表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界最強の元一般人――異世界ラノベの主人公に憧れた俺、最強でも現実は甘くなかった  作者: ITIRiN
第7章:王の顔、そして一人の男

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/145

第74話:第二回、なりすまし大会

「なあ坊主、何か釣れたか?」


「お前、ずっと俺の隣にいるんだから、一匹も釣れてないことぐらい知ってんだろ。イラッするから一々そんなことを聞くな」


さて、何故俺達が海に向かって釣竿の糸を垂らしながら、こんな会話をしているのかと言うと……ことは、俺が母さんに抱っこされたまま寝落ちした次の日に行われた会議――つまりプールなどの話が出た後のことだった。


* * *


「取り敢えず建国&国王宣言についての段取りとかは決まったけど、他に何かあるか?」


特に何もなければ今日の会議は終わりにして、夜ご飯まで寝ようかと思いながら聞いてみると、ミナが手を挙げた。


「これは昨日ソウジ様が寝落ちされた後に私達で話し合ったのですが、もし可能であるならば、ひな祭りの日にちらし寿司というものを作って、この国の方々に配るというのはどうでしょうか」


「理由は? いくら地球で売ってる商品の値段が安くなったとはいえ、全員分用意するにはかなりの費用が掛かるぞ」


そもそもうちの国の人口は三万人くらいだったはずなので、費用云々の前に物理的に人が足りない気がするのは俺だけか?


「じゃあそれについては私から話そうかな……。まず一つ目の理由として、この世界では知識としてはあっても、殆どの人が食べたことがないであろうお米を自分達で食べてもらうため。今年からうちの国で稲作を始めたい私達としては、そこで働いてもらう人がある程度欲しいからね」


「なるほど。実際に食わせてみて、興味を持った人達にそこで働いてもらおうってことか。確かに今考えている計画を進めるには悪くないアイディアだな。配る場所はどうする? ぶっちゃけ俺は自分の家には出来るだけ他人を入れたくない派の人間だから、庭を解放とかは嫌だぞ」


そう言うとミナは苦笑いを浮かべながら、


「自国の宮殿の庭の一部を一般開放する国は少なくないのですが、それをソウジ様に要求するのは難しそうですね。ここの庭は大きいだけでなく、花壇なども綺麗に整備されているので、少し勿体無いような気もしますが……」


ちなみに花壇などを作ったのは勿論俺……ではなくて、主にミナ達女性陣がこの国を乗っ取った初日に部屋を弄るついでに作ったらしい。あと水やりに関してだが、これは誰かが水をあげればそれはそれでいいし、忙しくて水やりが出来ない時は魔法で勝手にやってくれるようになっているので基本枯れることはない。


まあうちは人が少ないから、全部に水をあげようとするとかなりの時間が掛かってしまうので殆ど魔法頼りだが、それでも出来るだけ自分達の手で水やりをやっているっぽい。


「………花壇とかは門の近くにあるから城とはかなり距離があるし、別に一般開放してもいいけど……それをやるのは騎士団の人を増やしてからな。あと、絶対に日本庭園だけは俺が気に入った奴しか入らせないから」


「そういえばソウジ君って、何時も暇な時は会議室か和室にいるよね。……会議室の時はアベルさんとそこの大型テレビを使ってゲームをしてるみたいだけど、和室にいる時は何をしてるの?」


「ん? まあゲームか個人での何かしらだな。ずっと同じ場所でやるより、場所を変えてやった方が飽きないし。あと和室でゲームをする時は子供達とかティアとやることが多いな」


実はこれには理由が二つある。

一つは、子供達と会議室でゲームをするより、和室みたいなみんなが集まりやすい場所の方がコミュニケーションを取りやすいこと。

そしてもう一つは……単純に居間のテレビでずっとやっていたら、エメさんに怒られそうだからである。あとティアに関しては単純に和室が気に入ったらしく、あいつとやる時はそっちを使うことが多い。


「よくリアーヌも連れて行ってるようですけどね。それも二人っきりのことの方が多いようですし」


「言っておくけどあれは大抵、お茶しながらその日の会議で話し合ったことを伝えた後、リアにも意見を聞いてるだけだし、ティアとアベルにはゲームをしながら同じことをやってるから、シチュが違うだけでやってることはミナ達の会議と大して変わらないからな」


「でも大抵ってことは、たまにソウジ君とリアーヌの二人きりで何か違うことをしてるの?」


意地の悪い顔をしながらマイカがそう聞いてきたので、俺はつい視線を逸らしながら、


「いえ、何もしてませんよ」


実はミナは王女だから絶対に手を出さないよう気を付けていたけど、リアに関してはあっちからの誘いに負けて……ホントたまにだけBくらいまでやっていたなんて言えない。しかも見慣れた洋室の部屋ではなく和室という特別感がある部屋のおかげで背徳感があって、結構気に入ってるとか尚更言えない。


「………ソウジ様のことですから、極端に誰か一人だけを……ということはないでしょうし、大方私の立場が邪魔でリアーヌにしたような行為をすることが憚られたというところでしょうか?」


「なんだ、今日は随分と大人な対応だな。何時もなら『リアーヌばっかりズルいです! 私にも同じことをしてくだい‼』とか言うのに」


「確かにソウジ様が私のお父様に婚約の挨拶を済ませるまでは若干リアーヌやセリアさんとイチャイチャしがちでしたが、それが済んでからは極力差が出ないよう気を付けていることはとっくに気付いています。なので今後はそういったことはあまりないかと」


やっぱり気付いてたのか……。はあ、早く何か新しい解決策を考えないとな。


「………なんかさっきから普通に私達の声で喋ってるけど、それってどうやってるの?」


「『え~、マイカってばそんなことも分からないの? そんなんじゃソウジ君の秘書失格だよ』」


「いや、私に向かって私の声でそう言われても……」


アベルの時は結構反応が面白かったんだが、マイカは予想以上に反応が薄くてつまらないな。


「マイカさんは例の爆発騒ぎがあった時でさえ落ち着いていたぐらいですから、そんなことでは一々驚いたりしないと思いますよ。……それに普通の人なら本人から許可が出ているとはいえ、これからこの国の王になると言っている人相手にいきなり『ソウジ君』呼びをしたり、ましてやため口なんて絶対にあり得ませんし」


「『ちょっと、ちょっと! それじゃあまるで私が普通じゃないみたいじゃん‼』………つまんな」


別にミナの言葉を信じていないわけではなかったのだが、どうしても諦め切れなかったので、もう一度マイカの声で喋ってみたのだが……驚くどころか、なんか拍手をしながら関心の眼差しを向けられた。


そういえばこいつ、俺が城の出し入れをした時もミナ達と一緒に拍手してたな。


「いやいやいや、つまんなっはないでしょ。あっ、でも結構私の特徴を捉えられてたから、自分で言うのもなんだけど私っぽかったよ」


「『ご主人様は女心を分かっていないことが多いですが、ご自分が大切に思っておられる方に対してだけはしっかりと興味をお持ちになっておられると言いますか、どうでもいいと思っておられる方に関しては名前すら覚えようとしませんからね。マイカ様の真似をするなど朝飯前でしょう』」


「声は魔法で真似ているとはいえ、今のは本物のリアーヌみたいでしたね」


………いいこと思いついちゃった~。


ということで俺は変身魔法を使って自分の姿をリアーヌにし、


「『本物みたいではなく、私は本物のリアーヌですよ……お嬢様』」


「はいはい、お遊びは今やっている会議が終わってからにしましょうね~」


「えっ、ソウジ君ってそんなこともできるの? すご~い」


ふむ、この反応は完全に俺の遊びだと思ってる感じだな。しかも子供扱いされてるし。


「『マイカ様は兎も角、数百年単位でお嬢様の専属メイドとしてお仕えし続けていますのに、まさか私とご主人様の違いすら見抜いてもらえないとは……』」


「うえ゛っ⁉ リアーヌってそんなに前からミナのメイドをしてるの」


うえ゛っ⁉ さっきまで一切驚かなかったくせになんでこれは驚くの? 別に二人の年齢からしたら何もおかしくないだろ。


「あんまりふざけてるといくら私でも怒りますよ」


結構俺に対しては怒ってるくせに。しかもたまに敬語じゃなくため口の時もあるし。


「『はぁ、本当はこの方法を取ってほしくはなかったのですが仕方ありませんね。お嬢様は今から嘘を見抜ける特別魔法をお使いください。……あっ、準備が出来たら教えてくださいね』」


「もうこれが本当に最後ですからね。………はい、いいですよ」


どうやらミナの準備が出来たようなので、俺はリアの魔力を少しだけ流しながら、


「『……私はお嬢様とご主人様の専属メイド兼ソウジ・シラサキ様の婚約者です』」


「………………」


「あれ、いきなり固まったりしてどうしたの? ……おーい、ミナ?」


ぶはははははっ、ミナのやつ驚きすぎて固まってやがる。まあ嘘を見抜く魔法が反応しなかっただけじゃなく、目の前にいる人間からリアの魔力まで感じられたらそうなるのも分かるけど。ぎゃははははは、おもしれー!


「どういうわけか私の目の前にリアーヌが二人いて、どちらからもリアーヌの魔力が感じられるのですが……。マイカさんはどうですか?」


「ん? まあ確かにリアーヌは二人いるね。どれが誰の魔力とかは分からないから、それについては何とも言えないけど。というか私はよっぽどじゃないと魔力すら感じられないし」


ん? リアが二人いるだと? おいおい嘘言うなよ。最近出来るようになったとはいえ俺だって他人の魔力を感じることは出来るし、この城に住んでる人達の魔力は全員分覚えてるんだぞ。


とか思いながらも一応ミナ達の視線の先を辿っていくと、


「随分とお楽しみのようですね、ご主人様」


「『………えっ、マジで?』」


「私はそのような言葉遣いをいたしませんので、もし今後私になりすます際はお気を付けくださいませ」


「………………」


* * *


その後俺はリアの姿で遊んだことを本人に怒られた挙句、ちらし寿司に使う刺身用の魚を釣ってくるように言われ、現在に至るというわけだ。


ちなみにアベルは、一人で釣りをしてたら絶対に暇になるだろうと思って、俺が無理やり連れてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ