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第四話 お別れ<帝国歴570年9月19日>

本日二回目投稿



予告はないときもあります。



わたしたちはお互いに自己紹介してから、何故か黄金の羽を持った妖精のアニタちゃんからの指示で全滅した商隊からお金や貴金属の回収をしています。


 最初、『そんなことはしてはいけません』と言おうと思ったのですが、パートナーを失って気丈に頑張っているアニタちゃんの強張こわばった表情をみたら何もいえませんでした。


「そ、そういえば、言い忘れていたわ」


 とアニタちゃんが言いにくそうにあたしに話しかけてきます。


「はい、なんですか?」


「あんたの寿命半分になったから……き、奇跡にはそれそうなりの代償が必要なのよ」



 うんうんと頷くアニタちゃん。


 寿命が半分無くなったのですか……少しピンときませんが――



「それで皆さんのお役に立てたならわたしは構いませんので、気にしなくて大丈夫ですよ」



 とアニタちゃんに笑いかける。


「あんた……ううん、わたしが言うことではないわね」


 とアニタちゃんは一瞬怪訝な顔しましたが、わたし何かおかしなこと言ったかしら?と首を傾げてしまいます。






 アニタちゃんの説明によると――アニタちゃんとわたしは契約というものを結んだらしいです。


 それはとても大切なものらしいです。……ごめんなさい、あまりよくわかりませんでした。


 と、とにかく、だからか……その契約を解除してアニタちゃんはかえるべき場所にかえるそうです。きっと、白髪の少年がアニタちゃんにとって――


 まだ会って間もないですが、寂しく思います。


 ですが、それを告げたアニタちゃんの表情は先程に比べて晴れやかになっていました。


 だからわたしは笑顔でみんなで集めたお金と貴金属の山の上を飛んでいるアニタちゃんをお見送りします。


「アニタちゃん、お元気で」


「うーん、心配だからもう一度言うけど、あんたの新しい腕には英雄クラスの力があるわ。それだけだと宝の持ち腐れだから、剣にニサの意思を反映して自動で剣が動くようにするわ。わかった?」


「えっと、大丈夫です」


 あー、そんなこと言われた気がします。わたしの新しい手や腕の太さなどは変わらないのですが、白髪の少年が持っていたミスリル剣で試しに岩を切れと言われたのですが、出来てしまいました。剣を振るのがこう慣れた感じといいますか。剣なんて軽々(かるがる)に振れますし。


「あの……腕と剣お返ししなくていいのでしょうか?」


「?剣はともかく腕がないと困るでしょ?」


 それはそうですが、アニタちゃんの大切な方の形見です。勝手に自分のもの!!というふうに図々しくできません。


「ふぅ……役立ててくれたほうがトムも喜ぶと思うし、別にあたしは形見なんていらないわ」


「そうですか……では、大切に使わせてもらいますね」


 とアニタちゃんに頭を下げる。


「あー、なんか調子狂うわね。ちゃっちゃっと剣に細工するわよ!!」


 アニタちゃんは何事かつぶやくと、ミスリル剣とお金・貴金属の山が光ります!!


「きゃぁ」


 目を閉じてたのは一瞬だったはずなのですが、アニタちゃんとお金・貴金属の山はなくなっていました。



「はぁ、あれだけあれば、娼館で遊びたい放題だったんだけどなぁ」


「溜息つきたいのはこっちのほうよ」



 アニタちゃんとのしんみりとした別れの雰囲気がなくなります。きっと、ポールさんが気を遣ってくださったのでしょう。


 火精霊――レムちゃんは不機嫌そうです。どうしたのでしょうか?


「サフィ、それではいきましょうか?」


「♪」


 わたしはリュックを背負って本来の旅路に戻ります。


 そこにはなにがあるのでしょうか?


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