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世界最強の元一般人 ― 神に選ばれた落ちこぼれ、最強の“使い方”で異世界を掌握する ―  作者: ITIRiN
第4章:奪う覚悟 ―最強が初めて守るもの―

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第33話:王女の“旦那様”発言で、入国審査が修羅場になった件

昨日ミナが言った通り、本当にマリノ王国へ行くことになった俺たち四人は、

自国の入国審査を抜けたところで――アベルが口を開いた。


「坊主、ここまでは転移魔法で来れたが、この先どうすんだ?

あれって“一度行った場所”か“見える範囲”しか行けねぇんだろ?」


「ああ。だから、見える限界まで転移しては――を繰り返して行くつもり。

道は真っすぐでいいんだよな?」


異世界移動あるあるで“車”という選択肢もあったが、

昨日の今日で納車できるわけがない。

それに家具や服で結構使っちまったしな。

……まあ、ここ最近で一番金を使ったのは、ブラックカードを作った時だけど。


現金払いは面倒だし、カード上限も気になって調べたら――

「銀行に五千万預ければ作れる」と書いてあった。

だから、作った。

もちろんリアたちには完全に内緒。バレたら確実に怒られる。


「はい。ここを真っすぐ進めば入国審査の門まで行けますけど……

えっと、どうしてそんなに私を見ているんですか?」


「いや、ミナが着てるそのコート、結構な値段したなーって思って」


みんなに買ってやった服も安くはなかったが、

ミナのコートだけは桁が違う。

普段着がドレス調な分、それに合うコートを選ぶと値段が跳ね上がるのだ。


「だ、だって昨日ソウジ様が“ミナに一番似合いそうなコートを選んでくれ”って、

値段を隠したカタログ写真を見せてきたんですよ!」


「あれは元から値段が書いてなかったんだって。

……俺もあとで見てビビったわ」


「ですが、写真越しとはいえお嬢様の選んだ品は本物です。

高価なだけでなく服との相性も完璧。王族としては100点の選択でしょう。

――元一般人のご主人様に、あの金額をお願いなさるのはどうかと思いますが」


「でもよ、こいつ金めっちゃ持ってんだし、別にいいだろ?

それにこれからは王族として生きてくんだ。そういうのにも慣れとけよ」


「お前が履いてるそのブーツとコートも、けっこう高かったんだからな?

しかも勝手に騎士団全員のサイズまで調べてきやがって。

おかげで全員分買わされる羽目になったし、

“好きなデザイン選んでいい”なんて言ったせいで、注文がクソ面倒だったんだぞ」


「いやでも、これマジで動きやすいんだよ!

今までの靴とは比べ物にならねぇ。通気性もいいし、

このコートも軽いのにバカみたいに温かい!

帰ったら向こうの騎士団に自慢してやる!」


……そりゃそうだ。

それ、現役軍人用の最新装備なんだから。

頼むから他国の騎士団のサイズまで調べてくんなよ。


「はぁ……。リアはコートとか欲しくなかったのか?

半分冗談だったんだし、遠慮しなくても良かったのに」


「いえ、今回は長距離移動というわけでもありませんので……。

ご主人様がご用意くださった、この――国家レベルでも見たことがないほど頑丈な防御魔法付きのメイド服で十分です」


「気付いてたのか。まあ、俺の服以外は全部付与してるけどな」


「お嬢様、ティア様、セリア様、エメ先輩、セレス様も気付かれていますよ。

ただ――何故ご自身の装備だけそのままなのです?

私達からすれば、ご自分の安全を最優先にしていただきたいのですが」


「俺のは服じゃなくてコートに付与する予定なんだけど、

まだ気に入ったのが見つからなくてな」


……やっぱ特注にするか。けどセンスが皆無なんだよな、俺。


「はあっ⁉ マジかよ! ちなみにどれくらいの防御力があるんだ?」


「……これくらい」


そう言って俺は頭の中で妖刀“ムラマサ”を思い浮かべ、

現れた刀を抜刀――そしてアベルの体を思い切り斬りつけた。


「――――――ッ⁉ しっ、死ぬかと思った……!」


力任せに振るうだけなら簡単なんだけど……やっぱ加減が難しいな。


「さ、そろそろ行くぞ。危ないからあんまり離れるなよ」


そう言った瞬間、右腕にミナ、左腕にリアが腕を組み、

少し離れたところで腰を抜かしているアベル。

……まあ、温かいからいいか。


***


何度か転移を繰り返しているうちに、復活したアベルが言った。


「いや〜、これマジで楽だな。地面に座ってるだけで勝手に進むとか、

もう歩くのがバカらしく感じるわ」


「なんかウゼーからお前だけ馬車で行けよ。

あれも同じで、座ったままでも勝手に進むだろ」


しかもコイツ、ビニールシート敷いて汚れ対策までしてやがる。


「こんなの体験しちまったら、二度と馬車なんて乗れねぇよ。

だいたい坊主も座ればいいのに、なんで立ってんだ?」


「遠くを見たいからだ! お前ほんと置いてくぞ……ん? あれ、門じゃね?」


――そう言って、ろくに確認もせず転移したのが運の尽きだった。


「うおっ⁉ ……えっ? ええ⁉ ミナ王女⁉」


「はい。私はマリノ王国第一王女、ミナ・マリノです。

ただ今、ボハニア王国の調査から帰還しました。

入国の許可と王城への連絡をお願いします」


「はっ、はい! では、恐れ入りますが身分証のご提示を!」


ミナたちはポケットから金色のメダルを取り出し、光らせて見せた。

門兵が確認し頷く――が、その後、俺を見て目を丸くする。


「……そちらの男性は、どちら様で?」


……やっべ。

本当は門の手前で別れて、呼ばれたらこっそり入る予定だったのに。


「そっ、それじゃ俺はこれで――」


「この方は、私達の旦那様です。このことも王城へ報告をお願いします」


ミナの一言で、門兵たちが一斉に俺を見た。

“王族の夫”――その響きが一瞬で周囲を凍らせた。


「こっ、怖い……」


「はっ! 私としたことが……ソウジ様に注目が集まる可能性を失念していました。

すぐに王城へお連れしますので、もう少しだけ我慢を」


「いっ、いや、俺はどこかで待ってるから!

荷物運ぶ時だけ呼んでくれれば!」


「坊主が考えてたのは――“荷物運びの時だけ入って、

誰にも会わずに帰る”って感じだろうけど、それは無理だろ。

三人分の荷物が一気に消えたら怪しまれるに決まってる」


「……もしかして、俺、嵌められた?」


「今さら気付いたのかよ。てっきり別の策でもあるのかと思ってたぜ」


あのときは、怒らせた二人をどう宥めるかで頭がいっぱいだったんだよ……。


「いついかなる時も冷静に、ですよご主人様。

私達が怖いからといって思考力が鈍るようでは、まだまだです」


「もうさあ、何でもいいから、とにかくここから離れたいんだけど。

さっきから人がどんどん増えてるし……っていうか、あそこ――高台の上で弓構えてる兵士、見えるんだけど!?」


千里眼を使って確認すると、

確かに――王都の高台から弓兵たちが一斉にこちらを狙っていた。


「さすがにそれは無いだろ。いくら坊主が怪しくても、姫様がいるんだぞ」


ミナとリアは、俺の怯えっぷりから状況を察してすぐに警戒態勢に入った。

一方でアベルだけは俺の言葉を信じずに余裕の表情を浮かべていたので――

仕方なく視界を共有してやることにした。


「……うわっ⁉ マジじゃねぇか!

しかもあいつら、魔法併用型の弓兵だ!

坊主一人狙うくらい、朝飯前だぞ!」


「どうにかしろよ‼ お前、仲間だろ⁉」


「そんなこと言われても、この距離じゃどうにもできねぇって‼

こういう時こそ坊主の魔法だろうが!」


「俺の戦闘経験は、空飛ぶドラゴンを一人で倒した一回だけだ‼

無理に決まってんだろ‼」


「ドラゴン倒せるなら、あんな奴ら余裕だろ!」


「ご自分の仲間を“あんな奴ら”呼ばわりするのはどうかと思いますが……。

まあ脅しかもしれませんので、落ち着いてくださいソウジ様。

それに――もうすぐ王城から何かしらの連絡が――」


「「「「ッ⁉――――――――!」」」

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