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〈王女奪還作戦に参加したブレイブはジゴホウ国を発った。実はブレイブが参加した組は第2陣であり、後に「庭の中の戦争」と呼ばれる。最強の世代と言われた第2陣は魔王城のある場所まで各ポイントからの出発となった―ブレイブのパーティは当初上手く噛み合わず〉
ブレイブのパーティを含む10組のパーティはバラバラのポイントから出発となった。国民や道中の人に激励を浴びながら。
皆凛々しく歩みを進めた。
ブレイブも当然凛々しく歩み始めた。だが、パーティの雰囲気はさほど良くなさそうだ。ブレイブは真っ直ぐ道を歩く。長身の男と目つきの悪い女は、お互いに話さないが目に見える地雷のように触れてはいけないオーラが満載である。背丈の低い女児はそんな空気お構いなしに何やら話している。
「皆さん皆さん!私の名前はラーボ・ポジェフスキーです!もう一度皆さんのお名前教えてくれませんか!?一回で覚えれなくて…」
ラーボは、天真爛漫でなんでも興味を持ち好奇心旺盛な女児だ。ブカブカのニット帽を被っており動く度に顔が隠れるため仕切りに直している。
「…俺はブレイブ・リボーンズだ」
最初に口を開いたのはブレイブでその流れで他の2人も続いた。
「オレはライア・プラゾール。これから命かけるのに呑気な子どもが紛れちまったもんだなっ」
憎まれ口のようにラーボに応えた。ライアは長身でオールバックの髪型をしている。服装は長旅を想定した軽量でどんな気候にも対応できるものであった。ちょっとカッコいい。
「えへへ、たまたまですよ~」
ラーボは頬をポリポリ搔きながら照れた。
「私はセレーナ・ベトレイだよ。これの前は医者をしていたよ。先に言っとくけど、怪我とかは私に言ってもらえばなんでも治すわ」
セレーナは黒ベースのワンピースにネックレスを着けている。多分これを使って治すのだろうと思われる杖を携えている。セレーナもつばの広い帽子を被っている。
「わぁ!お医者さんスゴいですね!転んでも安心です!」
ラーボは目をキラキラさせながらセレーナを見つめる。そんなラーボを鼻で笑いながら見ているライア。
「こんなお嬢ちゃんに怪我が治せるのかね、こんなところじゃなくて町医者でもやってれば良いのになぁ~」
ライアの言葉に歩みを止めずフツフツと怒りを込めた言葉をセレーナはぶつけた。
「別に貴方を治すつもりは一切ありません」
その様子にラーボはびくびくしていた。ライアは飄々とした態度を崩さず「おぉ~こぅわ!」
そんなやり取りがあってもブレイブは我関せずを突き通し歩いていた。そんなブレイブを気にしてラーボが声をかけた。
「ブレイブさん、ブレイブさんはなんで王女奪還作戦に参加したんですか?」
「…俺は…」
ブレイブが言い渋っていると、道の外れから木をなぎ倒す音が聞こえた。ブレイブとライアは即座に身構え戦闘態勢に入った。
「何か音がしましたね?」
状況をよく分かっていないラーボにライアは「お子ちゃまは下がってな」と後ろに下げた。「それにお嬢ちゃんもな」
「お構いなく、自分の身は守れますので」
不穏のする音の正体は金棒を持ち1つ目のトロールであった。体長2メートル近くあり屈強な体つきである。
「…角つき、魔族だな」ブレイブはトロールの額に目をやった。魔族の特徴の1つは角が生えていることであった。
「こりゃ出発そうそうヤバそうな奴に出会っちまったな…」ライアはトロールの金棒にこべりついた赤い血をみて唾を飲んだ。トロールはとても知性のあるようには見えない挙動でブレイブ達に狙いを定めた。金棒を大きく振りかぶり力強く叩きつけた。
ブレイブとセレーナは余裕をもって避けた。ライアはラーボを抱え回避した。
「あわわわ!」完全に混乱しているラーボを正気に戻そうとライアが体を揺らした。
「ったく!このパーティは攻撃できるやついるか?俺は防御だし、お嬢ちゃんは僧侶でこのお子ちゃまは使えねーし…あの無口耳当てはよくわからねぇ」
ライアは困り果てていると、目の前にトロールとの間に入るようにブレイブが立っていた。
「ラーボを連れて下がってくれ」
「でも…!お前どうすんだよ!?」
ブレイブは、ポケットから手のひらに乗るくらいの大きさのキューブを取り出した。
「なんだそりゃ?」
「彼何をしようとしてるの?」
ライアとセレーナは困惑するが、この状況ではブレイブを頼るしかなかった。
ブレイブはキューブの1画を人差し指で押した。
「Change up!」その掛け声と共にキューブは両刃の剣へと小盾に変化したのであった。
「キューブが剣に…?」
ブレイブはトロールにゆっくりと近づいていく。
「…クエストの攻略を開始する!」
ありがとうございました。
ブレイブは全然話さないし、ラーボは空気読めないし、ライアとセレーナはギスギスしてる中で、凸凹パーティの初陣が始まります!




