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左官魔法(練り)
それは偶然だった。
思いつきでもなんでもなく偶々、土壁用の泥を練っている桶に手拭を落っことしてしまった事が発端だった。
手拭を落としたことにすぐに気が付かないで練り続け、練り棒の先に違和感を覚え、手拭を掘り起こすために桶の泥を手でかき混ぜた時に気が付いた。魔法が発動したと。
魔法で練られた泥は何時になく均一にかかき混ぜられ、それは見事な出来栄えになった。そう、見事すぎて使えないほどに・・・。
細かすぎる泥は土壁には使いづらい。なぜなら、土台となる竹壁の目が粗いからだ。泥が細かすぎると乾いた時に壊れやすくなる。だからこれは使えない。土壁としては。
これがセメントなら、そう思わざるを得ないが、そもそもセメントの成分を知らないので意味がない。というか、土壁しかない時点でお察しだ。
またしてもコレジャナイ魔法を手に入れてしまった。
実用魔法()