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世界最強の元一般人 ― 神に選ばれた落ちこぼれ、最強の“使い方”で異世界を掌握する ―  作者: ITIRiN
第5章:最強の帰還、はじまる“家族”の日常

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第59話:想いを重ねた夜

………ん、うん?

いつもと違う温度に、意識が浮かび上がる。

布団の中で、誰かが動いて――


「おはようございます、ソウジ様」


「ぁあ……」


さて、何故ミナが俺と同じベッドで寝ていて、しかも互いに裸なのかというと――話は昨夜に遡る。


* * *


風呂から上がって自分の部屋に戻ると、パジャマ姿のミナが、未使用らしきバスタオルを抱いてそわそわしていた。


「なんでミナが俺の部屋にいるんだよ。別に何も面白いものはないぞ」


「いえ、そういうわけではなくてですね……。その~、昨日ソウジのお家に私宛の荷物が届いたと思うんですけど……」


「ああ、来たぞ。白崎ミナ様に……ほら」


ディメンション・シェルフから荷物を出す。


「良かった~。ちゃんと全部受け取ってくださったんですね」


「そりゃあ自分の家に荷物が届けば受け取るだろ。ご丁寧に日付と時間指定、しかもその時間はティアに頼んで俺を家から出さないようにしてただろ」


「あははははは、バレちゃいました?」


「ティアの件はともかく、時間指定は伝票に書いてあることもあるからな。――で、何を買ったんだ?」


通販の支払いは全部俺名義。見ようと思えば明細は見られるが、できるだけ見ない。桁がおかしければ見るが、今回は迷って見なかった。だからこそ気になる。


「これはですね、新しいベッドと、それ専用の掛布団とかタオルケットなどです。大きさが大きさだったので、かなりの値段がしてしまいましたが大丈夫だったでしょうか? もしあれでしたら私がお支払いしますが」


「金は大丈夫だけど、これどこに置くんだ?」


段ボールは馬鹿でかい。中身のベッドのサイズが想像つかない。


「もちろんこの部屋に決まってるじゃないですか。その為に買ったんですから」


「………なんで?」


「なんでって、ソウジ様と寝るには狭いからに決まってるじゃないですか」


「……このベッドでも寝れるよね? 君は一体何人で寝る想定をしてるのかな?」


この部屋のベッドは、ミナ達と同型。値段も寝心地も悪くないし、二人でも余裕。


「今のところはソウジ様を含めて四人ですが、このベッドは最高で六人まで寝れるんですよ」


「俺はどこからツッコめばいい? そんなベッドを見つけてきたこと? それとも“あと二人”増える可能性?」


「そんなことより早く開けましょう。ということでソウジ様はベッドの方をお願いします。既に組み立てはされているようですが、箱から出すのが大変そうですので」


――つまり、魔法でどうにかしろと。まあいい。だが、さっきからずっとソワソワしてるのは何だ。


……勘違いだったら嫌だから、今は黙っておく。


風魔法で段ボールを開け、浮遊魔法で中身を出す。


「デカっ! このベッドに一人で寝るのは寂しいっていうか、落ち着かないだろ」


「いつでも言ってくだされば私が一緒に寝てあげますよ」


「毎日誰かと一緒に寝るっていうのもな……。もう一個、自分の部屋を作ろうかな」


誰かと寝るのが嫌なわけじゃない。ただ、一人で考えたい夜もあるし、課題で遅くなると起こすのも悪い。


「それでしたらある程度余裕もありますし、今のソウジ様の部屋の隣に小さい部屋を作るのはどうでしょうか?」


「そうだな。同じ列の予備室を一個潰して、少し広めの子供部屋みたいなのを作るか。余ったスペースは倉庫で」


空中に城の図面を投影して間取りを調整。スマホで全員に共有して――


「子供達はもう寝てるだろうし、明日言えばいいや」


「そうだ、出来ればあの子達にもスマホを持たせてあげたいのですが…駄目でしょうか?」


理由を聞きながら片付けを続ける。


「ん~、確かにスマホは便利なんだけど…どうすっかな~」


「何か心配なことがあるのですか?」


「あれって、調べようと思えば何でも調べられるだろ? 俺が過保護過ぎるのかもしれないけど、それを子供達に持たせるのが怖いんだよ」


「あ~、確かにそれはありますね。たまに私ですら怖いと思うことがありますし」


……ん? ミナはいつの間にかベッドの上。掛け布団はソファーへ。“バスタオル”がベッド中央に広げられている。


「………そのベッドの上に広げられてるバスタオルは何?」


「こっ、これはですね……その、初めてはシーツが汚れるからとリァーㇴ―――」


最初は赤面、声はどんどん小さくなり、最後は聞き取れない。だが、分かる。


「少し前にも言ったが、当分子供を作る気はないんだから、別に今すぐってわけじゃなくてもいいんじゃないか? それに俺もこういうことは初めてだから上手く出来ないだろうし、かなり痛い思いをするかもしれないぞ」


「それでも大丈夫、というかそれがいいです!」


「でも俺と一緒に寝るって駄々こねてた時は、ここまで積極的じゃなかっただろ。急にどうしたんだよ」


「この二週間、ソウジ様が私達の為に頑張っている姿を、画面越しとはいえずっと見ていて、その……凄く愛されているなと感じたというか……私も形は違えど、同じくらいソウジ様のことを愛してあげたいというか……」


ここまで言われて平常心ではいられない。


ベッドに上がり、まずは軽くキス。呼吸を合わせ、間合いを詰める。

シーツがかすかに鳴り、指先がそっと肩口をたどる。視線が絡む。額を寄せ、確かめ合うみたいに、ゆっくり――


……そこから先は、言葉より“温度”が勝った。


* * *


ということがあった。


思い出したら、またミナに抱き着きたくなる。


「あん♡ 薄々感じてはいましたが、ソウジ様ってベッドの上ではかなり積極的ですよね」


「積極的かどうかは知らないけど、お互い裸のまま抱き着くこの感じは好き……。なんて言うか、独特の温かさとか感触がいい」


「その気持ちも分かりますが、私は今のような状態も含めて、ソウジ様から求められている時が結構好きですね」


昨日ほどではないが、頬を赤くして嬉しそうに笑い、そっと布団にもぐり込む。

薄い息が肌に触れて、鼓動がまた同じ速さになる。


……そうしているうちに、けっこう時間が経ってしまっていた。ミナが着替え終わったのを確認して、机の前の椅子を軽く叩く。


「ミナ、ちょっとここに座ってくれ」


「別にいいですけど、どうしたんですか?」


「まだ左手が上手く使えないから、リハビリも兼ねて髪を結んでやるよ。髪型は完全に俺の好みだけど」


用意しておいたヘアゴムなどを出し、ネットで結び方を確認しつつ、ミナの意見も入れて手を動かす。


「う~ん、やっぱりお団子の部分が不安定ですね。最初はいいかもしれませんが、時間が経つにつれて崩れてきちゃいそうです」


「もう面倒だし、アメピンに固定魔法でも付与して安定させてみるか?」


「形はしっかり出来ているのに安定しないのが問題なわけですし、いいんじゃないでしょうか」


固定魔法で要所を留めると、拍子抜けするほどすんなり決まった。


「はい、髪型の名前は分からんけど出来上がり」


「普段は髪を結ばないので新鮮でいいですね。今度は違う髪型もお願いしますね♪」


どうやら気に入ったらしい。ミナは嬉しそうに鏡をのぞき込む。


なお、いつの間にか“俺とセッ――した女の子は必ず髪を結んでもらう“という暗黙のルールが生まれたとかなんとか。


ちなみに今日のミナの髪型は、顔の横にお団子を二つ作ったやつ。宗司的ポイントは、髪の多さを活かして“横の髪を全部お団子にせず”ストレートを残しているところ。

つまり、いつものストレートに“ふたつのお団子”を足した感じ。もっと分かりやすく言うと、金恋シ○ヴィの髪形を参考にしながら、俺達二人で前髪や横髪を微調整したのが今のミナの髪型である。


ちなみに続編は既に購入済みだが、忙しくて段ボールから出せてすらいない。

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