<37>ダンジョンを作ろう 4
「画面って所に、現在のレベルで出来ることを表示するって言ってるよ」
部屋の変化を一通り確認したところで、クロエがダンジョンコアの言葉を伝えてくれた。
それと同時に、ダンジョンコアと台座を覆っているアクリル板のような物に文字らしき物が表示される。
無論、この世界の文字で表示されていると思われるそれを俺が読むことは出来ないで、表示された内容が何を示しているかなんて一切わからない
「悪いんだが、誰でもいいから、なんて書いてあるか説明してくれないか?」
「……え? ダーリンって文字わかんないの?」
そんな俺の言葉にいち早く反応したのはアリスだった。
やばい、迂闊だった。このままだと、召喚獣のときの様に、勇者じゃないとか色々言われる。
と思ったのだが、その後に続く言葉は意外なものだった。
「なら、アリスが読んであげるわ。感謝しなさいよね」
「え?」
「え? ってなによ。アリスが読むんじゃ不満だって言うの? アリスなら臨場感たっぷりに伝えることが出来るんだからね」
驚きのあまり、思わず声が出てしまったが、どうやらアリスは俺が文字を読めないことに対して不満は無いようだ。
しかし、臨場感たっぷりってのはどうなのだろう。俺の記憶が正しければ、ダンジョンコアが出来ることを書き出してくれたって話だったと思う。それを臨場感たっぷりに……。うん、非常に興味がわいてきた。せっかくだからアリスの言葉に甘えよう。そして、臨場感たっぷりとやらを聞かせてもらおう。
そんなふうに思い、口を開こうとしたところで、サラの声が飛んできた。
「おっと、そうだったね。ボクとしたことが忘れていたよ。
キミの分も完成したんだ。丁度良い機会だから、出来栄えを確認してくれるかい?」
サラは自身が身に着けている物とは別のメガネを取り出した。
俺がこの世界に召喚され、サラの計画を了承する条件とした4枚のレンズ。そのうちの2枚は魔法を魔法をかけずにサラが身に着けている。
サラの分に関しては、後々魔法を付加する予定なのだが、どっちかといえば、彼女をめがねっ娘にするために用意してもらった物だ。
ん? あぁ、勿論俺の趣味だ。それを否定するつもりはない。
彼女は出合った当初から美しかったが、メガネを身に着けてからはその魅力が10倍、いや、100倍に跳ね上がった。
むしろ、彼女を見て、メガネをかけさせたくないなどと言う奴が居たとすれば、そいつとは命のやり取りをしても構わない。
勿論、彼女にとって眼鏡がすべてという訳ではない。
彼女が持つクールな雰囲気や包容力のある感じをメガネと言う素材の枠で縁取り、飾ることにより、彼女が持つものすべてが1つになる。そうすることで、その少しだけ他者とずれた所でさえも美しく映し出すのだ。
1枚数百万円の美しい絵画。
その絵だけを見て、その価値がわかるものはどれくらい居るだろう。絵心の無い者の中には、千円くらい、と言う者も居るかもしれない。
たしかに、美しい絵だからといってすべてが高いわけではなく、千円くらいの物でも美しいものは存在する。そのため、千円と言う人が居ても仕方のないことだと思う。
しかしながら、その絵が豪華な額物に入れられ、白い手袋をはめた従業員が丁寧に扱い、周りを筋肉隆々のガードマンが固めて居たら、その絵心が無い人は、その絵を千円くらいと評価するだろうか? その答えはNOであろう。
なぜそうなったかと言えば、やすい物を丁寧に扱うはずがない、といった絵心とは別の価値観で値段を判断したからである。
つまりは、絵自体の鮮麗さ、周囲の評価、状況の価値など、様々な価値が1つにまとまって、その絵の価値が評価されるわけだ。
故に、高価な物には、適切な額物や適切な扱いが必要なのである。
したがって、彼女にメガネをかけないなどと言った愚かな行為は、歴史的な価値も高い絵画に、素手でべたべたと触るようなものだ。
…………おっと、俺としたことが、熱く語ってしまったようだ。
えっと、そうそう、俺のメガネの話だったな。
俺の方は、サラの物と異なり、完全に実用の物だ。
前に契約書を読むために使った虫眼鏡のような物では、持ち運びが大変なため、レンズの大きさを変えて2枚にし、メガネの形にして貰った。
ただそれだけのことだ。
サラの手からメガネを受け取り、装着してアクリル板を見る。
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ダンジョンレベル 1 残り 640 ポイント
回収率 100 % 流出魔力 0
設置可能施設:小部屋500P、個室小100P、風呂小200P
実行可能機能:魔力流出量増加100P~、魔力流出箇所設置200P
召喚可能従者: スライム100P
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メガネの賭け心地は悪くなく、文字も無事日本語として読めた。
「ばっちりだ。付与の方も問題ない」
「そうかい、それは良かったよ。
それと後々で良いのだが、ボクの眼鏡に付与する内容について相談に乗って欲しいんだよ。お互いの時間が空いたときで構わないから約束してもらっても良いだろうか?」
「あぁ、勿論だ。ダンジョンの話が落ち着いたら検討することにしよう」
ってなわけで、興味は無いと思うけど、俺は眼鏡男子になりました。ほんと、どーでもいいんだけどな。




