第五部 beheading
だどりついた所は山がちで、真っ暗だった為猫とはいえとても歩き辛かった。ここに入る前に鳥の巨大な羽根を見たので、おそらく間違いないと思う。
でも、不思議と風はない。一体どう言うことだろうか。
なんて考えながら歩いていたら、首に冷たいものが触れた感覚。
驚いて飛び退くと、真っ黒な服を着た女性がいた。
「ごめんなさい。敵かと思っちゃったわ」
すごい妖気だ。禍々しいのはこの人か。真っ赤な瞳でこちらを伺っている。持っているのは鎌。避けて良かった。
「こちらこそ。
……失礼ですが、お名前を伺っても?」
「名乗る名前は無いわ。
“魂を喰らう者”の首斬り姫よ」
なんとなく知っている。多分強い。この人と話が出来ないだろうか。
「あなたのような力のある人に、お願いしても良いですか?」
「何を?」
「簡単に言えば、市民の救助です」
「でも、私になんの得もないわ」
「……逆に、何が欲しいですか?」
「うーん……強い人の首。
あなたさっき、私の攻撃避けたでしょ。もしかして王族?」
「そうです」
やっぱり、こうなるか……。
「でも、猫の首に興味はないなぁ。
じゃあ、あなたもお願いを聞いてよ」
真紅の瞳が、僕を捉えて離さない。
「お墓を探して欲しいの。
彼らは猫だったから、資料を探せば見つかるはず」
「彼らとは」
「息子と夫よ。
多分、赤目狩りの資料かなんかにリストアップされてる。あなたなら自由に見れるでしょ?」
赤目狩り、か。僕は過去の出来事として習ったことしかなかった。でも、それでいいなら。
「分かりました」
「じゃ、行くわよ。案内して」
「僕のが先で良いんですか?戦争が終わるまで大分ありますよ?」
「気まぐれよ。百年待ったんだから、数年なんて大した差じゃ無いわ」
「じゃあ」
僕は全速力で走っているけれど、全然向こうは急いでいなさそうだった。僕ってそんなに足遅いかなぁ。
「やっぱ、こうした方がいいわ」
彼女は僕をおぶった。
「案内してね」
彼女が走ると、闇は一瞬で晴れ、戦線は最も簡単に跳び越えた。
「私はその街を制圧するから、助けるのはよろしくね。
私は近づいただけで気絶されちゃうかもしれないから」
と、僕を置いていく。
残酷ながらも美しい鎌捌きで、敵の攻撃ごと斬って行く。彼女を前にしては、軍すらも遊ばれていた。どうして一般人がこんなに強くなったんだろうか。
いや、今はそれどころじゃない。
僕は隠れながら進み、声のする場所へ辿り着いた。確かに家が崩れてしまっている。
僕は瓦礫を浮かせて退かす。やがて、人が出て来た。
「アルガさん!?」
「折角家建てたのに……」




