第31話
メッカイサイは厚さ数十メートルの強化魔鉱装甲で覆われていた。
膨大なエネルギーが、砲台群に供給されていた。
霧圏全体を監視するレーダー網を展開していた。
放射性粒子を遮断する多重障壁を備えていた。
頂上が炎で瞬いていた。
遠くからでも不気味なシルエットを浮かび上がらせていた。
広大な制御室では、クロノ家の三人が一堂に会していた。
部屋の壁面はモニターで覆われていた。
公国全域のリアルタイム映像が投影された。
霧圏の粒子密度や艦隊の移動軌道が表示されていた。
中央の玉座卓は魔鉱製だった。
部屋の隅で待機するオペレーターたちの緊張した息遣いがした。
中央の玉座に座る公王ユウエンは、漆黒の甲冑をまとっていた。
瞳にはシユウとキオウの死による深い悲しみが宿っていた。
甲冑の胸部にはクロノ家の家宝──魔力増幅結晶──が埋め込まれていた。
ユウエンの魔力が注入されるたび、結晶が青く脈打った。
部屋の照明を微かに変化させた。
瞳の奥には、家族の死を嘆く涙の跡が残っていた。
玉座の肘掛けを握る手が白くなるほど強かった。
喪失感が彼の威厳をより重くしていた。
肩のクロノ家紋章が青く脈打っていた。
威厳と喪失感が交錯する。
右に立つメイテンは、冷徹な眼差しで戦術モニターを睨んだ。
黒い甲冑の肩に刻まれた紋章があった。
彼の独裁的野心を物語っていた。
内部に隠された小型コンソールがあった。
戦術データをリアルタイムで投影していた。
左のシキは漆黒のドレスを纏い、優しく微笑んでいた。
ドレスの裾には細かな魔導刺繍が施されていた。
シキの動きに合わせて微かに光を放った。
戦術卓には二つの空席があった。
シユウの笑顔、キオウのいたはずの席。
クロノ家の断絶を静かに物語っていた。
空席の前には、シユウの航空徽章とキオウの炎の紋章が置かれていた。
家族の喪失を部屋の空気に染み込ませていた。
メイテンが一歩進み出た。
戦術卓に手を置いた。
魔力増幅装置を通じて公国全域に演説を始めた。
「公国の民よ、戦士よ、聞け!」
彼の声が轟いた。
「帝国は我々の魔鉱を奪い、結晶植物の光を踏みにじり、ムカイハラの畑を炎で焼き尽くした。シユウの空は墜ち、キオウの炎は消えた! 我々の血は、魔界の民の血だ! 帝国の少年──ソウマ・ツキヤマ──は魔族の怪物として、家族を奪った!」
演説の言葉は、民衆の感情を掻き立てた。
ムカイハラの炎の映像が同時放送で投影された。
家族の喪失を視覚的に強調していた。
彼は一瞬言葉を切った。
ユウエンの瞳が揺れた。
シキの微笑みが凍った。
その中で、メイテンは戦術モニターを指さした。
「だが、奴らは弱っている。カゲトリデは陥落し艦隊は減り、補給は途絶え、兵は疲弊している! ここで滅ぼせば、魔界は自由になる!」
モニターのデータは、帝国艦隊の損傷率をグラフで示していた。
民衆の士気を高めるためにリアルタイムで更新された。
補給途絶の詳細がリストアップされていた。
メイテンの声が力強く高まった。
「クロノの誇りを懸け、家族の仇を討つ! 我々の手には、シャクゴク──魔鉱の鼓動を結集した究極の兵器がある! 奴らの艦隊を灰に変え、魔界の未来を掴むのだ!」
彼は剣を掲げた。
制御室の灯が一斉に輝いた。
「シャクゴク、稼働せよ!」
テツカガミのブリッジでは、スクリーンに映るメイテンの演説が終わった。
重い沈黙が訪れた。
ジンが歯を食いしばった。
「メイテンの奴……民を怪物扱いか。ソウマの名を仇として使うとは、卑劣だな」
要塞の頂上で、シャクゴク──有人制御型超圧縮魔導兵器──が放たれた。
レーザーが直線上にある全てを切り裂いた。
帝国軍の艦隊を直撃した。
約半数が一瞬で炎に包まれた。
墜落の軌道が尾を引いた。
テツカガミのブリッジでは、スクリーンに映る艦艇の爆炎だった。
クルーたちの顔が青ざめた。
ノゾミが叫んだ。
「半数が……一撃で……」
ジンは歯を食いしばった。
「突き進め! ソウマ、再チャージを阻止しろ!」
ギゲンが号令を出した。
「全軍突撃!」
メイテンは戦術卓を再び叩いた。
「全軍、突撃! 奴らを滅ぼせ!」
公国軍が帝国軍に襲いかかった。
レックウの戦闘機が魔導弾を降らせた。
戦闘機が低空旋回で包囲した。
爆弾の投下音が大地を震わせた。
テツカガミはシールドを全開にし、辛うじて低空を保った。
船体が熱で歪んだ。
「シロガラス、起動! ……この戦いを終わらせる!」
ソウマは援護のもと、戦場へ飛び出した。




