プロローグ 療養
一日目:AM十一時
暗い暗いまどろみを抜けて、俺、ライトは目を覚ます。
「やぁ。やっと起きたね」
すぐ側にはミネーシャがいて……俺はベッドに寝かされているようだった。
「こ、こは……」
声が掠れる。ミネーシャは俺の額に置いていたタオルを替えた。
「簡単に言えば、僕が医療器具を置いていた場所、かな。昔馴染みがいてね。君も知ってる人さ」
ぼんやりとした景色の中、誰かが近寄って来る。
「ライトお前、本当に大丈夫かよ?」
この声は、
「あぁ、フェルクか……」
フェルクの言う通り、初撃で躊躇った俺は、ムルルの一撃を腹に喰らった。それだけじゃない。そこから掴み合いになって、上半身はボロボロの筈だ。
「君、僕がいなかったら死んでたよ。でも、結構の間眠ってるかと思ってた。そこは流石の気合いだな」
感心感心、とミネーシャは言いながら俺の側に座る。
「えっとだね。君の治療について伝えておこう。
骨に関しては手術の必要は無い。だが、神経とか筋肉系はちょっと深追いしすぎたね」
「えっと……それは……」
「あぁ。縫合だ」
そこでミトさんがやって来る。
「引退した後だから、腕は鈍っているかもしれないけれど」
そっか。ミトさんは元々そっち系の人だったな。医者らしいミネーシャと知り合いでも不思議ではないか。
「子供たちは去っておけ。よしライト、後もう少し眠っていてもらおう」
そこからの記憶は一切ない。
それから丸一日。
「おはようライト君。やはり丈夫だ。人間界からしてみれば驚異的な回復力だろうよ」
流石に動かせる訳では無いが、見た目は元通りになっていた。
「ありがとう……」
「だが抵抗力は弱っているからな。大人しく点滴を打たれておくと良い」
「飯は駄目なのか?」
「消化に体力を使ってどうする。寝ておけ。それとも僕の研究に付き合ってくれるか?」
「こえーよ」
「これが成功すれば、君のk」
ミネーシャはミトさんに引っ張られていった。ついでにミトさんは腰の下にクッションを入れてくれた。
しばらくはここで療養か……。
ムルルを掴んだ感覚が、怪我がマシになったからか帰って来た。
『どっちなんだよ!殺すなら殺せよ!』
俺は自分で決められずにあの一線を越えてしまった。情けない事この上ない。
なんとなく、ギルド様の最期のメッセージを思い出す。
何回か聞き返しているうちに、続きがある事に気づいたのだ。
『もし、キマイペに会ったら、今から言う事を聞かせて下さい。
あなたの目の前にいるのは、私の大切な部下です。一度で良いから、力を貸してやってくれませんか?』




