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魔界独立戦争 ~継承された守護魔道~  作者: 川合 佑樹


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第27話

 ソウマは、鎧に身を包んで荒野に立っていた。

 キオウの哄笑が無線で轟いた。

「ガハハ! 小僧、クロノ家の炎で灰になれ!」

 ソウマがスラスターを吹かした。

「アメノハバキリ、起動!」

 右腕に刃が形成された。

 ナラクテンマに斬りかかった。

 だが、攻撃が当たっても、わずかな傷しかつけられなかった。

 ソウマの剣戟が弾かれた。

 ナラクテンマの両腕には巨大な魔導指レーザーがあった。

 鋭い弧を描き、ソウマを追い詰めた。

 同時に、ナラクテンマの内部で魔素が極限まで圧縮した。

 砲口の焦点レンズでエネルギーを集束させた。

 アマテラスが荒野を貫いた。

 射線上にあるすべての物質を分子レベルで分解した。

 直径五メートルの溝が刻まれた。

 数百メートルにわたって、空気がプラズマ化した。

 音速を超え、岩を粉々に砕いた。

 土埃が視界をゼロにした。

 残留熱が火災を引き起こした。

 煙がさらに視界を塞いだ。

 数分間は追撃が困難になるほどの焦土を残した。

 ソウマは回避したが、レーザーの熱波が鎧の表面を焦がした。

 熱波は周囲の温度を一瞬で数千度に上げた。

 鎧の外装が剥離し始めた。

「当たって無いのに……この暑さ……!」

 指レーザーが弧を描いた。

 ソウマを追い詰めた。

 ソウマはシールドを展開して辛うじて防いだ。

 鎧の一部が剥がれ落ちる中、ソウマは膝をついた。

 その時、逃走した補給艇の熱源が再びセンサーに映った。

 ミコトの通信がノイズを貫いて届く。

「ソウマ、補給艇が岩場の谷間へ逃げ込んだ! 予備タンクを積んでナラクテンマに再接続中──今なら追いつけるわ。労働者の影がまだ見える、正確に狙って!」

 ソウマは息を整え、立ち上がった。

「了解! 一旦下がります!」

 彼はスラスターを噴射し、霧の谷間へ低空追跡を開始。

 レックウの残存機が護衛に回り、機銃の弾幕を張った・

 ソウマは結晶樹木の残骸を盾に縫うように進んだ。

 艇の甲板で、鎖の音が微かに聞こえた。

 労働者の叫びが風に混じった。

「助けてくれ!」

 カズマの通信が割り込んだ。

「ガキ、俺のパルスで護衛を散らす! 三秒後、突っ込め!」

 カズマのパルス砲がレックウを一掃し、道を開いた。

 リョウタの榴弾が艇のエンジンを掠め、速度を落とさせた。

 ソウマは間合いを詰めた。

「カグツチ、指向性展開!」

 波動がタンクの接続部を精密に破壊。

 爆炎が上がり、艇が炎上した。

 民間労働者は脱出ポッドで射出された。

「補給ライン、完全遮断! ナラクテンマの出力が急落中!」

 ジンが戦術マップを睨んだ。

「今だ、ソウマ! 艦隊が援軍射撃を開始する! 突っ込め!」

 遠くで、帝国の魔導艇が魔導レーザを連射した。

 ナラクテンマの側面を攻撃した。

 ナラクテンマの周波数が乱れた。

 青白い光が不安定に瞬いた。

 援軍が連携射撃のタイミングを調整した。

 戦場の空気が一変した。

 ソウマはクルーの援護に力を得て、魔導書を起動した。

「カグツチ、起動! 指向性展開!」

 鎧の両腕からエネルギーが放射された。

 ナラクテンマに直撃した。

 振動周波数に同期し、内部に浸透した。

 表面にひびが入った。

 外殻が剥離を始めた。

 内層の回路が露出した。

 だが、コアには届かなかった。

 その時、リンカが目を覚ました。

 衝撃で気絶していた彼女は、コックピットで体を起こした。

 ディスプレイを睨み、状況を確認した。

「いててて。何が起きた? まだ生きてるか。ナラクテンマは……まだ健在みたいね」

 リンカはゼツエイを再起動する。

「スラスターは……ギリギリ動けるわね。回線は……死んでるか……」

 スラスターを吹かした。

 故障の不具合で出力が不安定に揺れた。

 機体がガクンと振動した。

 ブリッジのクルーたちが叫んだ。

「リンカ、待て! エンジンに不具合が出ている! 撤退しろ!」

 通信が死んで届かなかった。

 リンカのスクリーンには静かなノイズだけが映った。

 彼女は歯を食いしばった。

 スラスターを全開噴射した。

「ここで行かなきゃ、女が廃る! お姉ちゃん、頑張っちゃうんだから!」

 キオウの哄笑が無線で響いた。

「この攻撃をシユウへの手向けとする!」

 ナラクテンマの巨体が突然停止した。

 装甲が開いた。

 無数の砲口が一斉に展開した。

 合計五十基以上。

 内部の魔導チャンバーがチャージされた。

 電弧が砲口間で跳ねた。

 キオウの咆哮が轟いた。

「クロノ家の誇り、とくと見よ! 全方位レーザー、発射準備!」

 ナラクテンマの全身から魔素の奔流が全方向に広がる準備を始めた。

 発射前のエネルギー蓄積が周囲の磁場を歪めた。

 キオウの哄笑が無線で響き渡る。

 ナラクテンマの両手がゆっくりと開き、指レーザーがソウマを全方位からロックオンした。

 青白い光が指先から集束し、逃げ場のない網のように迫る。

「カラスは鳥かごがお似合いだ!」

 ソウマは逃げ場を失い、死の予感に膝をついた。

 指レーザーの奔流が一斉に放たれ、彼を飲み込もうとする。

 熱波が鎧を焦がし、視界が白く歪む。

「これで……終わりか……ユナ、みんな……!」

 ブリッジのクルーたちの悲鳴が重なった。

「ソウマ! 避けろ!」

 カズマの叫びがノイズに掻き消され、ノゾミの「シールドが……!」という囁きが途切れる。

 その瞬間、リンカのゼツエイがスラスターを全開に噴射し、ワイヤーを全力で伸ばしてソウマを絡め取った。

「生きろ……! 少年……!」

 ソウマを強引に引き寄せた。

 指レーザーの網から辛うじて引きずり出す。

 反動でゼツエイの機体がビームの籠に転がり込んだ。

 熱波をかすめ、装甲が赤く発光する。

「リンカさん! 危ない、離れて!」

 ソウマの叫びが響くが、リンカには届かなかった。

 ただソウマの魔力を感じ、リンカは笑みを浮かべて応じた。

「ふふ、短い間だったけど楽しかったわよ。ユナちゃん大切にしなさいよ! あと、レンに会ったら伝えてくれる? 一人にしてごめんねって」

 指レーザーが装甲を焼き切り、リンカの機体がバランスを崩し倒れた。

 彼女の機体はゆっくりと指レーザーの奔流に飲み込まれる。

 熱線がゼツエイを貫き、内部の燃料タンクを誘爆させた。

 機体が青白い炎に包まれ、爆音とともに砕け散る。

 残骸が散らばり、煙が霧に溶け込んだ。

 リンカの最後の言葉が魔力に載ってソウマに届いた。

「作って……未来を……!」

 ソウマの瞳が赤く光る。

「リンカさん……なんで」

 胸を抉る喪失感が、怒りの炎に変わった。

 ソウマは立ち上がり、ナラクテンマに襲い掛かった。

「お前なんて! この世界にいちゃいけないんだ!」

 刃を振り回した。

 巨体を翻弄した。

 だが、指レーザーが鎧を削った。

「リンカさんが何でお前なんかに!」

 その瞬間、ユナの結晶植物の指輪が青く輝いた。

 魔力の流れが視界に浮かんだ。

 ナラクテンマのコアから赤い魔力の脈が溢れた。

 それが弱点として見えた。

 ソウマは叫んだ。

「アメノハバキリ、最大出力!」

 右腕に巨大な刃が形成された。

 霧中の魔素が鎧に吸い寄せられた。

 長さ五メートルに達するプラズマ状の刃を生成した。

「絶対に許さない! 俺はお前を許さない!」

 ソウマはスラスターを全開にした。

 崩れる岩場を蹴って跳躍した。

 レーザーの砲口が輝く直前、ナラクテンマのコアへ突進した。

「届け! 限界を超えろ! 魔力でも命でも、もっと持っていけ!」

 刃が振動しさらに膨れ上がった。

 ナラクテンマの装甲が震えた。

 亀裂が広がりコアが完全に露出した。

 ついに、コアを貫いた。

 内部のエネルギーが逆流した。

 連鎖反応を誘発した。

 コアの外殻が破裂した。

 プラズマが噴き出した。

 ナラクテンマが内側から溶解していった。

 キオウの絶叫が無線に轟いた。

「我が消えても、誇りは……消えぬ!」

 ナラクテンマの巨体が崩れ落ちた。

 電弧が荒野全体に広がった。

 残存のレックウ機体をショートさせた。

 ソウマは膝をついた。

 リンカの犠牲が胸を抉った。

「リンカさん……!」

 テツカガミのブリッジでは、クルーが歓声を上げた。

 だが、すぐに悲鳴に変わった。

 カズマが震えた。

「ガキ、やりやがったな……」

 リョウタが静かに呟いた。

「ソウマ、よくやった……」  

 遠くでレイのゴウライが監視していた。

 無線から漏れる姉の最後の叫びが、胸を抉る。

「裏切らなければ……生き残れただろうに……」

 ゴウライは静かに撤退した。

 最終決戦が近づいていた。


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