も衰えてきたのよ」
流石に冗談だろう、と思って笑おうとしたアーペインだったが、「でも壮志郎だしな」という考えが頭によぎった。
結果、何とも言えない微妙な表情で固まることとなってしまう。
おっさんの自虐ネタというのは、たまに笑えないレベルのやつが混じってくる。
アーペインの経験則の一つだ。
「モニターの準備が出来ましたでございマスデス」
何と言ったらいいか考えていたアーペインを助けたのは、ウィーテヴィーデだった。
「準備? って、ああ、ダンジョン監視用の部屋だっけ?」
「そうでございマスデス。ソッティー様に、そろそろ調査団が近づいてくるから、お二人をお呼びするように、と言われたのでございマスデス」
「そっかそっか。じゃあ、行こうかしらね」
壮志郎はそそくさと荷物を抱えると、事務所を出ていく。
アーペインはホッとした顔で、ウィーテヴィーデに向かって両手を合わせた。
「たすかったー。今度、お菓子でも差し入れるっすね」
「楽しみにしているでございマスデス!」
なんだかよくわかんなくても、貰えるものは貰う。
ウィーテヴィーデは割とたくましい性格なのである。
ウィーテヴィーデのダンジョン魔法はかなりレベルが高いらしく、様々な「仕掛け」を設置可能になっていた。
その一つが、「カメラ」だ。
ダンジョン内部を監視するための魔法で、その名の通り映像を取得することが出来る。
その映像は、ダンジョンの管理権限を持つものが頭の中で確認したり。
同じく「仕掛け」である「モニタ」に出力することが出来る。
ちなみに「カメラ」も「モニタ」も別の正式な名前があるのだが、やたら長いうえに分かりにくいので、壮志郎には便宜上そんな名前で説明されていた。
ソッティーによる配慮だ。
「でもさ、カメラなんて仕掛けたら冒険者の人とか、ギルドの人にばれるんじゃない?」
「実害もないですし、干渉してくるものもないものですから。そもそも存在に気が付くのが不可能なのではなかろうかと」
「ぶっちゃけ俺も最初見せてもらったとき、そこにあるって言われても全くわかんなかったっすからね。魔力とかの存在感も皆無だったっすし」
五感で感知することもできず、魔力的にも検出できず、「カメラ」側から干渉してくることもない。
気が付けというほうが無理な話だろう。
「平日の昼間に公園のベンチで座ってるおじさんみたいな感じかしら」
「おおむねそのようなものかと」
「マスター達の世界って、おっさんに厳しすぎねぇっすか?」
壮志郎達は、ウィーテヴィーデが作った、「モニター室」にいた。
場所は、事務所を出てすぐ。
壮志郎が最初に目を覚ましたドーム状の空間にある、ドアを入ったところだ。
事務所の一部を拡張して作ってもよかったのだが、ほかのモンスターが使うこともある、ということで、そこに作られることとなった。
課長クラスの四人はほとんど気にしていないが、こう見えて壮志郎はダンジョンマスターだ。
一般従業員からすれば気を遣う相手であり、そのプライベート空間にも近い場所で仕事をするとなると、緊張を強いることになる。
それは精神衛生上よろしくなかろうと、こんな場所に作ることになったのだ。
「モニタはどういう理屈で画面がでてるの?」
「幻影とか光とかそういう感じのものだそうです。まあ、原理はわからずとも使えるのですから、どうでもよいのではないかと」
「それもそうだねぇ。おじさんも車の原理よくわかってなかったけど、運転してたし」
モニタは部屋の壁一面を使ったもので、いくつもに分割表示されているらしい。
このモニタとカメラの制御には、専門の従業員が当たっている。
同じ型の自動人形数体が、交代で管理をしているのだとか。
モンスターのアラクネの形をした球体関節の人形で、今部屋には二体がいて、業務についている。
ほかの個体は勤務時間外ということで、従業員用の空間にいるのだという。
「ダンジョン魔法とかそんな感じので制御するのかぁ。その、下半身蜘蛛の人達ってウィーテヴィーデちゃんが作った感じだったよね?」
「そうでございマスデス」
「そうだよね。まえにあいさつしたもんね。おじさん記憶に自信がなくてさ。すべての物事がふわっふわしてるのよ。よろしくね、モニタとカメラの管理。無理しない程度にね、ほんとに」
アラクネ型自動人形達は、恐縮した様子で頭を下げている。
冴えないおっさんにしか見えない壮志郎だが、一応ダンジョンマスターなので偉いのだ。
「そろそろ、ダンジョンの中に入ってくるようです」
ソッティーの声に、壮志郎はモニタに目を向ける。
調査隊は、ダンジョンのすぐ外にも拠点を用意している様子だった。
中に入るものの、支援をするためのものだろう。
堅実に調査を進めようと考えるなら、当然の準備だと言える。
「拠点の設営が終わってすぐにかぁ。仕事熱心だね」
「何か問題が起こる前に、少しでも調べたいのかと。ダンジョンからモンスターが出てこないとも限りませんので」
「そんなの出てくるタイプのダンジョンあるんだ?」
「定期的に外部にモンスターを放出するそうです。いろいろと利点があるのだとか」
「色々考える人がいるんだねぇ」
壮志郎は何事か納得したようにうなずきながら、モニタを見上げた。
そこで、ふと何かを思い出したような顔になり、周囲を見回す。
「あの、たびたび申し訳ないんだけど。椅子とかってあるかしら? ずっと立ってるのおじさん的にちょっと辛いからさ」
モニター室はまだできたばかりであり、家具などは納入されていなかった。
ここを管理する予定のアラクネ型自動人形達には、椅子は必要ないこともあり、準備されていなかったのだ。
「申し訳ございません、用意してないでございマスデス」
「ああ、いいの、いいの。従業員の人達使わないだろうしね。おじさん、ちょっと持ってくるわ。あ、ついでに飲み物とかも持ってこようかしら」
「お手伝いします」
「ごめんなさいねソッティー。皆何のむ? お茶とかでいい?」
「日本酒! あるいはビールで!」
「マルさん酒飲むつもりなの!? お仕事中なんだからだめよ。終わってからにして、終わってからに。コーラとポテトチップスかなんかで我慢してちょうだいよ」
「ポテトチップスというのは、食べ物でございマスデス?」
「そうそう。あれ、ウィーテヴィーデちゃん食べたことないっけ? ちょっと待っててね、おじさん今持ってくるから」
「マスター、あまり甘やかさないでください」
壮志郎達がわちゃわちゃしている間に、調査隊はダンジョンの中へと足を踏み入れたのだった。
恐る恐るダンジョンに足を踏み入れたメルディスは、その内装を見回しため息を吐いた。
人工物系統のダンジョンなのか、全体が石材のような素材でできている。
石材のような、というあいまいな言い方になっているのは、不自然な点があるからだ。
まるで一枚岩から削り出したもののように、構造物全体につなぎ目が見当たらないのである。
最初に全体を見渡した時、メルディスは何か引っかかるものを覚えつつも、その正体に気が付くことが出来なかった。
ほかの調査団員がつぶやいた言葉を聞いて、そのことに気が付いたのだ。
なるほど、確かにどこにもつなぎ目がない。
東屋のような建物に、地下へと続く長い階段。
手すりや踊り場などもあるのだが、どこを見てもつなぎ目一つなく、なめらかに全体がつながっている。
それでいて、階段や壁、床、柱などのそれぞれの部位によって、別々の石材になっているようであった。
色や質感が全く別物であるのだが、にもかかわらずつなぎ目が全くない。
一度そのことに気が付いてしまうと、そのことばかりに気が行ってしまう。
メルディスは何とか不安を押し殺しながら、周囲を見回す。
手すりに掴まりながら、ゆっくりと階段を下りた。
「慎重に降りたまえよ、何があるかわからない。と、まぁ、ギルド建物の階段よりよほど安全だと分かっていても、立場上そう言わなければならないんだがね」
「先生。まだ下まで降りていらっしゃらなかったんですか?」
メルディスが先生と呼んだのは、ダンジョンを研究している学者の一人である。
ドワーフ族の老紳士で、ダンジョン内の「構造物のように見えるもの」について多くの知識を持っていた。
今回発見されたダンジョンは「構造物のように見えるもの」、建物に見えるものが多いようだということで、調査団に同行することになったのである。
「どうにもこの階段が気になってね。あまりに見事な形になっている」
「形、ですか? ダンジョン内構造物としては、珍しくない形に見えますが」
「構造物、とは、まだ言わないほうがいいかもしれんよ。それは、知性体が何かしらの意図をもって作ったものを指す言葉だからね。これらはまだ、そういったものであると断定されたわけではない」
「はぁ」
「例えば、アリのような生き物が掘り進み、唾液などで壁を固めた結果、こういう形になった。という可能性もなくはないわけだね」
「それはその、いくら何でも」
「確かに、突拍子もない話に聞こえる。だが、今言ったのは、実際にあった例だよ。カルディアロ城塞と呼ばれているダンジョンだね」
かなり有名なダンジョンの一つだ。
メルディスも話に聞いたことを思い出し、「あっ!」と声を上げた。
カルディアロという町の近くにあるこの「城塞」は、実は様々な魔獣が自分達の巣として作り上げたものである。
横幅にして数キロ、部分的な高さは五十メートルを超える巨大な巣であり、一見すると人間が作った「城塞」のようにしか見えない。
だが、実際には複数のモンスターが合同で作り上げた「巣」なのだ。
「正確に言えば、あの土地一帯がダンジョンであり、カルディアロ城塞はそこに作られた巣であって、それ自体がダンジョン、というわけではないのだが。まあ、それはいいとしてだよ」
先生はメルディスの視線を促すように階段を指さし、しゃがみ込んでそこに触れた。
「そういう前例がある以上、様々な可能性を考えて観察しなければならないわけだね。そのために、断定的な言葉というのは使わないほうがいい。構造物などと言ってしまうと、無意識に知性体が作ったものだ、という固定概念が出来てしまいかねない」
「すみません、気を付けます」
「まあ、屁理屈だがね。実際見る分には、建物にしか見えんよ。こちらこそ、細かなことを言ってすまんね」
細かなことを突き詰めていき、真実を見つけること。
それが、先生の仕事だ。
「さて。そんなことを言っておいてなんだが、君の率直な感想を聞きたい。これを見て、どう思ったかね?」
言いながら、先生は階段を叩いた。
先ほどの会話を顧慮すれば、「階段のように見えるもの」といった方が適切だろうか。
「ええと、階段のように見えます。それも、かなり歩きやすい」
「そうだね。石材のようだが、踏み面は凹凸を作り滑りにくく水捌けなどもよい。蹴込などもあり、実に歩きやすい形になっている。驚いたのは、この段鼻部分の筋だよ。これが有ると無いとでは、安全性や歩きやすさが全く違うだろう」
おそらく階段の部位名なのだろうが、残念ながらメルディスにそういった知識はない。
それでも、先生がその部位を触りながら話しているので、なんとなくはわかる。
「よくできている。と、思います。まるで、職人や技術者が工夫を凝らして作っているような印象ですね」
「確かに、そういった印象を受ける。先ほどのようなことを言っておいてなんだが、私も同じような感想を持ったよ。よほど腕のいい者が、労力も工夫も惜しまず作ったのだろうな、とね」
「すごい階段なんですね」
「これだけではないよ。壁や手すり、天井や照明も素晴らしい。天井が光っているだろう? あれはダンジョンで時折見つかる種類のものなのだが、形が実に理にかなっている。そのうえで、見た目もよい」
「その割には、表情がすぐれないようですが」
「恐ろしくてね。素晴らしいが、あまりに素晴らしくて、恐ろしい。一体何がどんな風にして、これほどのものが出来上がったのか。何より君、ここはまだ通路だ。にもかかわらずこれだけのものがある。下は一体、どうなっているのか」
それを聞いて、メルディスの心にもにわかに不安が広がり始めた。
メルディスはシスターである。
教会が運営する孤児院で育ち、様々な教育を受け、自然な流れで聖職者となった。
だが、算術や書類整理といった事務作業に、高い適性を持っていることが判明。
その特技を生かすために、冒険者ギルドに派遣されたのだ。
もっとも、冒険者ギルドは、教会組織の一部である。
こういった異動は、珍しいものではない。
だからというわけではないが、メルディスは非常に信心深い種類の人間である。
不安を感じたことで、思わず手を祈りの形に組んでしまったのは、ある種当然のことであった。
「すげぇなぁ。自動人形ってあんなドヤ顔するんすねぇ」
「あれは特別表情が豊かなので」
ダンジョンが褒めちぎられるのをモニタで確認しているウィーテヴィーデは、それは見事なドヤ顔を決めていた。
ポテトチップスの入った皿を小脇に抱え、空いた手にはコーラを持っている。
「あの連中、少しはダンジョンのことが分かっているようでございマスデス」
「んん? 皆帰っていってない?」
マルシュオーラが指摘した通り、調査団はダンジョンから引き上げるようだった。
今用意しているダンジョンの中央部分。
そこからモンスターが待ち構える「個室」へと分岐する「中央広場」までは降りてきたのだが。
すぐに引き返していったのだ。
「おそらく、日が沈むからかと」
「マジで? もうそんな時間?」
時計を見ると、確かにもういい時間だ。
このダンジョンでは、二十四時間制を導入している。
ダンジョンコアで取り寄せた時計が、いたるところにかかっていた。
この世界のこの星での二十四時間というのが、地球のそれと同じかはわからない。
ただ、時計が問題なく通用しているところを見るに、「この世界のこの星に合わせて作られた時計」なのだろう。
「調査団って案外ホワイトなんだねぇ。見習いたいわぁ」
「単純に、夜になったら危険かもしれないからじゃねぇっすかね。ダンジョン内の明かりが、外と連動してるパターンもあるわけっすし」
「それもあるものかと。おそらく何人かは、階段のあたりに残ると思われます。夜通し番をして、内部の様子を観察する。といった程度のことはするのではないかと」
「俺も、ソッティーさんと同じ意見っすねぇ」
ソッティーとアーペインの見方は、正しかったらしい。
調査団のほとんどはダンジョンの外に出ていったのだが、何人かは東屋や階段の踊り場などに残っている。
服装や身のこなしから見て、冒険者か兵士といったところだろう。
「あの人達、寝ずの番するってことはさ。こっちも見てなくちゃいけないってことかしら?」
「まあ、従業員が交代で見てれば問題ないんじゃねぇっすか?」
「そもそも、夜もダンジョンを稼働させるか、という問題もありマスデス」
ダンジョンの稼働時間については、色々と議論が行われている最中だった。
二十四時間体制で営業するのか。
朝開いて夕方には閉める形にするのか、はたまたその逆にするのか。
様々な意見が出ていて、まだ本決まりしていないのだ。
一応、調査団の反応なども見て、決める予定になっている。
「それねぇ。ほんとどうしようかしら」
「周辺状況にもよるんじゃねぇっすかねぇ。ダンジョンの出入り口付近に寝泊まりできる施設を作るのを許すのかどうかで、結構変わってくる気がするんすけど」
「もういっそ、冒険者ギルドさんと相談出来たら楽なんだけどねぇ」
「許可されておりませんので。難しいものかと」
「わかってるって。いくらおじさんでもそこまで大事なことは忘れないよ」
奇妙な沈黙が流れた。
誰も「そうだね」とは言わない。
むしろ「そんなことないですよ」と言いたげな雰囲気が漂っている。
皆それを察していた、が。
壮志郎だけが全く気が付いていなかった。
日本人というのは基本的に空気を読むのに長けた種族だと言われている。
むろん、その日本人社会で生きるおっさんは、空気を読むのが得意な生物だ。
なのだが、年を取るにつれ、部分的にその能力が凄まじく低下することがあった。
空気の読めないおっさんと化していくのである。
鋭敏な部分と鈍化な部分。
極端に感度の違うその二つが両立しているのが、おっさんという生物であり。
何に対してどのような感度を持っているかが、それぞれのおっさんの個性なのだ。
おっさんとは、一律に同じような存在に見えて、実は別個の個性を持った生き物なのである。
壮志郎の持論の一つだ。
「じゃあ、取り合えず調査隊の人達がいる間ぐらいは、電気つけておこっか。電気っていうか、明かり? 暗くなると大変だろうしねぇ」
「わかりました。監視については、いかがしましょう。少なくとも夜のうちは、全員で見ている必要はないものかと」
「そっすねぇ。休憩も必要っすし」
「じゃあ、ローテーション組んでもらおうかしら。ウィーテヴィーデちゃん、アーさん、施設課と調査課で相談して、人出してもらえるかしら。マルさん、人事に今後必要だろうから、それに参加してもらって大丈夫?」
「わかりましたでございマスデス」
「はい、なるはやで決めさせてもらいます」
「りょーかいでーす」
ウィーテヴィーデ、アーペイン、マルシュオーラは、さっそく話し合いを始めた。
行動が早いというのは非常にありがたい。
「さて、おじさんはどうしようかなぁ。ここにいると邪魔だろうし、事務所で待機してようかしら」
「お休みになられたほうがよろしいかと。ダンジョンマスターの体でも、徹夜は精神に響くと思われますので」
ダンジョンマスターは、基本的に不老不死であり、人間の肉体とは作りが異なっている、らしい。
なので、寝なかったり、食べなかったりしても問題ないのだという。
だが、精神的な安定を図る上でも、そういったことはした方がいいようだった。
微妙に曖昧な物言いなのは、壮志郎自身そのあたりのことがよくわかっていないからである。
突然「不老不死になりましたー」とか言われても、頭ではわかっていても体とか感情とかが付いていかないのだ。
ついでに言うなら、おっさんの体のまま時が止まっているので、地味に体が辛いから実感がわかないというのもある。
別に、どこが不調という具体的に悪いところがあるわけではない。
何かの漫画か何かで言っていたのだが、おっさんというのは常にうっすら体調不良なものなのだ。
「本番は明日からだろうしねぇ。それまでに疲れちゃったらアレかぁ。ん、そうだ、そっちもアレだけど、もう時間がやばいなぁ」
「なにかありましたか?」
「そろそろご飯の準備しないといけないでしょ。あ、一晩中仕事ってなると、夜食も必要になるかぁ。おにぎりでいいかなぁ」
ぼちぼち家事用の人員を用意させた方がいいんだろうか。
いや、それをすると壮志郎のすることがなくなって、ボケにつながるのでは。
そんなソッティーの苦悩をよそに、壮志郎はいそいそと食事の準備に取り掛かるのであった。
次回でダンジョン調査終わらせて、本格稼働まで行きたい
でも冒険者来るのかしら




