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三話

 今日は赤いドレスだ。悪くはないがちょっと中二くさいし、印象がきつくなるのであまり良くないかもしれない。俺は可愛い美少女としてちやほやされたいからな。でもぶりっ子キャラはイマイチだから、目指すは正統派ヒロインだ。


 さてはともあれ俺に家庭教師がついた。家庭教師がついてから初めてこの世界で文字を見たのだが、読めない。さっぱりだ。どちらこというとアルファベットに近い文字。でも話す分には通じているのだから文法とかはそこまで難しくないはず…。気分は小学一年生である。

 文字は少しずつ覚えていきましょうねと言われ初めての授業は終わった。貨幣とかについても聞こうとしたが貴族であるお嬢様には必要ありませんよと流されてしまった。


 また明日、今度はもう少し貴族らしく聞いてみようと思っていたら、次の日きたのは家庭教師ではなくマナーの先生だった。そして次の日は刺繍の先生、次の日はダンスの先生とルーティーンで毎日違う先生が来る。

 貴族のお嬢様も大変だ。前は刺繍なんてやらなかったし、運動神経も良くなかったので一苦労である。刺繍は昔書いていた絵の影響か中二くさくなるし(薔薇だけはうまくできた)、ダンスは相手が男性だから緊張はしないがなんか気まづい。リズムゲームの成果かリズム感だけは褒められた。

 

 社会には適応すべきだと思うし、今は美少女なので文句は言わず頑張ることにした。


 そして6歳の誕生日、初めて父親というものに会った。初めて会った父は思ったより、かっこよくなくというか不細工で死んだ母はよほど綺麗だったんだろうなという気持ちになった。

 母が綺麗なことは知ってたが、どうしてこんな男と結婚したんだろう。この男にあるのは金と爵位だけなのに。いや金と爵位は大切だ。後で聞いた話だが母には兄弟がいてその兄弟を養うためにこの男に嫁いだらしい。


 父は一緒に食事をして、すぐに継母と出て行った。こんなものかと虚しくなったが俺は美少女、笑顔が一番似合うと微笑んだ。


 その後、執事が「こんなことしかしてさしあげられませんが。」と絵本をくれた。この世界で得た初めての本は文字は書いてなかったが心温まる優しい本だった。

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