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ぬか床はお世話が意外と大変

 アーペイン・ゼッゲ・ヴィ・バルダイフは、いわゆる田舎領主の長男であった。

 領主といっても、領地は小さな村一つ。

 貴族とは名ばかりであり、自らも働かなければその日の食事にも困るような生活である。

 そんな生活に、アーペインは何の不満もなかった。

 皆で協力して糧を得て、ともに収穫を喜ぶ。

 充実した、素晴らしい日々だった。

 そんな生活に変化が起こったのは、先代である父がモンスターとの戦いで命を落とし、家を継いだ直後である。

 所属していた国で反乱が起こった。

 その混乱に乗じて、近隣に領地を持つ貴族が、攻め入ってきたのだ。

 何とかそれを撃退したが、事はそれだけでは済まない。

 気が付けば周囲はまさに乱世といった状態になっていた。

 ただ領地に引きこもるだけでは、自分の身を守ることもできない。

 こちらからも攻めなければ、舐められて攻め込まれてしまうのだ。

 なぜこんなことに、とは思ったが、どうしようもない。

 時代の流れとでもいうのだろうか。

 戦いが続けば続くほど、敵が増えていく。

 つまるところ戦というのは、恨み辛みを積み上げていく作業なのだろう。

 ただ、勝ったり負けたりするうちに、仲間もできていった。

 不思議なもので、戦が続くうち、全くバラバラだった貴族達にも、集団の様なモノができ始めたのだ。

 派閥、同盟、呼び方はどうでもいい。

 とにかく、いつの間にか出来上がったそういった集団の一つに、アーペインも所属していた。

 いや、所属していた、というのとは少々違うだろう。

 アーペインはいつの間にか、その旗頭に押し上げられていたのだ。

 出世欲や支配欲といったものを、アーペインはあまり持ち合わせていなかった。

 その日食うものに困らず、手の届く身内が平穏無事ならばそれでいい。

 あるいはそういったアーペインの気性が、担ぐには都合がよかったのだろう。

 そして。

 運がいいのか、悪いのか。

 アーペインを旗頭に担ぎ上げた集団は、いつの間にか周辺の地域全てを、取り込んでいた。

 元々あった国が有していた以上の領土を、手に入れていたのである。

 アーペインを、旗頭にしたまま。

 最初はお飾りだったはずなのに、いつの間にか、アーペインは名実ともに旗頭になっていた。

 何がどうしてそうなったのか、正直なところアーペイン自身にもよくわからない。

 時代の流れ、というのだろうか。

 様々な偶然が重なり、田舎領主の長男というだけだった男が、多くの貴族を束ねる王になってしまった。

 自分のことでなかったならば、あるいは羨んでいたかもしれない。

 しかし、幸か不幸か、己の身に降りかかった出来事である。

 悪い冗談と笑い飛ばしてしまいたいが、そうもいかない。

 死ぬ寸前まで「柄じゃない」と思いながらも、アーペインは国王という仕事を続けることになってしまった。

 全く似合いもしない、嫌だ嫌だと思いながら。


「アーペイン・ゼッゲ・ヴィ・バルダイフ。謀反によって王族が処刑されたことによって起こった混乱を治め、今日にまで続く王国を作った人物。またの名を、平定王アーペイン」


「なんすか、平定王って。なんか間が抜けた感じじゃないっすか」


「スキルによる私の知識やダンジョンコアからの情報によれば、偉人として広く名を知られているようですが」


 歴史というのはかなり脚色されるものだと思っていたが、まさか自分がそういう立場になるとは思っていなかった。

 若干頭痛を覚えるアーペインだったが、もはや死んだ身。

 今の自分には関係ないと、思い込むほかない。


「どうせここからは遠い場所で、二百年余りも以前のことです。関わり合いになることもないでしょう。気にすることもなかろうかと」


「ソッティーさんからすれば他人事でしょうけども。自分のことってなると、結構アレっすよ?」


 取り寄せてもらったナイフの握りを確かめながら、アーペインはじっとりとした目をソッティーに向ける。

 表情や感情が全く読めない外見をしているが、おそらくアーペインの言葉や視線などまったく気にしていないだろう。

 そういう意味では、外見通りではある。


「たしかに、あまり気持ちの良いものではなさそうではありますが。それで、準備は出来ましたか?」


 ソッティーに聞かれ、アーペインは手に持っていたナイフをくるくると回した。

 まるで大道芸人のように、鮮やかな手さばきだ。


「用意してもらったナイフも手に馴染んできたし。ぼちぼちいけるっすよ」


「では、始めましょう。ウィーテヴィーデ。ゴリリンを」


 ウィーテヴィーデが頷くと同時に、そばに控えていたゴリリンが動き出す。

 彼らが今いるのは、ダンジョンの大部屋であった。

 そこから通路を通り、アーペインとゴリリンが小部屋の方へと歩いていく。

 これから、戦闘訓練を行うのだ。

 目的はいくつかある。

 アーペインが新しい体に慣れるため。

 ゴリリンの性能テスト。

 小部屋で実際に戦闘した際にどうなるかの確認、等々。

 アーペインの背中を見送りながら、ウィーテヴィーデは首を傾げた。


「アーペイン殿は、呼び出されるとき優秀なスキル構成になっているはずなのでございマスデス。慣らし運転なんて、必要ないと思いマスデス」


「我々自動人形にはないことですが。人種というのは肉体的変化に対応するために、かなり長い時間の訓練を必要とするのです」


「不便なのでございマスデスね」


「また、心理的動揺なども、動きに影響を与えます。アーペイン殿は突然呼び出された挙句、種族まで変化してしまった。肉体的にも心理的にも、相応の慣らしが必要です」


「そういうものなのでございマスデスか」


「情報さえ取り込んでしまえば、身体がどう変化しようがすぐさま対応できる。心理的動揺とも無縁。そういう自動人形という種族の方が、むしろ特殊と言えます」


 壮志郎の知識を持つソッティーから見て、自動人形という種族はロボットに近い。

 だが、この世界にはロボットなどというものはなく、ウィーテヴィーデも存在を知らなかった。


「様々なものを見聞きするうち、貴女にもおおよそ理解できるようにと思います」


「ソッティーさーん! 準備出来たっすよー!」


 小部屋の方から、アーペインの声が響いてくる。


「では、始めましょうか。まずはゴリリン一体から。ウィーテヴィーデ」


「了解でございマスデス」


 ウィーテヴィーデはゴリリンに、戦闘開始の合図を出した。




 やたら真剣な顔をしている壮志郎を、ソッティーは怪訝そうに眺めていた。

 もっとも、ソッティーの顔は大理石で作ったダミー人形みたいな感じなので、表情はよくわからない。

 なんとなくそんな感じの雰囲気というだけである。


「どうしたんですか」


「いや、聞いてよソッティー。おじさんさ、歯を磨いてたのよ。ご飯食べてから三十分ぐらい置いて。ほら、食べてすぐって口の中が酸性になってて歯の表面が脱灰して弱くなってるでしょ? だからそのぐらい置いて歯磨きしたわけなのよ」


 口がないソッティーには今一ピンとこない話かもしれない。

 まあ、壮志郎の記憶も引き継いでいるので、なんとなくはわかるらしい。


「その時に鏡で口の中見てさ。驚いたのよ。歯の治療痕がきれいさっぱりなくなってるの。で、歯がめっちゃきれいになってるのよ」


「おそらく、ダンジョンマスターになる際、詰め物などは異物として排除されたのでしょう。代わりに、本来あるべき歯が補充されたものかと」


「なにそれメッチャすごいんだけど。えー、うれしいなぁこれー。おじさん食べるの好きだから、歯が治ってるのすごいうれしい」


 インプラントや詰め物など、最近はずいぶん失った歯の治療技術も進んできている。

 だが、やはり天然自然にあった自前の歯には及ばない。

 歯磨きをさぼっていたわけではないのだが、どうも壮志郎は虫歯ができやすい体質だった。

 はた迷惑な体質だが、生まれついた体というのは替えが利かないものである。

 なんとか手をかけ、治療をし、誤魔化し誤魔化し歯を使ってきたのだが。

 それが、全く美しいものに入れ替わっていた。


「ダンジョンマスターは基本的に不老であり、破損などがあっても復帰しますので。この先、歯はずっとその状態が維持されます」


「マジで? え、マジで? えー、マジでかぁ。おじさんすんごいうれしいんだけど」


 あんまりテンションが変わっていないように見えるが、壮志郎はかなり喜んでいた。

 一定の年齢を超えると、喜び方も大人しくなってくる。

 喜ぶというのには瞬発的にかなりのエネルギーを消費するのだが、歳をとるとその瞬発的エネルギーを確保できないのだ。

 別にうれしくないわけではないのだが、どうしてもリアクションが薄くなってしまう。

 おっさんとは、瞬間最大出力が低い生き物なのである。

 壮志郎の持論の一つだ。


「これだけでもダンジョンマスターになってよかったって思うね。惜しむらくは他があんまり変わってないことかしら」


「他と言いますと。腰や目のことですか」


「あと、膝とか肩とかね。それと、脳とか」


 記憶力とかのことである。

 四十八年も生きていると、人間あちこちガタが来るものらしい。

 まして、壮志郎は若い時分にはずいぶん無茶もしてきている。

 バブルが崩壊したのが、壮志郎が十八歳とかその辺の時だった。

 もっと上の世代ならバブルの恩恵を享受したこともあるだろうが、壮志郎の世代はからっきし。

 つらい思いしかしてこなかったといっていい。

 楽して金を稼いでいた世代と景気には押さえつけられ、下からは「老害」などと言われて突き上げられる。


「あれ、なんだろう。涙出てきた」


 働けど働けど楽にならず、じっと手を見る。


「まあ、いいや。それよりもさ、アーさんどんな感じだったの?」


「やはり、かなり戦える様子でした。最初は慣らしとしてゴリリン一体と。ついで、もう一度一体。感覚がつかめたということでしたので、二体同時、三体同時に戦闘」


「ゴリリンって石材ででっかいのに? あんなの十何体も同時に戦って勝っちゃったの? アーさんすごいなぁ」


「まだ余裕があるようでしたが、昼食の時間になりましたので。今は、ダンジョンの大部屋で、ウィーテヴィーデと一緒に食事をしています」


「ご飯は大事だからね。じゃあ、戦闘力とかは問題ない感じなのかぁ」


「恐らくは、問題ないものかと」


 なかなか頼もしい話である。


「じゃあ、夜にアーさんが戻ってきたら、今後のことについて打ち合わせしましょうかしらね」


「マスター、アーペイン殿が生前どんな人物だったのか、お聞きになっていなかったと思いますが。確認しなくて良いのですか」


「聞く必要もないんじゃない? そりゃ、他のことならともかくさ。この商売で必要なのは、実力なわけよ」


「たしかに、そうですが」


「昔のことってさ、あんまり聞かれたくないこともあるわけじゃない。必要なこと以外は、追々当人が話したくなったら、でいいんじゃないかな、と思うのよ」


 人柄や実力が保証されているならば、それでいいのだ。


「あと、うかつにアーさんが偉い人だってわかったら、おじさん委縮してお仕事お願いできなくなっちゃうしね」


「それが一番の理由ですか」


「そうだよ。おじさん繊細なんだから」


 相手がすごい人だとわかると、身構えちゃう。

 おっさんとは、臆病な小鹿レベルで心が繊細な生き物なのである。

 壮志郎の持論の一つだ。




 ソッティー、ウィーテヴィーデ、アーペインが戻り、夕食をとった後、今後のことについての会議が持たれることになった。

 日本なら労働時間超過で労基に訴えられそうだが、幸いここは異世界である。


「体の性能はいいみたいっすね。体と感覚のずれもだいぶ修正できたっすし、明後日には行けると思うっすよ」


 明日一日は、様子を見たいということらしい。


「そうねぇ。じゃあ、明後日外に出てみてもらう感じで。明日は何する予定なの?」


「ウィーテヴィーデちゃんに、マスターからの許可が出たら、手伝ってほしいことがあるって言われてるんすけど」


「あら。なんぞしたいことがあるの?」


 壮志郎に聞かれ、ウィーテヴィーデは頷く。


「もうすこし、ダンジョンの耐久テストをしたいのでございマスデス」


「中で戦ってほしいってこと? なんか問題でもあったの?」


「いえ、問題がなかったのでございマスデス。ダンジョンはうまく機能しているのでございマスデスが、それがどうにも不安でございマスデス」


「上手く行きすぎて、逆に不安になる感じのやつなのね」


 ウィーテヴィーデは、意外と慎重派らしい。

 アーペインが、ついでというように手を上げる。


「今後のことなんすけど。村とか街に行く前に、ソッティーさんに頼んで周辺の情報を仕入れておきたいんすよ。ダンジョンコアの使用許可を頂きたいんすけど」


「どうぞどうぞ。そっか、アーさんもダンジョンコア操作できるのか。いいなぁ」


 壮志郎はダンジョンコアの操作ができないのだ。

 主に目がかすんで画面が見えない的な理由で。


「まさか。俺なんかがダンジョンコア直接触れねぇっすよ」


「え、そうなの? なんで?」


「恐れ多くて。神器の類っすからね」


 確かに言われてみれば、神様からもらった品である。

 そういう感覚になるのかもしれない。


「大体、ダンジョンコアの画面に出てる文字が読めないっすからね」


 実は、壮志郎達が今使っているのは、日本語ではなかったりする。

 この世界のこの辺り一帯の地域で使われている言語であった。

 壮志郎の頭にも、ダンジョンマスターになるときに叩き込まれていたらしい。

 だが、ダンジョンコアを操作する際に表示されるのは、日本語なのだ。

 壮志郎から記憶を引き継いでいないウィーテヴィーデとアーペインには、そもそも読むことができないのだ。


「そんな引っ掛けがあったのね。不便だなぁ。みんなが使えたほうが便利なのに」


「いや、そんな気軽に預けられても困るっすよ。マジで。だってあれ、物資とか取り出せるし、ダンジョンの改装とかできるんでしょう? めちゃくちゃ心臓部じゃないっすか」


「ダンジョンコアに触るのは、マスターとソッティー様だけで十分でございマスデス」


「ってことは、実質ソッティーだけが操作できる感じになるのかぁ。それがいいのかもねぇ」


 何しろ、壮志郎はダンジョンコアの操作ができないのだ。

 そのあたりのことについてだれも何も言わないのは、やさしさなのだろう。

 やさしいせかいである。


「マスターは、明日のご予定は?」


「ぬか床作ろうかと思って」


 壮志郎には、特にこれといってやらなければならない仕事は、今のところなかったのだ。

 最終判断をしなければならないトップがヒマというのは、ある意味健全といえなくもない。

 まあ、壮志郎の場合、単純にできることが少ないというのもあるのだが。




 翌日。

 ウィーテヴィーデとアーペインは、ダンジョンでいろいろなテストを行った。

 アーペインが使う技術や魔法の体系は、お客。

 つまり、人種の冒険者が使うものに近いらしい。

 そのおかげで、かなり有意義なテストができたのだそうだ。

 ソッティーは、調べ物をしていた。

 アーペインに渡すためのこの地域の周辺情報など、ダンジョンコアで集められる範囲のものを探していたのだ。

 それなりに収穫はあったようで、取り寄せた紙にペンで書き留めていた。

 グラフやイラストなども書き加えられており、かなり見やすいものになっている。

 壮志郎でも問題なく読むことができる字の大きさは、非常に好感が持てた。

 ちなみに、使用されている文字は日本語ではなく、この辺り一帯で使われているものである。

 皆がそうやって働いている間、壮志郎はぬか床を作っていた。

 作り方は、しっかりと覚えている。

 食べるのが好きだった壮志郎は、自宅でもぬか床を作っていたからだ。

 ぬかが手に入るか分からなかったが、幸いなことにダンジョンコアの無料取り寄せリストに含まれていた。

 おそらく、天使の5番あたりが気を利かせてくれたのだろう。

 とりあえず準備はできたので、様子を見ながら手をかけてやることにする。

 上手く行けば、おいしいぬか漬けが食べられるだろう。


「本当にぬか漬けを作っているとは思いませんでしたが」


「食べたくなっちゃったから」


 自分で作れば済むものにかんしては、出来るだけ自分でやったほうがいい。

 アニメとかゲームがないので、暇つぶしも重要なのだ。

 ちなみに、実際にはアニメやゲームも楽しむことはできなくはない。

 ダンジョンコアに、そういう機能が付いているらしいのだ。

 ただ、ダンジョンコアを使わないとできないので、壮志郎には主に視力的な理由で楽しむことができない。

 世の中というのは世知辛くできているのである。


「もう少しダンジョンが拡張されて権限が増えましたら、据え置き機や携帯機のゲームも取り寄せられるようです」


「ある程度軌道に乗るまでは、遊んでないで頑張れってことね。そりゃそうだ。まあ、こういう娯楽が許してもらえてるだけ、有難いわけだしね」


 何しろ、労基がない世界である。

 休息もなく馬車馬のように働かされても、訴えることすらできないのだ。


「ぬか漬けというのは、おいしいでございマスデス?」


「お漬物、時々出してるでしょ? アレのことだよ。自分のところで作れると、色々レパートリーが増えるからね。チーズとかお豆腐とかの糠漬けも作れるし」


 そんなにわかりやすい顔できる?

 というぐらい、ウィーテヴィーデは興味深そうな表情を浮かべている。

 ソッティーとは対照的なわかりやすさだ。

 自動人形というのは、変化にとんだ種族らしい。


「ていうか、アーさん。道具とか部下の人とかどうするの? 一人で行くわけにもいかないでしょ?」


「一先ず、ウィーテヴィーデちゃんとこのメンツを借りる予定っす。施設課の連中って、皆スキルで感覚共有してるんで、一緒に行ってもらえるとウィーテヴィーデちゃんとかソッティーさんとかにも確認してもらえるんすよね」


 視覚と聴覚を共有可能なスキルと、テレパシーの様なスキルを全員に取得させているらしい。

 作業を効率よくするために、便利だからだそうだ。


「多分っすけど、普通の人種がそんなことしたら頭爆発すると思うっすよ」


「なにそれ怖い。どういうこと?」


「まず、情報量が大きすぎるっすからね。二人分の視覚情報とかでも相当ヤバいだろうに、それをもっと大人数でやってんすから、そりゃやべぇっすよ」


「そうなの?」


「おそらくはその通りかと」


 壮志郎の問いに、ソッティーはサラッと答えた。


「それと、プライベートなくなるわけっすから。ストレスでヤバいと思うっすよ」


「え、つなげるの拒否とかできないの?」


「できるように設定も可能ですが。施設課は基本的にウィーテヴィーデが権限を持っていますので」


 ウィーテヴィーデの意思一つで、無理やりつなげる事も切ることも可能なのだそうだ。

 恐ろしいブラック体質である。

 ディストピア映画並みの監視社会っぷりだ。


「自動人形ってこっわい種族なのね。まぁ、それはいいんだけど。道具の方は?」


「遠出はしない予定っすから。ナイフ一本あればダイジョブっすよ。施設課のメンツもついてきてくれるわけっすしね」


 施設課の自動人形が居れば、情報の保存や通信のための道具が必要ない。

 実戦経験こそないが、戦闘力もなかなか高いらしいので、危険もないだろう。


「明日の朝イチから行く感じ?」


「その予定っす。まあ、初日は植生とかの確認で、無理はしない予定っすよ」


 調査仕事など、壮志郎は完全に門外漢である。

 余計な口出しはせず、任せておいた方が良いだろう。

 何かしてほしいことがあったら、アーペイン自身から何か言ってくるはずだ。


「じゃあ、お弁当作るから、持って行ってよ」


「マジっすか! あーざぁーっす」


「そういえばさ。ソッティーは調査に同行とかしないの?」


「いや、ソッティーさんは危険っすから。止めといたほうがいいと思うっすよ」


 意外な答えに、壮志郎は片眉を上げた。

 ソッティーはめちゃくちゃ強いという話だったと思ったのだが、また記憶の混濁だろうか。


「うっかり加減を間違えて、クレーターとかできてもあれっすし」


「あたりが焼け野原になるかもしれないでございマスデス」


「貴方達、私をなんだと思っているんですか」


 冗談かと思った壮志郎だったが、ウィーテヴィーデとアーペインの目は本気だった。

 逆らわないようにしよう。

 壮志郎は改めて心に誓った。

前回、「次回には周辺調査終わらせる」と言いましたね

あれは嘘だ


次回は調査の予定です

サクッと終わらせるかじっくりやるかは、まだあんまり決めてません

とりあえず、アーペインの戦闘シーンは入れたい

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― 新着の感想 ―
[一言] 眼が緩和もしなかったのは通常生活は出来てるための対象外なんかなー 歯周辺の状態は色々な面に影響するらしいですし良かったよかった(しかしきっとそれだけ深刻だった可能性アブナ!)
[良い点] アーベインさんがおっさんボディから一新された体になったのは雇用目的が自衛できる斥候だからでしょうね……! これはもしやおっさんもペースメーカーや人工透析受けるレベルのボロボロ具合なら体も一…
[良い点] 更新乙い [一言] 歯が治るんなら、腰とか目とかも治してくれたっていいのにwww
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