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<30>ぼっちの危機 4

 アリスの目が、一直線にカラスを捕らえる。


「ねぇ、勇者って言うよりは、魔王ってイメージなんだけど、アリスの気のせいじゃないわよね?」


 文字通り必死の思いで、召喚獣を出現させた俺に向かって、アリスが心に突き刺さる言葉を放ってきた。

 たしかに、アリスの言う通り、カラスに勇者のイメージは無い。むしろ、墓場や悪い魔女の使い魔、朽ちた屋敷に住み着くなど、気味の悪い方だと俺も思う。


「……いやいやいやいや、魔王ってことは無いだろ。

 ほら、見て見ろよ、この勇者の相棒らしい勇ましい姿!! 後光が差したかのように輝いて見えるじゃないか」


 自分で言っていて無理があるとは思っているが、さすがに、アリスの言い分を認める訳にはいかなかった。


「勇者がカラスねぇ……」


 遠くから、なんとも胡散臭そうな物を見る目でカラスを眺めるアリスとは対照的に、クロエは楽しそうにカラスの頭を撫でている。 


「つやつやな綺麗な羽だねー。それに、肉付きも良いみたいだよ?

 ちょっとだけ遅くなっちゃったけど、晩御飯は焼き鳥にする?」


 いや、食べないでください、お願いします。これでも俺、がんばったんです。

 ……見た目だけなら、カラスを可愛がる美少女の図なのだが、内情は、かなり物騒なことを考えていたようだ。しかし、まぁ、クロエだから仕方が無い。

 そんなクロエを無視するかのように、アリスが話しを紡ぐ。


「まぁ、いいわ。とりあえず、この鳥が特殊能力って認めてあげるわよ。一般人に召喚魔法なんて仕えるはずが無いものね。

 それで? この鳥のどの辺が戦闘力があるっていうの?

 私には、そんな優秀な召喚獣には見えないんだけど、教えてくださるかしら、ゆ・う・し・ゃ・さ・ま」


「ぅぐ…………」


 召喚さえ成功すれば万事解決とばかり思っていたが、どうやらそうは行かないらしい。


 ……カラスに、戦闘能力ってあるのだろうか? あいつらって、ゴミ袋を荒らしてるだけで、狩りをしているイメージなんてまったく無いのだが……。


 晩飯にされる危機にも気付かず、幸せそうにクロエに頭を撫でられてる姿を見るに、特殊な能力を持っているとは到底思えないしな。


「えっと、それはだな…………。まぁ、なんだ、…………えっと――」


「その辺の説明は、ボクの担当かな」


 俺が、返答に困っていると、横からサラの声が飛んできた。


「アリスには、その召喚獣のすばらしさがわからないのかい?」


 どうやら、俺のピンチを助けてくれるらしい。


「なによ!! アリスにだって、そのくらい…………、……サラ姉には、どうみえるのよ?」


 心の底から、カラスを無能認定しているのだろう。いつも通り、強がりを言おうとしたが、言葉にならなかったようだ。

 そんなアリスに、半ば説得するように、ゆっくりとサラが言葉を紡ぐ。


「まず、飛べる時点で、戦場の把握が容易に出来る。召喚獣は、主人と感覚を共有できるのが一般的らしいからね。

 それから、黒くて比較的小さな体は、敵から身を隠すには適切だと思うよ。特に現在の様に、日が落ちてからだと、発見は困難だろうね。

 すなわち、この能力を使えば、戦場全体の把握に、敵伏兵や罠の発見、そして、敵の行動までもが予測可能になる。

 味方の位置情報もリアルタイムに把握できれば、数多くの者を一度に指揮出来るだろうね。

 集団対集団での戦闘では、飛びぬけた武力を持っているとは思わないかい?」


「…………まぁ、たしかに、そうかもしれないわね。

 けど、余計に勇者っぽくないじゃない。勇者のパーティは、勇者、僧侶、シーフ、魔法使いの4人でしょ?

 集団対集団向けの能力っておかしくない?」


 確かに、アリスの言うように、俺の中でも勇者が徒党を組むなんてイメージは無い。それでも、サラのナイスなアシストのお陰で、流れはこっち側にある。そして、新たな突破口も見つかった。なので、後は任せろとばかりに、話を引き取る。


「4人パーティってのは、先代の話だろ?

 俺の場合は、仲間の数に制限なんてないんだよ。それこそ、1億人のパーティとかもありえるね。

 それと、優秀なアリスにわざわざ訪ねる必要も無いと思いながらも、一応聞くんだが、最近の魔王は集団戦闘を仕掛けてくるって知ってるか?」


「……は? …う、うん。ええ、もちろん、知ってるわよ。当然じゃない」


 勿論、俺が魔王の行動など知るはずが無い。

 アリスがちょろくて良かった。


「勇者側もそれに対抗する必要があるんだよ。だから、俺の能力がこうなったってわけだ。それに、わざわざ、パーティ人数を決めるなんて、自分の首を絞めるようなことする必要ないだろ?」


「……うーー、たしかに、4人とか、少なすぎるでしょ、って昔から思っていたわね。

 けど、集団で、カラスが一緒の、勇者ねぇ……」


 すこしばかり想像してほしい。武器を持った大量の人々が列を成し、その集団をまるで監視するかの如く、周囲を飛び回るカラスの群れを…………。

 うん、完全に魔王軍襲来だね。


「……まぁ、戦闘力がある特殊能力を示せたら認めるって約束だし、一応、信用してあげるわ。感謝しなさいよね」


「あぁ、恩に着るよ」


 なんとか、今度こそ、アリスを納得させることが出来たようだ。


 …………けど、カラスって、勇者とか抜きにしても、どぉよ?

 なんか、イメージわるくね? ドラゴンとまで言わないけど、もうちょっと、なんかあったでしょ…………。

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