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世界最強の元一般人 ― 落ちこぼれ天才、最強の『使い方』で人生逆転!  作者: ITIRiN
第1章:チート幻想の終わり

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第2話:チート因子、強制インストール

この女の話が本当かどうかは分からない。

だが、神様の裏事情みたいなネタが妙に面白くて、つい聞き入ってしまっていた。


さて――そろそろ本題に戻るか。


「よし。なんで雷神じゃなくてアンタが来たのかは分かった。それで……なんの話だっけ?」


「ちょっと! 一番大事なところ忘れてるんじゃないの!?」


「えーと……マジで思い出せん」


「はぁ……もういいわ。そういうのは大抵あとから思い出すものよ」


「悪い悪い。それで、何の話だった?」


「アンタの願いを叶えるって話よ!」


「あー、そうだったな」


怪しさMAXだが、ひとまず話を合わせるしかない。


「じゃあ俺の願いを叶えるってことは、チート能力をくれて異世界で王様にでもしてくれるのか?」


「当たり前じゃない! そのために来たんだから!」


……どうする? このまま信じていいのか? 宗教勧誘の線も捨てきれんぞ。


「ということで、まずはチート能力を授けるわね」


「えっ、ちょっ待て! 何をする気だ!」


女――自称・天照は俺の抗議を無視し、掌に虹色の光を集め始めた。


「お、おい! なんだよその玉! どうする気だ!」


「決まってるじゃない。アンタの体に入れるのよ。動かないで」


「はああ!? お前、ショ○カーかよ! 改○人間にでもする気か!」


「……もしかして仮○ライダーになりたかったの? でもベルトは用意してないから無理ね。チート能力だけで我慢しなさい」


「そういう意味じゃねーよ! うわ、近づけんな!」


必死の抵抗もむなしく、虹色の玉は俺の胸に吸い込まれ――


「ぎゃああああ!! マジで体に入れやがった!」


「はい、おしまい。……さっきからうるさいわね。説明するから落ち着きなさい」


「落ち着けるか! 何したか早く言え!」


「だから落ち落ち着きなさいって!」


「無理に決まってんだろ!」


俺が叫び続けていると、自称・天照は再び掌を向け――今度は白い光が体を包んだ。


「……あれ? なんか落ち着く。これ、何した?」


「気持ちを鎮める神力よ」


さっきの虹色玉に、この光。……もう認めるしかないのかもしれん。


「はぁ……で、さっきの玉はなんなんだ?」


「あれはチート能力を授ける作業。簡単に言えば、“チート持ちになれる素”みたいなものね」


「ってことは、俺はラノベ主人公並みに最強ってことでいいのか?」


「何言ってんの。私は天照大神よ? 主人公補正なんかとは比べ物にならないチートに決まってるでしょ」


「マジかよ……なんでもアリなんだな?」


「ありあり、なんでもありよ」


「よっしゃあああ!! 最高だ!」


やっぱ神頼みってしとくもんだな。


「じゃ、説明を続けてもいい?」


「ああ! 早く!」


「なんか急に乗り気になったわね」


「いいから!」


今の俺はプレゼントをもらったのに「まだ開けるな」と言われている子供だ。待てるわけがない。


「……まあいいわ。それじゃ“基本”からいくわよ」


* * *


「この異世界の魔法には属性がある。火・水・風・光・闇・無――六属性ね」

「六……多いな」


「普通は一人一属性。ごく稀に四属性持ちがいる」

「へえ。じゃあ俺は?」


「……全属性持ち」

「は?」


「しかも魔力量は生まれつき決まってて有限。でもアンタは規格外に多い」

「待て待て、最初から盛りすぎだろ」


「次。魔法は本来、自分の属性しか使えない」

「ふむ」


「魔法はスポーツと同じ。練習必須。難しいほど、習得できない人も多い」

「現実的だな」


「でもアンタの場合――“イメージするだけ”で、どんな魔法でも使える」

「……マジでチートだな」


* * *


「……とまあ、ざっとこんなところね」


「俺がチートだってことは分かったけど、注意点は?」


「あるわよ。一つ、人の記憶はよっぽどの理由がない限り書き換えないこと。

二つ目は――絶対に蘇生魔法を使わないこと。これは神ですら禁じられてる」


「でも蘇生魔法はあるんだな?」


「あるわ。今のアンタなら簡単に使える。

でもね――死者は絶対に元には戻らない。ただ醜い化け物が生まれるだけ」


「なるほどな。まあ、こんだけのチート能力を持ってるんだから俺には関係ない話だな。蘇生魔法なんか一生使わねえよ」


「…………」


天照は何か小さくつぶやいたが、声が小さすぎて聞き取れなかった。

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