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リアリー桃太郎

作者: 54

 突然ですが、冬の或る町に、お爺さんとお婆さんが住んでいました。ある日、お婆さんは洗濯をするために家の洗濯機を回し、お爺さんは隣町のコンビニに買い物に行きました。


 さてさて、隣町まで歩いて行った元気なおじいさんですが、帰るときにはすっかり疲れ果ててしまいました。困ったお爺さんは、札を崩してお釣りに貰った小銭を使って、電車に乗り込みました。


 お爺さんは電車から降りて改札口を通り、駅を出ると、電柱の近くに冷凍食品輸送用の発泡スチロールの箱が置いてあるのを見つけました。お爺さんが見てみると、中には一歳くらいの男の子が入っていました。お爺さんは、「おうおう、こんな所にいては寒そうだ」などと全く思わずに、「誰だこんな所に騒音問題の根源を置き去りにしたやつは!! こんなもの、ワシが拾って持って帰ってペットにしたるわい!!」とか考えて発泡スチロールごと家に持って帰りました。


 箱が途中で底抜けしたのは秘密です。


 お爺さんが家に帰ると、お婆さんはもう洗濯を終わらせていました。


「いやはや、最近の洗濯機は便利ですのう」


「それより婆さん、とんでもねえもんを拾っちまったんでぇ」


「とんでもないもの? もしかして、道端に改造スタンガンが落ちているのを拾ってきたり、万札のつまったスーツケースを拾ったと思ったら中にはダイナマイトが入っていたり、そういうことかぇ? 最近の世の中は物騒だからのう」


「そうじゃないんでぇ。実はな、発泡スチロールの箱に赤ん坊が入っていたのせ」


 それを聞いたお婆さんは、後ろに倒れるというオーバーリアクションをしながらも、あまり受けなかったので、さも何事もなかったかのように立ち上がりました。


 それからお爺さんとお婆さんは、どういう経緯からか知りませんが、拾った赤子を育てることにしました。お爺さんは、この男の子を「恭男ヤスオ」と名付けました。


 それから二十年余がたち、お爺さんとお婆さんは完全に死滅しました。恭男ヤスオだけが残り、家は地震で崩れました。


 二年後、やがてヤスオ(恭男)は大物政治家になりました。思い切った政策で数多くの悪徳業者()を潰し、消費税を2%まで下げるようにと総理大臣に告げ、政策が成功すると知らぬ間に政界からいなくなっていました。


 今、恭男(ヤスオ)は健康食品会社の社長になり、あくどい商法で大金を手にしていました。この恭男()が退治される日も、遠くはないはずです。



                             終わり

ありがとうございました。

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