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【最強チート×重愛ハーレム】 最強チートも王女もメイドも美少女ハーレムもあるのに、異世界生活がハードモードすぎる――負けても迷っても、美少女たちは俺の隣を離れない  作者: ITIRiN
第15章:五歳児になった最強――白崎宗司のかけら

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第179話:二つの顔とその代償

side:ブノワ


『自分はもう貴族のユリー・シャーロットではなく、ユリーという名前の普通の女の子であり、それを許してくれたのは誰でもない、この国の国王ことソウジ・ヴァイスシュタインなのだから、その人自身がそれを認めてくださる限りは、誰からも文句を言われる筋合いはない』


といった旨の……確かな事実をユリー君が自分の口から発したその瞬間、彼女にしては珍しく本気の怒気を露わにさせたと同時に、サイレンス・フィールドと、それの中にあるもの全てが見えなくなるヴェール・フィールドの二重結界を張ってから五分程が経った頃。


二人が結界の中でどんな会話をしているのかは分からないし、何よりも今までの人生で女性同士のいざこざに割って入っていいことがあった試しは一度もないため、大人しくリサ君が半殺しにした襲撃犯共を見張りながら、それが解かれるのを待っていた私の目の前には、


結界が張られる前と同じように向かい合っている問題の二人と、未だに泣きながらユリー君の許しを請う息子の姿が再び現れ、そのままレミアさんは私の隣に、ユリー君は息子に対するお説教を再開し始めたのを受け、そんな姿をこうして間近で見られることを、心のどこかで少し嬉しく思いながら、


「どうやらその様子ですと、お互い口だけで済んだようですね」


「ふん、大人かつ一国の王妃でもあるこの私が、自分の子供達と同年代の小娘ごときに手なんか出すわけないでしょうが。……なに、もしかしなくても馬鹿にしているの?」


「そんな滅相もない。ただ、ご自分のことを大人かつ一国の王妃だとか、ユリー君のことを小娘呼ばわりされる割には、随分と“無理”をされていたようでしたので」


「そこまで言うなら素直に“無理”じゃなく“ムキ”になっていたって言ったらどうなのかしら? あとあなたの今の顔と雰囲気……ウチの国民が見たらビックリするでしょうね。逆にこの国で暮らす人達にとっては、そっちの方が慣れ親しんでいるというか……こっちが平常運転なんだなって印象を抱いているからこそ、現在進行形で誰も何とも思っていないんでしょうけど」


「息子の前ではいつも、国王としての威信を維持するためという嘘の建前をワザと醸し出しながら行動するように心掛けていますが……」


と、そこで一旦言葉を切った私は、普通の父親というものがこれで合っているのかは分からないものの、自分の子供である“ソウジ”が与えてくれたもう一人のブノワ・マリノ……“ブノワ”へと意識を切り替え、


「最初から心身ともに本当のあの子の母親として接し続けておられるレミアさんとアンヌさんとは違い、いくら本当の父親として同じように接してあげたいと思っていても、私とレオンは同時に一国の命運を握っている立場側の者。やはり、ある種の威圧感を維持し続けることにより、お互いある程度距離を離しておかなければいけないと頭では分かっているのですがね。そうやって強がって我慢するのも結構キツイものがあるのですよ……特に最近は」


今自分が言った通り、私とレオンは息子の父親であると同時に一国の重鎮であり、彼には申し訳ないが、正直な話、最初の方はレミアさん達とは違い、かなりの比重を後者へと向けていた。


「マリノ家・アロン家の一人の子供としてではなく、表には出さないようにしていたとはいえ、新しく増えた家族としてよりも両国の繋がりって部分にもっとも重きを置いて行動していた人が言うと説得力の欠片もないわね、と皮肉で返すべきなのか……そんな性悪男二人を、実は息子にデレデレなパパへ変えてしまった……私達の愛おしくて堪らないソウジの魔性的な魅力を、あの子の全てを自慢するように誇ればいいのか……。今のあなたに対してするべき行動はどちらなのかしら、ね?」


これでもかというほど意地悪な笑みを浮かべながら、一人の人間としてではなく、一国の国王として取った私達の過去の行動を――そして今更手のひらを返したところでもう遅い、といったニュアンスの話をしてきた直後。


つい先ほどユリー君相手に見せたものとは比べ物にならないほどの怒りと殺意を、しかし今回のものは、どれだけ近くにいようとも私以外の生きとし生ける生物には一切感じ取れないよう……比喩でもなんでもなく、この世でこんな化け物じみた芸当ができるのは、彼女を含め片手で数えられるほどの者にしか不可能であろう、繊細にして精密な、そして恐ろしすぎるそれをこちらへ向けてき、


「いい機会だからハッキリ言うけれど、あなた達が微塵も気付かれていないだろうと思ってソウジに取っていたそのクズみたいな言動及び思考はおろか、私やアンヌを含めた周囲の人間はもちろん、自分でも気付けないくらいごく僅かであるがゆえに、無意識のうちに発してしまっている真っ黒な感情すらも、あの子は全て気付いていた。……嫌でも勝手に気付いてしまっていた」


「………………」


「にも関わらず、お互い何事もなかったかのように……ましてや片方は最初から何もなかったかのように普通の父親面しているのが気に食わなくて仕方がないのだけれど……病院で寝落ちしていたソウジの頭の中を魔法で覗いたティア曰く」


『それでもブノワの親父とレオンの親父は、ウチの父親とは何かが違う気がする。違う気がするし、何よりもミナとリアが二人の前で見せる普段の何気ない仕草や態度・表情が、全てを物語っていると言っても過言ではないだろう。しかし、だからと言ってお母さんや母さんみたいに実の息子として接してほしいというわけではない……というよりも、最初からそんな風に近くにいて愛情を注いでくれている母親二人が異常なだけで、逆に親父二人の態度が正常といえるわけで』


『ましてや後者に関しては、国王とその側近。いくら娘の婚約者とはいえ、俺は俺で別の国の国王という立場にある以上、損得勘定・様子見・etc.は当たり前。そんな男相手に心を許すなどもってのほか』


『…………………………』


『最近のミナやリアみたいな普通の親子関係みたいにとまでは言わずとも、いつかはお互い裏表なしの状態で酒とか飲みたいというか……完全にこっちの一方的なものとはいえ、実父とはもう一生そういうことができない・したくないっていう拒絶反応が出る領域にまできてしまっているってのもあるから………ッチ、やっぱり最初にああいうことをされたっていうのが大きすぎて無理かもしれねえな』


『まあ、相手が変わっただけで父親と上手くコミュニケーションが取れないのは元からだし、溺愛一歩手前か、完全に両足を突っ込んでいるかっていうレベルで接してくれる母親が新しく二人もできたって考えれば別にいっか。というか、それだけで十分幸せ過ぎるっつうの、マジで』


「と、まあ今のあの子の気持ちはこんな感じらしいのだけれど……ここまで話せば、なんで私があなたに対してここまでの怒りを向けているのか分かるわよね?」


side:レミア


そんな私の問いかけに対して何か言い訳をするわけでもなければ、でもそれは――などと言い返してくるわけでもなく……ミナとソウジの父親であり、私の旦那でもある彼から感じられるものといえば、


(意図的にソウジに関する部分の感情を無くすことによって己の愚行から目を逸らし、今後の業務及び生活に支障をきたさないようにしようとする、大勢の人の上に立つ者としての最善方法を取っているにも関わらず)


(そこから垣間見える……後悔の念)


「お互い過程や理由は違えど、そうやって自身の間違いに気付いた時にはもう既に遅かったって結末に辿り着くなんて……とんだ皮肉ね」


「………………」


(微塵も分かりたくなかったけれど、こうして自分が同じ状況下に立たされると、ソウジの母親の気持ちが少しだけ分かる気がするわ)


「とまあ、ここまで好き勝手言わせてもらったけれど……今のあなた達二人がソウジのことを自分の息子として認識していることはもちろん、実の娘であるミナやリアーヌと同じように接するようにしていることは、普段の様子を見ていれば分かるし……あとはもう、あの子次第ってところなんじゃないの?」

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