水色自由帳
ブルー視点です
昔から、ずっと絵を描くのが大好きだった。
アニメも漫画も大好きで、高校に入って同じ趣味を持つピンクとパープルに出会った。
毎日くだらない話をして、毎日楽しい。
今だってそれが続いている。
毎日可愛い服を着て絵を描いて物を作って。
パープルの家に遊びに行った時、お兄さんのレッドさんに会いました!
かっこよすぎて完璧すぎて思わず「けっ」と言ってしまった。
ブルーはちょっとふざけた面白い人が好きなのですよ!!
悶えんジャーに入って博士にフォーリンラブ。
まさに理想の人だったわけで。
かなりながぁぁ~い月日を掛けてやっと恋人にもなれた。
弟のエンが幼馴染のスイちゃんと悪の組織に入って、一応姉として魔王であるライ様にご挨拶しに行ったときは驚いた。
あのパープルが「誰だ!?」と言うくらいに豹変していたのだから。
学生時代から年下や同い年に興味がなかったことは知っていたが、12歳も年上の大人なライ様にもじもじとしているのを見たとき妙に納得してしまった。
恋とは面白いものである。
ピンクは学生時代からレッドと付き合っている。
こちらも納得。美男美女。
2人ともうざいくらいもてる。しかし男もレッドに適う者はおらず、女もまたピンクと争おうなどと愚かなまねをする者はいなかった。
見た目に反して意外と策略家なピンクにころっと落ちてしまったレッドは可愛らしい・・・のかもしれないがブルーはやはり余り好きにはなれそうにない。
ブルーにとってレッドはパープルのお兄ちゃんでピンクの彼氏でしかない。
そして、博士とブルーは。
「変態だよね?」
「変態だね」
「そ、そんなことありませんよ!」
いい加減イエローのカレー弄りに飽きたピンクとパープルはブルーに標的を変えた。
視界の端では本当はカレーが好きなイエローが涎を垂らしながら「カレー嫌いカレー嫌い」と呪文のように唱えている。
イエローがカレー好き。
なんとも在り来たり。そう思ったのは何もブルーだけではないはず。
本人も自覚しているようで好きなのに我慢して嫌いだと言い張っている。
まぁ、そんなことは置いておいて。
「だっていつも変態プレーばっかりしてるんでしょ?」
「親父だしね」
「むむっ!違うぞ!!・・・たぶん」
そんなことを言えば博士と同い年のライだって親父ではないか!と思うのだが、ライには似つかわしくない言葉のように思える。
何故だ。
ご飯も食べ終わったことだし、まだカレーを凝視してがくがく震えているイエローを放っておいて部屋へ戻る。
レッドが名残惜しそうにピンクを見ているが無視なのです!
今から3人でオタ活するんですから!
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「上手い~!これとか博士そっくりじゃん!!うける~!」
「きゃー!これとかマジ萌えなんですけど!!このからみは神・・・!」
「でしょ!?神キタコレーーー!」
きゃいきゃいと色めき経つパープル、ピンク、ブルー。
所変わってブルーの部屋。
3人でイラストを描き合い、シュチュエーションを考えて悶える。
本格的なのはやはりブルーのもの。
イラストレーターやペンタブを使い、皆のリクエストに答えて絵を描いてくれる。
それを集めて作ったのが水色自由帳。
自分達の願望が描かれたマル秘自由帳である。
レッド×ピンクだったり。博士×ブルーだったり。ライ×パープルだったり。
とにかくいつもなら恥ずかしすぎて言えない自分達の願望を書き出していたりするわけだ。
・・・たまに実話も含まれるが。
騒いでいたから気づかなかった。
背後から忍び寄る、影に。
ブルーは突然浮遊感を感じた。
「わきょ!?」
「あはっはははー!はーかーせーのーお帰りですよー!!ほ~れ、高いたかーいー!!」
まぁ、博士なのだが。
突然高い高いをされて驚いて博士を見下ろすと、その顔は真っ赤になっていた。
しかも、酒臭い。
「よ、酔ってますか!?」
「ん~?酔ってないよ~ん。ブルーちゃーん・・・ちゅー・・・」
「なぬぅ!?」
うちゅーっと口を突き出してくる酔っ払いにブルーは行動停止した。
ピンクが不思議に思ってブルーを覗き込むと、口の端から涎が流れていた。
嫌な予感がしてブルーの目を見るとらんらんと輝いている。
しかしピンクとパープルが居るため躊躇している。
がばっといきなり博士がブルーの顔を鷲掴んだ。
「え、ええ!?人前は嫌ですよっ!やめっ・・・・っ~~~~~!!」
「シーッ・・・・」
ぶちゅー・・・っとキスをし出した2人をやや呆れ気味に眺めるピンクとパープル。
キスに陥落しつつあるブルーに対して博士の手が怪しく動いているのを見つけて2人はやれやれと部屋を後にするのだった。
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「・・・・博士ー?」
「ん~?なんだ?もう一回したいのか??」
「ち、ちちち違いますよっ!何言ってるんですかっ!何回する気なんだよぅ!もう立てないんだぞっ!」
博士の胸の上に凭れつつも好き勝手されたブルーは文句を言う。
明日立てなくなったらどうしてくれるのか。
博士が呼吸すると胸が上下し、ブルーの小さな体もそれの合わせて揺れる。
とくとくとなる心臓の鼓動が心地よい。
猫のように胸に擦り寄って来るブルーを博士は擽ったそうにして抱き直した。
「お~い・・・なんか聞きたいことあるんじゃなかったのか?寝るなー」
「はっ!!」
ぺちぺちと頬を叩かれてがばっと顔を上げれば涎まで出ていた。
博士が苦笑してそれを舐めあげてニヤリと笑う。
流石のブルーも真っ赤になって照れ隠しとばかりに「このヤロー・・・」と博士の胸にぐりぐりと頭を擦りつけた。
博士はけらけら笑ってブルーの頭を撫でる。
「で?」
「むむむむ~・・・!えと!だから、酔っ払ってたから、誰と飲んでたのかなー・・・って」
「ん?ライちゃん」
「え?」
「だからライちゃん」
ライちゃんと言うと、魔王のライ様なわけで。
仲が悪いと思っていたブルーにとっては寝耳に水だ。
不思議そうな顔をしていたら「俺、ライちゃん大好きなんだよね~!」と博士が清清しいほどの笑顔で言ってくる。
ライの方は博士の名前を出すだけで不機嫌になるくらいなのに。
それなのに博士は嬉しそうに今日の出来事を話し出す。
「いや~・・・もしかして、と思ってライちゃん呼び出して話聞いてたらさぁ~・・・すっげー可哀想なの!もう、何ていうか可哀想すぎて逆に愛おしいって言うか・・・良い酒の肴になっくれるんだよねぇ~!!いつもいつも言えば良いのに言わないからいけねーんだよ、あれ。パープルってライちゃんに憧れてた期間が長すぎて絶対自分からわがままなんて言えねぇーのにな」
「そうなんですか~?長い間ってどれくらい?」
「3歳くらいからかな~。いや昔、レッドんとこと家隣同士でさ。すっげーちっちゃい時から知ってるわけよ。3歳のパープルを隣から借りてきてライちゃんに合わせたところ一目惚れしたみたいでさ。俺だって可愛がってたのに、ライちゃんと引き剥がそうものなら蹴るは殴るは噛み付くわですっげー大変だったなぁ・・・」
「へぇー・・・・」
自分から聞いてきたくせにうとうととし出したブルーに苦笑して博士は毛布を掛けてやった。
すると直ぐに寝息が聞こえて来る。
お休み3秒だ。
「・・・のび太かよ」
ぷぷ、と笑い鼻を摘むと眉根を寄せて猫のように唸るものだから博士もブルーを猫扱いする。
喉元を擽るように撫でるとくるくる言うので、また噴出しそうになった。
「う~ん・・・はかしぇー・・・とーふぅー・・・」
「豆腐?」
「げへへへ・・・」と涎を垂らしてほにゃっと笑うブルーの鼻先にキスを落として博士も枕に沈み込んだ。
「ほんと、かぁわいいねぇー・・・・」
そんなことを言いながら。