~出会いの歌~
今日は日射しが強い。
私はまるで世界の頂点であるかのようにキラキラと輝く太陽を見上げて思った。
太陽はただ1つ。1人でも平気だと誰かに励ましている。その太陽をかくそうとたくさんの雲が迫って来る。
その様子を見て私は現実に似ていると思った。
私は1人で登校している。太陽のように迫って来る雲を跳ね返すようにしながら。私は1人で歩いている。太陽に励まされながら。
― ― ― ― ― ―
私は1人で本を静かに読んでいた。
「またあの子1人だよ。なんか近寄んなオーラ出してるよねー」
「本当、本当。やな感じー。恋花とかいうんでしょ?声とか聞いた ことないし。」
クラスの女子たちは私が1人でいても、何をしていても、私の愚痴を言っている。私はもう慣れたが、やはりその重苦しい空気には耐えられず、教室を飛び出した。
とくにいくあてもないので、とりあえずただひたすら廊下を歩いた。女子や男子の視線は苦手だが、教室にいるよりはましだと思った。
ちょうど階段の踊り場辺りに差し掛かった時だった。
階段をかけ上がってくる男子と、それを追いかけるやつと、周りで嬉しそうにキャーキャー叫んでる女子が目に入った。
そして、私はぶつかった。
「あっ、ごめん!前見てなくて、もう、お前のせいだろ義明。後 ろで叫ぶから」
「はー?俺のせいかよ」
「わりぃ。マジでわざとじゃないから」
私は立ち去ろう、そう思い、小さな声で
「大丈夫だから」
と言った。すると、
「そんなわけないだろ?足痛そうだし。一緒に保健室行こ」
そいつが私の手をそっとつかもうとした。
私は驚きのあまり声をあらげてしまった。
「もう大丈夫って言ってるでしょ!」
そういい放ち、その手を払って男子のあそこにおもいっきり蹴りを入れて、足をひねったのも忘れてただひたすら走った。
「あいつサイテー。せっかく東堂君が心配しているのに……。東堂 君大丈夫?」
「あぁ、俺はな」
あそこを痛そうにしながら答える東堂を心配そうな目で見つめる 周りの女子たち。その中にいた1人が言った。
「でも、初めて聞いたね。あの子の声。スッゴク透き通ってた」
周りの女子たちもうんうんとうなずいている。
「でも、やっぱサイテーだよね」
また、すぐに女子たちは口々に恋花の悪口を言った。
すると、さっき義明と呼ばれていた人が、 「そんなことよりさー、皆でカラオケ行かねぇ?」
といい、その集団はカラオケへと向かった。行っている間もまだその話は続いていたが……。
ただ1人、そんな悪口は言わず、面白いものを見つけたように笑っている人がいた。あたった手を見つめながら。
出会い編いかがでしたでしょうか?よくあるようで、ないような……。
~次回 帰りの歌~
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