表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/139

<39>衣食住の大切さ

 目を開くと真っ暗な空間に居た。

 近くに光りが一切ないため、周囲を見渡すことは叶わない。

 

 あー、ダンジョン内に自分の部屋を作ったんだっけか。えーっと、たしかこの辺だっけな。


 寝ていた場所から上半身だけを起こし、左手を横に伸ばすと、腕が半分ほど曲がった程度で、壁に手が触れた。

 体内を巡る魔力がほんの少しだけ吸い取られたかと思うと、辺りが明るくなる。


 壁や天井はコンクリートっぽいもので覆われていたり、床は石が敷き詰められていたり、天井や壁の上の方が光りを放っていたりと、その造りはダンジョンコアを置いた部屋と同じだ。

 部屋のサイズは2畳程度、寝転べば部屋の端から端まで届くくらいしかない。

 

 自分が寝ていたところに目を向けると、石で出来たベットに、煎餅のよな硬い布団がひかれ、手元にはタオルのような薄い布団がある。


 勿論、そんな寝具達の寝心地が良いはずもなく、肩はバキバキ、関節という関節がガチガチに凝り固まっている。

 しかし、それでも、ここ数日の眠れなかった状況と比較すれば、安心して寝れる状況と言うだけで天国のようだった。

 

 寝る前に入った風呂も、膝を抱えないと入れないような物ではあったが、お湯に体を沈めた瞬間の感動を俺はずっと忘れないと思う。


 ダンジョンとしての機能を無視して入手した物ではあるが、後悔はしていない。

 だって、幸せだったんだもの。


 大事なことなので、もう一度言おう。

 俺は後悔はしていない。



 …………けど、睡眠をしっかりとって、冷静になった今では、やばいなー、どうにかしないとなー、と思わなくもない。

 いや、ちょっとだけだぞ、ほんのちょっとだけ……。

 

 とりあえず、あいつらと合流しないとなー、ってことで、自室の入口に設置された扉に魔力を流して開き、外に出た。


 通路を挟んだ向かいにはサラの部屋、その隣はクロエの部屋、そして俺の部屋の隣にアリスの部屋、逆の側にはお風呂が設置されている。

 

 通路を右手に進めばすぐにダンジョンコアがある部屋があり、左に進めばすぐに階段に到着し、洞窟へと出ることが出来る。

 

 入口から入って、1分もせずにコアの部屋。

 この世界のダンジョンも、日本の小説の例に漏れず、ダンジョンコアが破壊されれば、すべての機能が停止し、いずれは崩壊するらしい。

 

 うん、この状況はかなりやばいね。

 カップラーメン作るのと、俺達のダンジョン破壊するの、どっちが簡単かな? ……………いや、うん、ええねん、すごく幸せやったから、ええねん。





「おはよー、お兄ちゃんが1番最後だよ。

 朝ごはん出来てるから、お姉ちゃん達と一緒に顔あらって来て」


「了解。いつも悪いな」


 階段を登り、洞窟に顔を出すと、クロエが声をかけてきてくれた。

 いつも通り、俺よりも早く起きて、朝飯を作ってくれたらしい。ほんと、俺にはもったいないくらい出来た妹だ。


「あ、やっと来たわね、このねぼすけ。

 アリスよりも遅く起きるなんて、生意気よ」


「おはよう。その様子を見るに、十分な睡眠が取れたようだね。ここ最近のキミは辛そうにしてたからね、元気な姿を見れて、ボクとしても安心したよ」


 俺同様、お姫様2人も十分な睡眠時間が確保できたようで、体調は良さそうだ。

 顔を洗った後は、そんな2人と一緒に、一緒にクロエが待つ、洞窟の一角へと戻る。

 そこには、天使の笑顔を浮かべるクロエと、洞窟初日の夜と同じご飯が準備されていた。

 大事なことなので、もう一度言おう、あの日の夜と同じメニューだった。


「……クロエ、このお肉はなんだ?」


「ん? なにって、朝ごはんだよ? 

 朝起きて登ってきたら狼が居たから倒したの。そしたら、一瞬にしてお肉と魔石になってくれたから、すっごい楽だったんだー。

 そんなことより焼けたよー。あ、これ、ほかのより厚切りだ。たべちゃお、はむ」

 

 ……いくら十分な睡眠が取れて体調が良いとは言っても、朝から焼肉は中々ハードだな。

 ってか、それよりも、一瞬にしてお肉と魔石になったってなんだ?


「……あー、食べながらでいいから、一瞬にしてお肉になったってあたりをもう少し詳しく説明してもらっていいか?」


「んゆー? いいほ-、モグモグ、……えっほねぇ、ふゅー、おいしー。もぐもぐ、うんと、はぐ、もぐもぐ、ほへでね――」


「あー、やっぱ、食べてからでいいや」


「ほぁーい」


 朝から焼肉をお腹いっぱい食べたクロエ曰く、朝飯を作ろうと洞窟に上がってきたら、このまえと同じような狼に出くわし、危なげなく倒したらしい。

 それで、早速解体しようとしたのだが、ダンジョンコアから、洞窟の入口に近い部分もダンジョン内っす。その狼をポイントとして全部回収していいっすか? とか、そんな感じで聞かれたらしい。


 もちろん、食事を愛するクロエが、そんな横暴を許可するはずも無く、話し合いの結果、ダンジョンコアの回収率を50%に変更し、通常の60%ほどのお肉と、通常の50%ほどの大きさの魔石を残すようにしたらしい。

 ちなみに、お肉が50%より多いのは、皮や骨などが100%吸収されているためで、その分をお肉に回してもらったそうだ。

 本当は、魔石がゼロでお肉を100%とかにしたかったらしいのだが、そこまでの調整は出来なかったと心の底から残念そうに話していた。


 洞窟の入口付近で魔物を倒せばポイントが入る。

 欲望に負けて、暗礁に乗りかけていたダンジョン運営に、光明が見えたかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ