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<22>旅立ちの朝

 異世界でのキャンプは、あまり寝ることが出来ずに夜が明けた。


 布団も枕も無いことに加え、女性3人に囲まれた状態で寝ろというのは、なかなか無理がある。


「……おはよう。

 提案なんだが……、もう少しだけ、寝てはだめだろうか?

 このままの状態では、逃亡に支障が出ると思うんだよ」


「うぅー、なんでアリスがこんな場所で寝なきゃいけないのよ。

 それもこれも全部、ダーリンが悪いんだからね」


 生粋のお嬢様であるサラやアリスも眠たそうに目を擦っていた。俺同様、彼女達も十分に眠れなかったのだろう。しかし、その原因が俺であると言うのは断固として抗議したい。


 あー、城にあったふかふかのベットが恋しい。


「おはよう、お兄ちゃん、お義姉ちゃん。

 朝ごはん出来てるよ。少しだけでも食べたら、みんなすぐに元気になると思うな」


「……わかった。ありがとなクロエ」


 そんな中、クロエだけは元気いっぱいである。


 なんでも、奴隷商時代は、布団が無いことくらい当たり前だったらしく、タイル張りの冷たい床と比べれば、土のかまくらの方が幾分か寝やすかったそうだ。

 むしろ、お城のふかふかベッドと比べれば、こっちの方が慣れている分寝易かったとか…………。


「ほら、2人とも、さっさと起きるぞ。

 このまま寝たら死ぬぞ」


「……仕方が無いね、了解したよ」


「……ふん。ダーリンの癖に生意気なのよ」


 サラに魔法で水を出してもらって顔を洗い、口を軽くゆすいでから乾燥肉をお湯で茹でてで戻しただけの朝食を食べ、土のかまくらを脱出した。

 ちなみに、水の魔法は、炎の魔法と一括りに生活魔法と呼ばれ、蛇口程度の水量や、100円ライターほどの火火力であれば、血筋に関係なく練習次第で使うことが出来るらしい。

 サバイバル生活には優しい世界のようだ。

 

 昨日の暗がりでは良くわからなかったが、寝ていた場所は、何もない平原だったらしい。

 後ろを振り向けば、街を囲む高い壁があり、正面、右手、左手共に、先が見えないほどの鬱蒼とした森が生い茂っている。

 自分達の周囲には、同じように城壁の外で一泊したと思わしき人や、馬車の姿が見え、全員が慌しく、朝の身支度を整えていた。


 サラに話しを聞けば、街の城門は日没と共に閉められ、夜の間に街へ到着した商人などは、日の出まで街に入ることは出来ないそうだ。そのため、毎朝の開門時には、門の外で一泊した者達で、城門前が慌しくなるらしい。

 

 そんな人々に紛れる様にして、街を背に森に向けて歩き出す。

 狙い通り、門の兵士などは入国者の対応に終われ、こちらに気付いてる様子はない。


「ねぇ、こんなに堂々と道を歩いて大丈夫なわけ?

 森の中を行った方がいいんじゃない?」


 アリスの言葉通り、俺達は普通に道路を歩いていた。

 まぁ、道路とは言っても土を固めただけの物なのだが、左右は深い森であり、そこと比較すればかなり歩きやすい。


「そうだろうか? ボクとしては森を進むよりこっちを進んだ方が良いと思うんだけどね。

 下手にこそこそするよりは堂々としていた方が、見つかり難いと思うんだよ。

 それに、逃げる先はここから1日ほどで到着する場所だから、速度優先なんだ。兄達の追っ手が来る前に到着してしまおうって作戦だね」


「……ここから1日って、そんなところに何かあるの?」


「目的地がそこにあるよ」


「たしか、海まで行くのに5日だったはずよね?」


「その通りだと記憶しているね」


「海と街の間って森以外に何も無いわよね?」


「あぁ、アリスの言うとおり、城下町と海の間には何もないよ」

 

「……ちょっと、意味わかんないわよ。

 ちゃんと説明しなさいよね、ダーリン!!」


 そういえば、アリスに何の説明も無くここまで連れてきた事を今更思い出した。

 ってか、普通、そういうことって街を出る前に聞かない?

 それに、なぜか、俺の責任みたいに怒られてるが、俺が悪いのか?


「わかった、わかった。順序良く説明してやるから、あんまり叫ぶな。

 周囲に人が居ないとは言え、俺たちは一応逃亡者なんだからな」


 まぁ、目的地まで1日。時間はたっぷりあるのだし、ダンジョンコアを扱える能力はクロエの固有能力だと言う事にして、道を進みながらゆっくりと説明することにしよう。

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