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<34>ダンジョンを作ろう 

 健康に良さそうな朝食を食べ、ようやく本日の活動を開始する。


「ダンジョンコアを取り出して、両手で支えるように持って貰えるかい?」


「うん、わかった。……これでいい?」


「あぁ、問題ないよ。

 そしたら、魔法を練習してたときの様に、詠唱してくれるかい? ダンジョンコアの使い方を把握しようと強く念じることも忘れないで欲しいんだが、こっちは可能な限りで構わないよ」


「はーい」


 サラの指示通りに動くクロエを俺とアリスは、することも無く、ただぼーっと眺めていた。


 行っていることは、ダンジョンの設置である。


 当初の予定通り、ダンジョンコアをクロエが制御してダンジョンを作り上げ、兄達への対抗策にするつもりだ。

 つまり、現在行っている作業が、逃亡生活成功のための1番重要な作業と言っても過言ではない、………わけなんだけど、俺は、することが一切ない。いや、マジで暇だ。


「魔力さん、お願い。私にコアちゃんの使い方を教えてほしいな」


 足を肩幅に開き、目を閉じたクロエの口がら、詠唱、と言うよりは、お願い事が発せられた。


 クロエが移植したダンジョン系の魔法を行使するのは初めてのことなのだが、こんな俺ですら召喚魔法を成功させたのだ。優秀なクロエが成功しないはずがない。

  

「オーナー様、そしてお仲間の皆様、お初にお目にかかるっす。自分、ダンジョンコアっす。

 ごみでもくずでも好きな呼び方をしてもらっていいんすが、破壊だけはしないでもらえるとありがたいっす」


 クロエに両手で支えられていたダンジョンコアが、すこしだけ空中に浮かび上がり、淡く点滅したかと思うと、声が聞こえてきた。


 なんだが、ヒエラルキーの低そうな喋り方だが、自分のことをダンジョンコアだといっているので、クロエが魔法を使った影響で、ダンジョンコアが喋りだしたと思って間違いないだろう。


 ここで1つ確認することがある。それは、ダンジョンコアが喋りだしたことに対して、俺は驚くべきなのだろうか、ということだ。


 ダンジョンコアは素材が石に近い。ゆえに無機物だと思う。

 つまり、無機物が声を出し、さらには意思らしき物を持っていると判断できる状況だ。

 これが日本、いや、地球ならば素直に驚き、テレビ局やマスコミなどを利用して、お金稼ぎを考えると思う。

 しかしながら、この世界に来てからと言うもの、火の玉が飛び回ったり、一瞬で服が出来たり、突然壁が消えたりと、いろんなことがあった。それを考えると、今更、石がしゃべったくらい、どうでも無いような気がしてくる。


 それならば、素直に驚かないのが正しいのではないかと思うが、一応、俺って主人公ってことになっているため、新しいことがあったときに、何も反応しないってのは色々とまずいのではないかとも思うんだ。


 っとまぁ、そんな、どーでもいいことに頭を使っていると、いつもの感じで、すぐに順応したクロエが、ダンジョンコアらしき声とコミュニケーションをとりはじめた


「はじめましてだね、コアちゃん。

 さっそくなんだけど、あなたの使い方を教えてくれる?」


「はいっす。始めましてっす、オーナー様。

 使い方なんすが、オーナー様は、ただ自分に命令してくださればいいっす。そしたら、自分が即座に、階段とか部屋とか魔物なんかを魔法で作るっす。ただ、その際に蓄えたポイントを消費させてもらうっす。

 それと、偉大なるオーナー様は、ダンジョン内なら好きなところに、任意の人と一緒に移動可能な魔法が使えるっす。

 しかしながら、自分は移動系に関われないっすから、そっちは、オーナー様の魔力を消費して欲しいっす。

 それと、最後になるんすが、ダンジョン内は、どこで何が起きてもオーナー様に伝わることになってるっす。その時々で、最善の選択をしてもらえるとうれしいっす。

 簡易ではあるんすが、以上っす。」


 うん、なんだか、長々と喋っていたようだが、大雑把に分けて、建設、手下召喚、ワープ機能に、監視カメラってところか。


「そのポイントってのはなんだ?」


「はいっす。ポイントは、領域内に人が居たり、魔物が倒されたりすると、そこから自分が魔力を回収するっす。その回収した魔力を蓄え易い形に変換したのがポイントっす」


 時間経過か戦闘で経験値を貯めて、ダンジョンを強化しろってことか。なんともゲームチックな作りだな。……まぁ、わかりやすいからいいけど。


「ボクも今の説明で概ねは把握したんだが、確認も込めて質問させてもらうよ。

 ダンジョン内で魔物を倒すと跡形も無く消えていたのは、ダンジョンコアが回収していたということだね?

 人が居ることでダンジョンが成長する、ってのは初耳だが、それはダンジョンコアが、その人が持つ魔力を吸い取ってると考えれば良いのかな?」


「前半はあってるんすが、滞在時間の吸収の方はちがうっす。自分は吸い取ったりなんてしないっす。

 人族は、普通に生活しているだけで、無意識に魔力使い放出してるっす。その捨てられた魔力を回収してるだけっす」


「そうなのかい? それは興味深いことを聞いたよ。ダンジョンの研究が終わり次第、人の魔力についても研究する必要があるようだね。

 ありがとう、とても勉強になったよ」


「うっす、あねさんのお役に立てたようで、しあわせっす」


 人体の神秘についてや、逃亡生活の切り札を研究と言い切ったサラの言動については一旦置いておくとしよう。つまりは、長時間ダンジョン内に居たからと言って、無理やり魔力を吸い取られるなんていう危険は無いらしい。

 当初の予定通り、防衛機能も使えるようなので、住んでも大きな問題はなさそうだ。


「なんとなくだが、使い方はわかったし、後は実際に使ってみて、ってことにするか。

 それで問題ないよな?」


「うん、大丈夫だよ」 


「そうだね。ボクとしても異存は無いよ」 


 軽快に返事をした2人に軽く頷いた後、返事をしなかったアリスに目を向けるが、一瞬にして目を逸らされた。

 

「……アリス?」

 

「な、なによ? ……だいじょぶよ。アリスがそのくらいのこと、……わかんないわけ、……、ないじゃない……」


 …………うん、理解できなかったんだね。

 けど、まぁ、アリスが理解してなくても、主役であるところのクロエが把握してれば大丈夫だと思うし、問題ないか。


 とりあえずは、理解してそうな人でダンジョンを作成するか。

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