表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/139

<43>ゼリー

「それじゃ、ポイントを使ってダンジョンを拡張するぞ」


 夕食を食べ終え、しばしの休息をとった後、俺達は、ダンジョンの拡張会議を行うために、ダンジョンコアの部屋に集まった。

 

――――――――――――――――――――


 ダンジョンレベル 2 残り 680 ポイント

 回収率 50 % 流出魔力 0 


 設置可能施設:小部屋500P、個室小100P、風呂小200P、通路100P、食料庫600P(new)、野菜畑500P(new)


 実行可能機能:魔力流出量増加100P~、魔力流出箇所設置100P


 召喚可能従者: スライム100P/匹


――――――――――――――――――――


 そこに表示された文字を確認する限り、どうやらダンジョンレベルが2に上がり、設置可能施設も2つ増えたようだ。


 ダンジョンレベルは、設置した部屋数や住んでいる魔物の数などで上昇するのかと思っていたが、どうやら、魔物を狩ることでポイントだけでなく、ダンジョンの経験値にもなるようだ。


 まぁ、いまはそんなことよりも、注目すべき項目がある。


「えーーー、すこしばかり、皆様にお願いがあります。

 …………畑、作らない?」


 そう、それは、新しく追加された施設、野菜畑500Pだ。


「畑かい? どうして畑なのか、説明してもらっていいかな?」


「いや、まぁ、たしかにね。部屋を作って魔力を流すのも良いんだけど。……えーっと、俺達の世界には、腹が減っては戦は出来ぬ、って格言が存在しましてですね。……なんと言いますでしょうか、……えっと、そう、つまりは、畑を作ることで、戦力の増強になるというわけですよ!!」


 嘘は言ってない。人は飯を食べないと戦闘は出来ない。ゆえに食料を安定して確保することは軍事上、必要不可欠なことだ。ただ、まぁ、戦う人が4人しか居ないのに、安定供給も何もないんだが……。

 

 結局、その後も畑の良さ(?)を説いた結果、俺の畑案が可決されました。


 まぁ、食料関連でクロエが拒否するはずもないし、お嬢様2人も俺同様に焼肉ばかりの生活に飽き飽きしてたみたいなので、誰も反対しなかったってだけなんだがな。


「コアちゃん、野菜畑とスライム1匹、お願いね」


 ただ、やっぱり戦力増強も必要だろうってことで、残りの100ポイントでスライムを召喚することにした。


 正直な話、スライム1匹増やしたところで、何が変わるんだろう、と思わなくもないが、まぁ、無いよりはマシだろう。


 野菜畑に関しては、風呂の向かい側、入口の階段とサラの部屋の間に設置した。

 なんでも、設置場所は自由に組みかえられるらしく、地下1階と地下2階の空間を入れ替えるなんて事も出来るらしい。

 新しい物を設置するときなら、ポイントも消費しないということなので、サラの部屋をダンジョンコア側に移動し、入口との間に畑を滑り込ませてもらった。


 畑で野菜が栽培できれば、悲願だった肉生活からの脱却も可能になる。とりあえずは、かいわれ大根やもやしなんかのすぐに収穫出来そうなやつを頑張ろうと思う。すごく頑張ろうと思う。


「わ、この子すっごい気持ちいいよ。ぷにぷにー、ぷるぷるー」


 ダンジョンコア部屋になんも前触れも無く現れたスライムだと思われる生物は、見るからにプルプルで、抵抗する素振りすら見せずに大人しくクロエに抱きかかえられている。


 体は正方形で、体全体が透き通った淡い緑色をしている。その大きさはクロエの顔より少し小さいくらいだ。

 抱きかかえられたその姿は、完全にぬいぐるみだった。


 目も口も無く、あるのは透き通った体の中央に見える真っ赤な球体くらいだ。


 形が四角なのはイメージと違うが、ゼリー状のボディなどを考えると、ぎりぎりでだが、スライムだと納得しても良いかなっといった感じだ。


「ねぇ、スライムちゃんは何が出来るの? ……おいしい?」


 プルプルボディを堪能していたクロエが、スライムに世間話を始めたかと思うと、ボソッと不穏な言葉を吐いた。

 どうやら、スライムまでも食料にしたいようだ。……まぁ、確かに、ゼリーのような見た目通りに、甘いかもしれないし、カラスと違って、こっちの気持ちはわからないでもないが……。


 そんな不穏な空気を感じてか、スライムが慌てたように、にゅるんとクロエの腕を抜け出し、地面へと降り立った。

 そして、見る見るうちに、その姿を変形させていく。


「ナイフ? ……わっ、軽い」


 刃は透き通った青色で、持ち手の部分が赤いナイフになったスライムをクロエが手に取る。

 護身用に持っていたナイフと比べると少しだけ大きくようだ。


「……手に馴染むし、硬いし、切れ味も良さそう。

 これで料理したら、美味しいもの作れると思うな」


 どうやら、スライムナイフはクロエの御眼鏡に叶ったらしい。スライムは食材から調理器具へランクアップした。


 その後、スライムはナイフのような形から、刀になったり、槍、鈍器、ブーメランなど、様々な武器の形に変形した。武器としての使い勝手も悪くないらしい。


 ただ、スライムが出来ることは変身までで、自分自身で戦ったりすることは出来ないらしい。

 それでも、クロエの優秀な身体能力とあわせれば、変幻自在な戦闘が可能になるだめ、当初の目的であった戦力増強としては十分だろう。


 スライムと侮っていたが、100Pならお買い得なモンスターだったと思う。


 …………なんか、俺のカラスと比べて、すごい優秀じゃない? しかも、変形武器って勇者っぽくない? 

 俺よりも、クロエの方が勇者って感じだよな? 全体的にチートっぽいし…………。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ