第13話:王国初陣! メイド・騎士・ロリババァで国家再編スタート!
俺がティアとの会話で盛り上がっていると、ミナが口を開いた。
「ソウジ様。ティアさんと仲良くなるのは良いですが、まだ紹介が残ってますので……」
「あっ、悪い。続けてくれ」
「はい。それでは次にメイドの子達ですが――右からアリスちゃん、サラちゃん、エレナちゃん、リーザちゃん、セリアさんです。年齢は五人とも十四歳。皆ソウジ様の下で働きたいとのことでしたので、新人メイドとしてエメさんとリアーヌに面倒を見てもらいます」
これまた見事に髪の色がバラバラだ。
アリスは金、サラは薄いピンク、エレナは銀、リーザは茶、セリアは黒に近い紫。
正直覚えるのが大変なので、しばらくは髪の色で判別させてもらうか。
「分かった。アリス、サラ、エレナ、リーザ、セリア。俺は失敗したからって怒ったりしないし、気楽にやってくれ」
「駄目ですよ、ご主人様。その言い方では怖がって余計に萎縮してしまいます」
確かに、五人とも返事に困ってるような顔をしている。
「あー……。俺一人じゃ何も出来ないからさ、良かったら五人で助けてくれないか?」
「ぷっははは! お主は本当に子供の相手が下手じゃのう。言ってることは良いのに、喋り方が固いせいで台無しじゃ」
「俺は子供の相手が苦手なんだよ。……というか俺のメイドなら笑ってないで助けろ」
「仕方ないのう。メイドだろうが何だろうが、好きな呼び方をしてよいそうじゃぞ? ほれ、アリスは何と呼びたいんじゃ?」
……そんなこと一言も言ってないんだが。
ティアは勝手に話を進め、アリスに優しく問いかける。
「えっと、私は……お兄ちゃんが良いです!」
「サラは?」
「うちはソージ兄!」
「じゃあエレナは?」
「私はご主人様でお願いします」
「エレナは真面目じゃのう~。リーザは?」
「えっと……ソ、ソウジ様って名字あるです?」
「ん? ああ、白崎だ」
「じゃあ……サキ兄で」
「……お、おう。サキ兄は予想外だな」
「これこれ、余計な感想は言わんでよい。最後にセリアは?」
「私は普通にソウジでいいわ」
……正直「お兄ちゃん」とか呼ばれるのは勘弁してほしい。全員セリア方式でいいんだけどな。
「旦那様。教育係としては、その呼び方や喋り方は少々気になるのですが……」
「別にいいですよ。誰であろうと身分なんて関係なく、俺のことは好きに呼べばいいし、好きに喋ればいい。ティアなんて俺のメイドなのに、ほとんど友達みたいでしょ? ……まあ、客人の前では勘弁してほしいけど」
「承知しました。旦那様がそう仰るのでしたら私からは何も言いません。ですが、それとは別に――礼儀や言葉遣いを練習する時間だけは、お許しください」
「はい、それでお願いします」
「では私も、ソウジ様ではなく旦那様と呼んでいいですか?」
「いつから俺はミナの旦那になった。却下に決まってるだろ」
「え~、私は構いませんのに。ねえ、リアーヌ?」
「はい。私も旦那様とお呼びしたいです」
そのうち勝手にミナの親に紹介されたり……なんてことは、さすがに無いよな。
まあ、二人のことは嫌いじゃないけど。
「だいたい俺は、誰が相手だろうと結婚する気はまだないぞ」
「……それでは次です。宰相兼秘書はマイカさんにお願いしました」
黒髪セミロングの女の子――マイカ。
胸はリアーヌより少し大きいくらい。……って俺は何を見比べてるんだ。
「宰相と秘書を一人にやらせるのは大変すぎないか?」
「大丈夫です。宰相は私も兼任します。マイカさんは秘書として、ソウジ様の補佐をお願いします」
「他国のお姫様が宰相? また乗っ取る気か? こっちは乗っ取ったばかりなんだからやめてくれ」
「そんなことしません! 私はソウジ様を守りたいのと、一国の王として教育するためです。(出来るだけ一緒にいたいのも本音ですが)」
「……最後なんて言った?」
「お嬢様。お仕事とお気持ちを一緒にするのは如何かと」
「リ、リアーヌ! 聞こえてましたか!?」
「ええ、バッチリ」
……ミナが顔を赤くするなんて意外だ。やっぱり十九歳の普通の女の子なんだな。
「う~、リアーヌだってソウジ様を口実にサボらないでくださいよ」
「勿論しません。……ご主人様に求められたら話は別ですが」
「なっ……それはズルいです! 私もメイドになります!」
「ミナよ、専属メイドはわらわがやっておるから安心せい」
「二人ともズルいです‼」
「おい姫様、そろそろこっちの紹介もしてくれ」
「あっ、はい。……ソウジ様。この国の騎士団団長はアベルに任せました」
「おう坊主、よろしくな」
……部下になっても俺は坊主呼びか。まあいいけど。
「それから団員は計百二十人。ただし十人は不採用にしました」
「理由は?」
「上に立つことしか考えておらず、国のことなど一切考えていなかったからです」
「まあ、野心を抱くこと自体はいけねぇとは言わねぇが……あの十人は最初っから坊主を主と認める気がなかったな。下手すりゃ、そのうち坊主を消すつもりだったかもしれねぇ」
ふむ。全員が俺を認めるなんてあり得ない。だが、この二人の話だけで判断するのも危険だ。
「なあ、ミナとアベルの話は本当か? 正直に答えてくれ」
「えっ? まあ……確かにあいつらは出世のことばかり気にしてましたね」
「俺も聞きましたよ。ソウジ様が王様になるって宣言した後に『あんなガキなら余裕で王の座を奪える』って」
……やっぱりか。俺一人なら簡単に潰されていただろう。
だからこそミナたち三人の協力は本当にデカい。
「オッケー、情報提供ありがとう。今後俺に何か不満とかがあったら、アベルにでも伝えてくれ。内容にもよるけど、出来るだけ解消するようにするから」
「アベル、その時は必ず私にも伝えてください。絶対にソウジ様お一人だけに任せては駄目ですよ」
「分かってる。坊主の心遣いは良いことだが、こいつらを甘やかし過ぎるのは問題だしな。上に立つ者が何でも言うことを聞いていたら威厳がなくなる」
「これはわらわも、こやつの教育を手伝った方が良さそうじゃな」
ティアの言葉にリアーヌさんが頷いているのを見て、
やっぱり俺は王としてまだまだ甘いんだと痛感した。
きっと処刑の件を保留にしたことも……その証拠だ。
結局のところ、現実の王様は小説みたいに“良い人”だけじゃ務まらないってことか。
「はいはい、教育の件は後で。――ということで、こちら二十人には警備を続けてもらいます」
「これで全員か。……最後に俺からも言っておく。俺は別世界から来た一般人だ。だから皆に頼ることが多いだろうが、その時は助けてくれ」
そう言って頭を下げると――
「なんか前の陛下と比べて、随分と腰が低ぇな」
「だよな。あのクソ陛下の下で長かったから、調子が狂うぜ」
「前の陛下みたいな奴も珍しいけど、今回の陛下も別の意味で珍しいな」
「っていうか見たことねぇよ!」
「「「あははははは‼」」」
……なんか騎士団の連中を中心にめっちゃ笑われてるんだけど。
「なあミナ。俺、馬鹿にされてるのか?」
「逆です。皆さん、ソウジ様を褒めているんですよ」
「……なら良いか。あとは失望させないよう頑張るだけだな」




