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世界最強の元一般人 ― 神に選ばれた落ちこぼれ、最強の“使い方”で異世界を掌握する ―  作者: ITIRiN
第4章:奪う覚悟 ―最強が初めて守るもの―

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第38話:不老という名の代償、そして訪れた影

「それでお主……自分の体に、何をしたんじゃ?」


「げほっ、ごほっ、ごほっ―――――!」


いきなりそれ聞くか!?

確かに“真面目な話”が来る予感はしてたけど……よりにもよって今それ!?

多分、現時点で一番重い質問だぞ。


おかげで飯が気管に入ったじゃねーか。


「そこまであからさまに動揺せんでもよいじゃろ。ほれ、冷たいお茶じゃ。ゆっくり飲むのじゃぞ」


あぁ……冷たくてうまい。

さっきはセリアを誤魔化すために“熱が上がる”とか言ったけど、今は本当に上がってきた気がする。


「その質問、ついでで聞く内容じゃないだろ」


「そうは言ってものう。リアーヌの治癒魔法が効かなんだ時点で、答えは限られておる。

どうせ遅かれ早かれ聞かねばならん話じゃろ?」


「…………自分で、自分に“成長を止める魔法”をかけた。

ちゃんと機能してるのかは分からないが……今のところは、問題なく働いてると思う」


「やはりか……。お主、自分が何をしたのか分かっておるのか?

それはつまり――“不老”になったということじゃ。

人として生きながら、普通の人とは違う時間を歩むということじゃぞ」


それは分かってる。

今は“成長を止めている”だけで、解除すればまた成長はする。

だが、止めていた時間のぶんだけ――他の人たちより長く生きることになる。

もう俺は、“普通の人間”じゃない。


「でも、こうしないとミナやリアとは寿命が違いすぎる。

俺だけ老けて、二人は若いままとか……先に一人だけ死ぬとか、嫌なんだよ」


「じゃがのう、お主がしたのは“問題の先送り”にすぎん。

いつかその魔法を解けば、結局お主だけが老けていく。

それが嫌でまた使い続ければ――お主だけが、この世に残ることになる」


「……最後は自殺、ってのも嫌だな。

人間が何百年も生きたら、人生に飽きて死にたくなるのかもしれないけど」


「そもそも、あやつらとお主とでは“時間の感覚”そのものが違う。

それに――一番の問題は、セリアじゃ。

あやつは普通の人間。これからも成長していく。

つまりこのままじゃと、セリアだけが“お婆ちゃん”になってしまうぞ」


「……それは、それで可哀想だって言いたいんだろ? そんなの分かってる!

でも種族で寿命が違うんだから、どうしようもないだろ!

……もう俺は、どうするのが正解なんだよ‼」


片方を取れば、片方が傷つく。

この問題は、“俺が我慢すれば済む”って話じゃない。


「落ち着け。そんなに大声を出したら、また熱が上がるぞ。

……それにな、お主も気づいておるじゃろ? この問題を解く“たった一つの方法”に」


「三人に、『俺と一緒にずっと生きてくれ』なんて言えるわけないだろ。

今は良いと思ってくれてても、数百年、数千年後も同じとは限らない。

途中で“もういい”って思っても、過ぎた時間は戻せないんだぞ」


セリアの場合はまだマシだ。

14歳で止めたとして、人間の寿命が80年なら差は66年。

だがミナとリアは――少なく見積もっても“千年以上”。

俺だったら頭おかしくなって自殺してる。


「じゃが、あやつらもこの問題には気づいておると思うぞ。

あの三人は皆、お主より頭が回る。……一度、正直に話してみるのはどうじゃ?」


「絶対に嫌だ。

そんな話をされたら、嫌でも断れねぇだろ。

もし俺の頼みを聞いたことで後悔する日がきたら……俺は責任を取れない」


「ふむ……。魔力さえあれば何でも出来るお主でも、出来んことがあるのじゃな」


「どうせ最初から気づいてたくせに、よく言うぜ」


「当たり前じゃろ。なんでも出来たら、それはもはや神じゃぞ」


俺の知ってる神は、何でもできるわけじゃないらしいけどな。

……まあ、“駄女神”だから仕方ないか。


「そうじゃ!

成長を止めるのが駄目なら、“時間を戻したり進めたり”してミナ達に寿命を合わせるのはどうじゃ?」


「絶対に駄目だ‼ うっ――!」


怒鳴った拍子に目眩がして、前のめりに倒れかけた俺を、ティアが咄嗟に支えた。


「大丈夫かの? さっきも“声を荒げるな”と言ったじゃろうに。まったく、お主という奴は……」


「それだけは……絶対に駄目なんだ‼」


「分かった、分かった。

じゃから落ち着け。……見たところ、本格的に熱が上がっておるぞ」


言われてみれば、確かに体温が上がってる気がする。


「これは誰にも言ってないが……俺の髪と目の色が“普通の日本人と違う”のは、

実年齢より“4歳若返った結果”だ。

細かい説明は省くけど、今回は運が良かっただけで……次は、どうなるか分からない」


「4歳……ということは、お主、本当は21歳なのかの? ははっ、全然21には見えんぞ。

もちろん“見た目”じゃなく、“中身”がな」


「反応する場所そこかよ。……で、ティアには俺、何歳に見えてんだ?」


「ん~、背伸びしてる17歳くらいかの」


……確か、ミナとリアにも同じこと言われたな。

そんなに子供っぽいか? いや、お前らが年寄りすぎるだけだろ。


「お茶……」


「ほれ。一気に飲むでない、ゆっくりじゃぞ」


「21歳だって言ったばっかりなのに、もう子供扱いかよ」


「じゃが、わらわが止めなければお主、確実に一気飲みしておったじゃろ?」


……否定できねぇ。

熱のせいか喉が焼けるように渇いてる。

分かってるけどさ、こういう時の冷たい飲み物って我慢できないんだよな。


「子供扱いついでに、もう一つだけ注意しておくかのう……」


「一つどころか、これからも当分は子供扱いするくせに」


「じゃが事実、お主はまだまだ子供じゃ。

じゃから一度だけ言っておく。

お主は、自分の体を“不老”にしてしまった。

それはつまり――この世界で生きていくことに、片足を突っ込んだということじゃ」


「……まあ、俺の世界には“不老”なんて存在しないからな。

そんな奴がいたら、世界中がニュースで大騒ぎだ。

元の世界に戻りたいなら、今のうちに“全部戻す”しかない」


「じゃが、今はまだ片足だけ。

もう片方の足が入る時――それは、“お主が人を殺した時”じゃ」


「……つまり、“元国王や貴族を殺した時点で、王になる”ってことか?」


屁理屈みたいだが、まだあいつらは生きている。

だから、王になるのは嫌だと思った瞬間、解放してやれば――全て解決する。

……俺の中の悩みだけ、だけどな。


「そこまで分かっておるなら、この話はもう終わりじゃ。

あとは自分で考えて答えを出すのじゃな」


「今度考えとくわ」


ちょっと真面目に言ったけど、

“行けたら行く”って言う奴が行かないのと同じで、当分考える気はない。


それからは他愛のない話をしながら、雑炊を食べ進めて――


「ごちそうさま」


「うむ。少し熱は上がったようじゃが、これだけ食べられれば問題なかろう」


「ほとんどお前のせいだろうが」


「それでよいから、お主は大人しく布団に入るのじゃ。

……ちと気になることがあるゆえ、わらわは居間に戻るぞ」


ティアにそう言われたから、というのもあるが……

正直、体の怠さが増してきた。

俺が横になったのを確認して、ティアは続けた。


「おい、気になることってなんだよ」


「ミナ達もおるし問題はないと思うが、

買い物から帰ってきたエメ達と一緒に“知らん魔力”が屋敷に入ってきてのう。

少し気になっておったのじゃ」


「誰だよ、それ。俺も行く」


そう言いながら、ベッドから体を起こす。


「これ、無理をするでない」


「いいから行くぞ。俺、自分のパーソナルスペースに知らん奴が入ってくるのが嫌いなんだよ」


「お主のパーソナルスペースはどんだけ広いんじゃ。そんなんじゃ外もまともに歩けんぞ」


「確認したら、すぐ戻るから」


「はぁ……戻らんかったら、わらわが無理やり運ぶからのう」


そう言われながらも、体調の悪い俺に合わせて歩く速度を落としてくれたティアと共に、居間へ向かう。

――そして、そこで“問題の人物”を目にした。

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