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世界最強の元一般人 ― 落ちこぼれ天才、最強の『使い方』で人生逆転!  作者: ITIRiN
第3章:築かれゆく王の日常、そして勇者召喚の影

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第18話:ご主人様を守るのは、私達みんなの役目

俺は二人が言い合いをしているのを横目に日本へ転移し、一通りの買い物を済ませて帰ってくると――

居間のソファーにはミナとリアーヌさんが並んで座っていた。


「お帰りなさいませ、ご主人様」


「ん。……そういえばリアーヌさんって、俺が転移魔法で突然戻ってきても驚かないよな。ミナですら『あっ』とか声を上げるのに」


「それはですね、私の方がご主人様への想いが強いからです。

なので何となく気配で分かるんですよ。それから――私に“さん”はいりません!」


何そのオカルト理論。本当だったら逆に怖いわ。


「お帰りなさい、ソウジ様。あとリアーヌさん、適当なこと言わないでください」


「なんだ、適当ってことはやっぱ嘘なのか?」


「違います。私の方がソウジ様を想う気持ちは強いです!」


「……そっちかよ‼ どうでもいいわ!」


「どうでもよくなんかありません‼ これだけは譲れません!」


ティアのときも思ったが、ミナって本当にお姫様か?

子供っぽすぎる。普通、王女は大人の振る舞いをするもんだと思ってたし、

従者も注意するもんだと思ってたのに……リアーヌさんは笑って見てるだけ。

いや、全部俺の勝手なイメージだけど。


「で、実際はどういう仕組みなんだ?」


「本当のところを言うと、誰かが魔法を使おうとすると周囲に微量ですが使用者本人の魔力が流れるんです。

ですから私は驚かなかったんですよ」


「へ~。じゃあなんでミナやアベルは毎回驚いてんだ? 尚更不思議だな」


実は俺のこと嫌いで、いなくなった瞬間から意識外に追いやってる……とかだったらマジで引きこもるぞ。


「実は、それって誰でも分かるわけじゃないんです。ある程度の実力が必要ですし、

特に魔法が得意な人の方が他人の魔力を察知しやすいようで……。

私と違って、リアーヌさんは一度でそれを感じ取れるそうですよ」


「なるほどね。で、“私と違って”ってことは……アベルは?」


「ええ。アベルも魔法は普通に使えますし、実力も高いです。

ですがそういう感覚は苦手なようで、長年一緒にいる私やリアーヌさんの魔力ですら分からないみたいですね」


「アベルと違って、ご主人様は魔力量が規格外ですから、自然と感知できるようになりますよ」


なるほど。そういえば他人が魔法を使うのって、まだ見たことないな。

まあ今はいいか。


「それは分かった。で、他の奴らはどこ行った?」


「アリスちゃん達とティアさん、それにマイカさんは自分達で作った部屋を見に。

アベルは騎士団の寮、セレスさんは城内の部屋の把握に行かれました」


「ふ~ん。ってことは、一通りの変更は終わったのか?」


「はい。立場関係なく皆で意見を出し合ってました」


「まあ実際に一番拘っていたのは、お嬢様とティア様でしたけど」


「やっぱりな。みんなまだミナの立場を気にして遠慮してんだろ」


「いえ、それは無かったのですが……謁見の間や玉座の間のデザインは経験が無いと意見を出しにくいようで。

そこをお嬢様とティア様が主導しただけです」


「まあ、それなら問題ないな。……ところで“バツ”を付けた部屋は弄ってないだろうな?」


「もちろんです。ただ……どうしてキッチンとリビング、それに居間を一つにまとめたんですか? 普通は分けますよね」


そう。この城ではキッチンとリビング、居間が繋がって一つの大部屋になっている。理由は単純だ。


「まずキッチンだが、ここはアリス、サラ、エレナ、リーザ、セリア……

それから教育係のエメさんと、メイド長のリアーヌさんが主に使う。

次にリビング。ここは住人なら誰でも自由に使っていい。勉強してもいいし、軽い会議に使ってもいい。

もちろん食事やお茶の場としてもな。そして最後に居間。

ソファーやテーブル、椅子もあるから、休憩や雑談の場にしてくれれば嬉しい」


「つまり、ご主人様は――ここを"みんなの集まる場所"にしたいわけですね?」


「そういうことだ。建物が広すぎて顔を合わせる機会が減りそうだからな。

“ここに来れば誰かがいる”って部屋を一つ決めておくなら、ここが一番いい」


仕事が始まれば自然とメンバーは分かれてしまう。

『俺、ミナ、ティア、マイカ』と『アリス達五人、エメ、リアーヌさん』。

そうなると、橋渡し役はセレスさんとアベルぐらいになる。

けれど集まれる場所を作れば、普段は交わらない組み合わせでも自然と顔を合わせられる。


「なるほど。今まで見たことのない部屋の作りだと思ってましたが、そういう理由だったんですね。

身分に関係なく、平等に接しようとする……ソウジ様らしい考え方です」


「別に大したことじゃないさ。単純に、その方が俺が楽だから選んだだけだ」


「……前の旦那様とはまるで違いますね。良い意味で」


ん? そういえばエメに頼みごとをしてたから、今までキッチンにいたのか。


「でも、キッチンにいながら居間の会話が聞こえるのも悪くないでしょ」


「そうですね。本来なら使用人が主の会話を聞くなんてあり得ませんが……」


「残念でした。この城では俺がルール。よっぽどのことじゃない限り譲りませんよ」


「では早速ですがご主人様。私のことは“リアーヌさん”ではなく“リアーヌ”と呼んでください」


「なんでそこでリアーヌさんが出てくんだよ⁉ 今いい感じにエメと話してたとこだぞ!」


「いえ、ですがご主人様が『この城では俺がルールだ』と仰るのなら、

もしもの時にブレーキをかける人が必要ではありませんか?」


「……まあ確かにな。ただの独裁にはしたくないしな」


「ですので、その役はぜひ私にやらせていただきたいのです。

ご主人様の側で、間違った道へ行かれぬように」


……あれ、話の方向変わってきた?


「おっ、おう……お願い……します?」


「はい♪ それではまず、呼び方から直しましょう」


やっぱりそれか! 逃げ道ねーじゃん!


「そ、そうだ! エメ、例の件は終わりましたか?」


「はい。旦那様から預かった野菜は全て切り分けておきました」


「結構な量を任せてしまってすみません。あとは俺がやりますので、どうぞ休んでください」


俺はそう言ってキッチンに逃げ込んだ。


「さっきはリアーヌさんがソウジ様に注意をすると言いましたが……

本来はこのお城に住む全員の役目でもあります。ですから、もし何かおかしいと思ったら遠慮なく指摘してあげてください」


「承知しました、ミナ様。私達が絶対に旦那様を悪い道へは行かせません」


「エメ先輩も……ご主人様のことを気に入ったのですか?」


「ええ、気に入ったのは確かです。

ただ、私の場合は“好意”というより“姉”のような感覚ですね。

ですから、支えるというよりは見守ることの方が多くなると思います」


――なあ君達。キッチンにいる俺に丸聞こえって分かってて、その話してるよな?

まあいい。立場がどうあれ、意見を言ってくれるのは助かるからな。


……守られるのも、悪くない。

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