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戦え戦隊 悶えんジャー  作者: パープル
3/16

悪(?)の組織

ボーイズラブ要素が含まれます。

苦手な方は回れ右を。

ぎりぎりR18ではない・・・はず。

 

 私はライ。

 世間一般から悪の組織と呼ばれているこの悪趣味な城の主である。

 もちろん私の趣味などではない。

 腹の立つあいつの趣味だ。

 あいつはあいつで変な組織を作り上げて自分のことを’博士’などと呼ばせている。

 「いきなり悪の組織を作る!」とか言って私の家の周りに、まるでゲームに出て来るような’魔王の城’を建てたのだ。

 私の家は日本家屋。

 ・・・・非常に似つかわしくない。

 しかし言い出したら聞かないのは昔からで、もう諦めている。だから無駄にならないように使ているわけだが、おかげで世間から怯えた目で見られる。

 まぁ、元から人付き合いは苦手なので問題ない。

 問題があると言えば・・・。


 「パープルちゃんとデート!!」

 「何言ってやがんだコンチキショー!ブルーが博士とネズミーランドに行くんだぞ!!一緒にお耳を装着するんだぁぁぁぁ!!」

 「はぁぁ!?お前ら、ばっかじゃねーの?!俺がアイス浴びるほど食うんだよ!!」


 バァァァン!!!!

 と、些か豪快にこじ開けられた執務室の扉はネジが飛んでしまったらしく、床に倒れた。

 眉間に皺が寄り、顔を上げれば「またか」とため息しか出ない。

 目に写った色。

 黄色い頭に緑のジャージを着たデカイ男。手に銃が握られている。

 水色の頭にでかいリボンを着け、かさ張る服を身に着けた小さい女。手には金属バット。

 真っ黒な頭に触角のような癖毛が立っている男・・・なはずだ。中世的な容姿をしているが。手にナイフを持っている。

 今回はまさにうるさい奴らが先行してきたものだ。

 しかも黄色が居るとなると・・・。


 「いやぁぁぁぁぁあん!!イエロー様ぁ!!わたくしに会いに来て下さったのぉ!?」

 「ぐほぉっ・・・・!」


 ・・・やはりドクが飛びついたか。

 ドクは四天王の1人で女だ。

 胸が異様にでかく、破廉恥極まりない格好をしている。

 黄色のことが好きらしく、黄色が来ればいつも体当たりする勢いで飛びつく。

 黄色の顔に胸を押し付けて窒息死させることが目的なのだろうか?

 今日も黄色は「よるんじゃねぇ!牛女!!」と叫び、逃げ回っている。

 まぁ、ドクは名前の通り毒を使う。

 いつも瘴気を撒き散らし、黄色が痺れて動けなくなり連れて行かれるのが常だ。

 と言うかドクは金髪なのでこの2人が揃うと目に痛い。

 仕事をしないなら早く視界から消えろ。


 「そこにいるのは、ピンクさんじゃぁありませんかっ!?ふっ、何も言わないで下さい、分かっていますよ・・・終に俺の美貌にやられちゃったんでしょう?・・・ああ、なんて罪な俺!!全てはかっこよすぎる俺がいけないんですから!!」

 「うふふ・・・・」


 持っていた書類を宙に投げ捨て、扉から入ってきた桃色の女に迫るのは四天王のエン。

 エンは、言わなくても分かるだろうがナルシストだ。

 ホストのような髪型をして前髪だけを金に染めるという、自己主張の激しい髪をしている。

 まぁ、まだ17歳と若いので別に構わないだろう。

 しかし。

 エンにはあの桃色から発せられている邪悪なオーラが見えないのだろうか?

 確かに可愛らしく笑っているが、明らかに嫌われている。


 「てめぇぇぇ!!書類投げてんじゃねぇよ!!ライ様に迷惑かけたら殺すぞ、オルァ!!」


 四天王、スイが切れた。

 キャロットジュースのような髪と目をしたスイは普段は大人しい。

 しかし幼馴染であるエンには遠慮がなくなるらしく、切れるのが早い。

 スイは水を操る。

 切れると辺りが水浸しになるのでやめてもらいたいのだが・・・。

 書類が水浸しになる前に他の部下達に拾わせる、が。

 水色が突進してきたためその頭を抑えた。


 「ぐぎぎぎぎ~!!届かないんだぞ~!!離せー!ずるいぞっずるいずるいー!!」

 「・・・そのように手をぐるぐる回しても届くわけがないだろう。・・・飴をやるから帰りなさい」


 飴をぽん・・・と手に乗せられて水色がお礼を言ってきた。

 しばらくは飴を舐めてご機嫌だったのだが飴が無くなりかけるころ、はっとして私を指差し「子ども扱いすんなぁ~!」と、きーきー騒ぎ出した。

 ・・・うるさい。

 どうしたものかと考えて、無視することにした。

 部下達に任せて仕事に戻る。

 

 黄色とドクが不純性行為を行いそうになっているし、エンとスイと赤色と桃色が何やら揉めているし、水色は部下たちに「子供じゃないやい!」と子供のように訴えている。

 ・・・お前達、ここを一体どこだと思っているのだ。

 仕事が進まない。

 

 「!」


 突然殺気を感じ、そちらを振り返れば視界に色鮮やかな紫が広がった。


 「・・・ブラック先輩?いくらブラック先輩でもライ様に怪我させようだなんて・・・許しませんよ?」

 「へぇ・・・俺のナイフ、鞭で叩き落とすなんてやるじゃん。でもさぁ、密書手に入れるのは俺だ。大好きなアイスを浴びるほどに食うんだからな。だから、どけ。女の子に怪我させたくないから」

 「女だと思わなければいいでしょう?私だって絶対引きませんから」


 黒色がニヤリと笑ってナイフを構えると同時に鞭を構える。

 黒色が繰り出すナイフを鞭で叩き落すつもりらしい。

 ・・・さすがにこれは無視はできない。


 「パープル」

 「うるさくしてごめんなさい。直ぐに帰らせますから。本当にごめんなさい。お仕事の邪魔してますよね?ごめんなさ・・・」

 「・・・パープル。危ないから止めなさい」

 「きゃぁあ!!」

 「・・・・・」


 鞭を下ろさせようとパープルの手にそっと触れたら、鞭を落とし私が触れた手を火傷でもしたかのように擦って後ずさった。

 いや、その顔は真っ赤で泣きそうになっていて震えているため、驚いて恥ずかしかったのだろうとわかる。

 しかし・・・少し、傷つくわけだ。

 いい加減慣れてもいいだろうに。

 私がため息を吐くとパープルがびくっと震える。

 私の一挙一動にそこまで反応しなくても・・・と近寄って抱きなれた体を抱き上げる。

 真っ赤になって私の肩に顔を埋めるのもいつものこと。

 湯気が見えるようだ。


 恋人を確保して落ち着いた私は今まで放置していた黒色に向き直る。

 何故か真っ赤になってこちらを凝視していた。


 「・・・なんだ?」

 「お、お前なぁ!!場所考えろよ!!」

 「・・・・・・・」


 お前達に言われたくないのだが。

 毎度毎度くだらないことで仕事の邪魔をするのはどこのどいつだ。


 「・・・それで?今回は何のようだ。密書がどうの・・と言っていたようだが?」

 「お?お、おお。そうだった・・・奪った密書を返せ!!」

 「・・・・」


 別に奪ってなどいないが、確かに覚えがあった。

 パープルを抱いたまま机に向かい、ゴミ箱を漁る。

 くしゃくしゃに丸められて捨てられていた紙を「何!?なんだー!?」と興味津々で近寄ってきた水色に渡す。

 水色が紙を伸ばすと、そこには・・・・。


 「こ、これは・・・!!!密書なんだぞーーーー!!!!」


 ひゃほぉい!と飛び上がらんばかりに喜ぶ水色に「あーーーーー!!!俺のアイスがぁ!!」と叫ぶ黒色。

 くしゃくしゃになった紙にはこう、書かれていた。


 「密書 by博士」


 と・・・・。








++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++



 「よかったね、ブルー!これで博士とネズミーランドじゃん!」

 「うん!・・・でもよかったのか?ピンクも何か欲しいものとかしたいこととかあったんじゃ・・・」


 ブルーがちらっとピンクを見ると、ピンクは晴れやかに笑っていた。

 ・・・いや、にやついている?


 「今日はもぉ~お腹いっぱーい!!見た!?あのエン×スイのからみ~!萌えなんだよぅ!スイちゃん相変わらず可愛すぎる~!!」

 「な、なななんと!!博士とネズミーランドが頭いっぱいすぎて見てなかったんだぞ!!悔しぃ~!!」


 腐女子ここに。

 本来ならパープルもここに入るわけだが、本日は城の後片付けを手伝って残ってしまったのだ。


 ブルーはうきうきして博士に密書を見せようと、基地に入った。

 そして、手を大きく上げ博士に猛ダッシュをかける。


 「博士~~!!密書なんだぞ!!ネズミーランドでネズミカップルになってくださいっ!!」


 興奮しすぎてやや文章が可笑しい。

 博士は目をキラッキラさせたブルーを見、上げられた手を見る。


 「・・・?ブルー、お前何も持ってねーぞ?」

 「・・・?」

 

 言われて手を見てみれば確かに何も無い。

 博士とブルーは顔を見合わせて「「??」」と首を傾げる。

 確かに密書を手に入れたはずなのに。

 すると後ろからくすくすと笑い声が響く。

 振り返ればそこにいたのはホワイト。

 口元に密書をちらりと覗かせていた。


 「あーーー!ブルーの密書!!」

 「俺のだよ、俺が手に入れたんだからね。・・・いやー・・・待っていた甲斐があったよ。しかも見せびらかしながら帰ってくるから盗るのも簡単だった」

 「泥棒ーーーー!!」


 ムキー!と怒るブルーだが後ろでがたがた震えているブラックを見つけて、黙る。

 いつの間にかピンクも隣に来ており、興味深々に2人の行方を見守った。


 ホワイトが震えるブラックの頬に手を当て、優しく微笑む。


 「何、そんなに怖がってんの?これ、ブラックにあげるよ」

 「・・・え?ほ、ほんとか!?変なプレイしたりしなくてもいいんだな!?アイス、浴びるほど食ってもいいのか!?」


 ホワイトは、それはもぅ、優しく微笑んだ。


 「もちろん」

 「!!やったーーー!!ホワイト、大好きだっ!!」


 喜んだ勢いでホワイトに抱きつくブラックと、それを当たり前だとでも言わんばかりに受け止めるホワイト。その表情は蕩けそうなほど甘い。

 2人はハートが飛びそうなほどの甘ったるい空気をかもしながら部屋に戻っていった。


 「・・・大丈夫か?ブルー、ピンク?」


 博士がその場に座り込んだ2人を覗き込みながら聞くと、2人は鼻血を流していた。


 「「ご・・・ごちそうさまです・・・」」






+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++






 「ちょっ、ちょー!!!なんだよ!!アイス浴びるほど食わせてくれるって言ったじゃん!!なんで・・・ぁ!んん・・・ちょぉ・・・ホワイト・・やめ・・・」

 「何言っているの?ちゃんとアイス浴びさせてあげてるじゃないか」

 「なぁ!そ、そう言う意味じゃねーよっ!!これアイス浴びてるんじゃなくて、アイス塗れじゃん!!やーだー!!やめろー!!・・・うわぁ!・・・・あ!!そんなとこにアイス塗るなぁ・・・冷たいよぉ・・・ぁ・・・ぁぁ!」

 「・・・ふふ、下のお口から食べさせてあげる」

 「!!!!!」


 ぶわっとブラックの目じりに涙が湧き上がった。

 ホワイトはアイス塗れになった愛しい恋人を舐め上げながら恍惚とした表情でブラックを見ている。

 ホワイトがブラックの小さな体に覆いかぶさった。



 「この、馬鹿ーーーーーーーーーー!!!!!!」








 


 

 

 



 

 

 


 

 

 


 


 

 

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