<1>姫に召喚されまして
全体的に短く区切ります。
来月より仕事が忙しくなります。そのため、不定期の更新になると思いますが、最後までお付き合いくだされば嬉しいです。
「初めましてで悪いんだけど、ボクを助けてはくれないかな?」
「……は?」
それが、ぼっち姫との初めての会話だった。
事の起こりは、今から約1時間前に遡る。
ハローワークで求人情報をチェックしていた俺は、突然の眩暈に襲われた。
疲れているのかな、と思いながらも明日の食事のために必死に画面に噛り付いていたのだが、治まるどころか、時を追うごとに辛さを増していく。そして、ついには吐き気も込み上げてきた。
急ぎ、トイレへと駆け込んだのだが、扉を閉める直前で、俺は意識を手放してしまった。
そして気がつくと、動物でも入れるかのような小さな檻に入れられ、白衣のような服を着た女性に眺められている状況だ。そして、私を助けて欲しい、である。
まったく意味がわからない。
むしろ助けて欲しいのは、檻に入れられているこちらだろう。
「あぁ、申し訳ない。説明が不十分だったね。まずは、自己紹介からしよう。
ボクの名前はサラ。本当の名前はすごく長いんだが、気軽にサラと読んでくれて構わないよ。一応、まだ、この国の第4王女ってことになっているね」
「…………」
目の前に居るサラと名乗った女性は、16歳程度だろうか。
顔立ちに未だ幼さは残るが、美人と言って差し支えない容姿をしている。
肩まで伸びた薄い紫色の髪に、しっかりとした喋り口調、そして、少女とは思えない大きさの胸も相まって、特有の色気を醸し出している。
今は、白衣のような服に身を包んでいるが、高校の制服に着替えさせ、図書室を背景に、メガネと本をアクセントに加えれば、さぞ良い絵になるだろう。
そんな美しい彼女は、現在、中二病の真っ最中らしい。しかも、第4王女とか、中途半端なところが余計に痛い。
残念なような、ギャップ萌えな感じで逆に可愛いかも、などと思う複雑な心境を漂わせていると、彼女が大きく溜息を吐いた。
「ふぅ……。そのような目をされて喜ぶような趣味は無いね。
仕方が無い、キミの名前を聞く前に、これまでの経緯を話すよ」
そういって彼女、サラが語り出した話は、驚くべき内容……のような、ありふれているような、と言った感じの話しだった。
一言でまとめると、異世界召喚系ライトノベル!!
詳しく話しをするなば、優秀すぎてドジを踏んだ彼女は、命を狙われており、助けを求めて異世界から俺を召喚したらしい、といったところか。
そして、こちらの状況も一言で表そう。
そんな面倒なことに巻き込まないでくれ!
こうして、異世界での生活が始まってしまった。