第17話
閉鎖された空間で、捕捉網が張り巡らされていた。
ソウマの鎧のセンサーが敵機の振動を捉えていた。
この坑道は、単なる通路ではない。
数百メートルの岩盤が天井を支えていた。
床は魔鉱の粉塵で滑りやすい。
敵は、坑道を熟知していた。
鋼糸を壁の突起に固定し、スイング攻撃を繰り返した。
張力を微調整し、包囲網を狭めていった。
ソウマはワイヤー射出機を見て思いついた。
「そうか! あれの逆をやれば!」
ソウマは、刃を展開した。
鋼糸を切っ先から絡めていき、肩から先の出力を調整した。
肩部位を勢いよく回転させた。
網を高速で巻き込み、敵が勢いよく引き上げられる。
ソウマを横切り、天井に激突して粉砕された。
その衝撃で、ソウマの固定が緩んだ。
「一機、撃破!」
着地したソウマは、落下した敵機を利用した。
射出機から伸びるワイヤーを掴み、鎧の出力で振り回した。
ライセンの残骸が、ライセンに叩きつけられ爆散した。
残存部隊が壁面に張り付き、捕捉網を再配置した。
パイロットたちの息遣いが漏れた。
ノイズ混じりの断片的な声が響いた。
「二機落ちた! バカげた出力だ、できるだけ距離を取れ!」
焦りが交錯した。
メイジンの命令が、プライベートラインで届いた。
「……撤退しろ! 地雷をセットし、崩落で道を塞げ」
残党は命令に従った。
退却ルートに鋼線の残骸を絡め、即席の網を張り巡らした。
床下に魔導地雷を次々と仕掛けた。
撤退が始まった。
それを確認し、ソウマはルートを予測した。
敵の一機が振り返り、鞭状のワイヤーを振り回した。
ソウマはスラスターを噴射した。
電流の弧が壁を焦がすのを横目に距離を詰めた。
ソウマは残骸の鋼線を足場に跳躍した。
敵のセンサーが赤く点滅し、振り返った。
「地雷原を……飛び越えるだと!」
ソウマが脚部を斬り飛ばした。
機体が転倒し、地雷に自ら触れて爆発した。
周囲の網を連鎖的に焼き切った。
「大佐、奴の行動むちゃくちゃだ! 地雷が間に合わねえ!」
メイジンが苛立った。
「耐えろ! 崩落を待て!」
だが、そこに援護の轟音が鳴った。
ギゲン部隊の魔素ミサイルが坑道の奥を直撃した。
数機の敵が分岐通路に散開した。
二度目のミサイルが闇を裂いた。
地雷の連鎖を巻き起こし、通路を塞ぐ爆炎が広がった。
ジンにギゲンの回線が届いた。
「テツカガミ、支援部隊到着。ハガネハラを落とす!」
ミサイルが、メイジン部隊を一掃した。
「間に合いましたか!」
ジンの歓声が響いた。
ギゲン部隊の攻撃が坑道の入口を吹き飛ばした。
耐性兵たちの重装備のブーツが岩屑を踏み砕いた。
魔素ライフルが残党を蜂の巣に変えた。
メイジンの絶叫が轟いた。
「坑道を封鎖しろ!」
しかし、工兵が即座にレーザーカッターで道を切り開いた。
メイジンが分岐通路に逃げ込もうとしたが、ギゲンのミサイルが襲いかかった。
通路を直撃し、壁面が崩落。
メイジンを飲み込んだ。
「ぐあぁぁ! 許さん! 許さんぞおおおお」
メイジンが砕け散る爆音が続いた。
彼の断末魔が闇に溶けていった。
ギゲン部隊の隊長が無線で報告した。
「ハガネハラ制圧。魔鉱の備蓄を確保した」
鉱脈の迷宮が、勝利の光に変わる瞬間だった。




