<3-10> 街をつくろう 2
「んー? 兄様?
……こんなところで、どうしたんですか?」
「あ、いや。えーっと、あれだ……。
順調に進んでるのかなー、問題おきてないかなー、と思ってさ」
なにもさせて貰えないままに建設組を追い出された俺は、ダンジョンの一角にある、リアム達の部屋を作った地区へと移動した。
このあたりは、住民の増加に伴って部屋や廊下が増設されており、ちょっと前まではリアム達の部屋しかなかったのが、今では20近くの部屋が廊下に付随して並んでいる。
ちょっとしたホテルのような感じになっていた。
そんな新しく作った部屋の中でも、1番に新しい部屋、3時間前に作った製品組の作業部屋に、俺はこっそりと足を踏み入れた。
ん? なんで堂々と入らないんだって?
いやー、あれですよ。……見つかると追い出されそうで、うん。
部屋の中には、教室2つ分くらいの空間に1人用のテーブルと椅子が並べられ、1人1人が机の上に乗せられた毛皮や糸と格闘していた。
その風景は、どこからどう見ても家庭科の授業って感じだ。
「御心配をお掛けして申し訳ありません。
ですが、ここにはあたしだけじゃなく、お姉ちゃんも居ますから、大丈夫ですよ」
「そうか、……それは、なりより、だな」
まぁ、こっそりと入ったんだけど、すぐにノアに見つかりました。
……見渡す限り女性しか居ないんだもの。隠れるなんて無理ですよ……。
「ミリア王妃。
申し訳ありませんが、すこしだけよろしいですか?」
「えぇ、勿論いいわよー。すぐ行くから、ちょっと待っててねー」
ノアの言葉通り、不具合が起きた場合は、ミリアがその者の机まで行って相談を受けているようで、目立った混乱は起きていないようだ。
「そうねー。形成を主体にするなら、ここを切っちゃったらいいんじゃないかしら」
「なるほど。言われてみれば、たしかにそうですね」
「それじゃ、その調子で頑張ってね」
うん、ミリアさん、完全に先生のポジションだね。
もともと面倒見がいいし、似合ってるな。
……はっ!! これは、早急にメガネを用意しなければいけないのではないか!? シャープで赤いやつを!!
「ノア。頼みがある!!」
「ん? いきなり力が入りましたけど、どうされました?
兄様のお願いなら何でもききますよ?」
うぇぃ!? な、なんでも、だと!?
……なんでも。……おぉう。
そうですかー。なんでも、聞いてくださいますかー。
これはあれか? メガネより先に、あんな感じのお願いをするべきなのか?
それともやっぱり、そんな感じのお願いをするべきか?
……ん? いや、ちょっとまて。
なんかおかしくないか?
すこしだけ違和感を覚えた俺は、目の前に居る少女の姿を見返す。
「……なぁ、ノア。……お前、ノアだよな?」
「ふぇ?
……はい、ノアですよ?」
この人は何を言っているんだろう、といった顔をして、ノアが両手を広げ、自分の体に視線を落とす。
たしかに、目の前に居る女性は、ふんわりショートでスカートの下にスパッツを履いている、活発系美少女のノアに見える。
見えるんだけど……、んー?
「どうしたんですか?
あたし、どこかおかしいですか?」
「…………いや、おかしくは」
ん? あれ?
おかしい、ですか??
「……なぁ、ノア」
「はい?」
「…………お前、いつから、敬語キャラにクラスチェンジしたんだ?」
そう、なにかおかしいと思ったら、ノアの話し方がおかしいんだ。
俺の記憶が確かなら、昨日までは普通に、フレンドリーに、親しく話してくれていたはずだ。
それなのに、いきなり敬語だなんて……。どうしてこうなった?
……俺、なにかしたか? 気に障ることしたか?
……はっ!! もしかして、ダンジョン内なのに風が吹いて、スカートがひらーって成らないかなー、って妄想してたのがばれたか!?
いや、でも、いいじゃない。だって、スパッツはいてるでしょ? パンツじゃないでしょ?
どうして俺は風魔法を使えないんだ、なんて思ったりしてないよ? ホントだよ?
「あっ、話し方ですか。
今朝の任命式で、販売部長に任命して貰ったじゃないですか。なので、敬語にした方が良いかなって、思ったんですよ。
形式上は、お姉ちゃん達より1つ下の立場になりましたから。
……ダメでしたか?」
ん? 任命? 販売部長?
おぉう。なんだ。俺が変態だってばれたわけじゃないのか。
ふぅ、安心したーー。いやー、変な汗かいたね。
えーっと? ノアが敬語キャラになっても良いかどうか?
うーん、ノアってあれだろ?
メインが元気っ子で、戦闘中だけヤン入るキャラだろ?
そこに敬語かー、ぶっちゃけ詰め込みすぎじゃない?
……っは!!! いや、違うな。もしかすると、敬語を取り入れたほうが今よりも爆発力上がる!?
よし、妄想してみよう。
『あかーい。まっかだよー。おじさんの血、綺麗だねー』
『お疲れ様。ありがとな、助かったよ』
『……あ、あにさま。
……いえ、お守りできて、よかったです』
……うむ。すばらしいな。
「いや、問題ないよ。
むしろ、俺のためにそうしてくれ」
「!! はい。ありがとうございます。
あたし、兄様のために頑張ります」
うむ、朕はご機嫌でおじゃるよ。ふははは。
「そういえば、お話が途中でしたね。
あたしにお願いってなんですか?」
ん? あれ? なんだっけ?
えーっと?
スカートを両手でたくしあげてほしい、だっけ?
そんでもって、最終的には、スカートの端っこを咥えて欲しい、だっけ?
……いや、さすがに違うな。それは俺の妄想だな。
えーっと? ……あれ?
やっべー、完全に吹き飛んだ。
…………うん、まぁいいや。
本当なら、新しい人達が馴染んだ後でやろうかと思ってたけど、この機会に頼んじゃうか。
「えーっと、あれだ。
土鍋を作ってくれないか?」
「どなべ? ですか?」
「そうそう、お米を炊きたいんだよ」
「…………」
なんでも聞いてくれるって言ってたし。家畜の餌って言われようが何て言われようが、絶対に手伝って貰うんだー。
初めてレビューを頂きました。
内容 『誤字脱字が多すぎる作品』
ほんと、読みにくい作品で誠に申しわけありません。
言い訳にもなりませんが、昔から漢字が苦手でして……。
今後は2回以上読み直してから投稿させていただきます。




