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世界最強の元一般人 ― 落ちこぼれ天才、最強の『使い方』で人生逆転!  作者: ITIRiN
第2章:王になるという選択

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第10話:この国、俺が乗っ取る

あれから四人でどうやってボハニア王国を乗っ取るかの作戦会議をし、話がまとまったのは夜中の一時過ぎ。

その後は三人を客室に案内したり風呂に入ったりして、気づけば二時過ぎ。結局寝られたのは四時間だけ。今日の俺は朝六時起きである。


は〜あ、眠い……。最近は一人だったから朝飯なんて適当に済ませてたのに、今日は作らなきゃいけない。面倒くせぇ。こんなことを毎日やってる母親ってマジですげーな。


そんなことを考えながらリビングに行くと、リアーヌさんが背筋を伸ばして立っていた。


「おはようございます、ソウジ様」


「ああ。……ちなみに何時から?」


「確か五時頃からですね。メイドが一番に起きているのは当然ですから」


「…………」


昨日、ブレインリンクでエアコンの使い方を教えておいて本当に良かった。俺は寝る前に暖房を切る派だから、もし知らなかったら一時間も寒い中で立ちっぱなしだったぞ。


「もしかして何かまずかったでしょうか?」


「いや、そうじゃない。ただ……ずっと立ってたのか?」


「はい。変ですか?」


「いや変っていうか……誰もいないんだし座ってていいんだぞ」


「メイドが自室以外で座るなんてあり得ません」


「くだらねぇ。他ではどうか知らんが、うちじゃ常識の範囲なら自由でいい。……まあ今日の作戦が成功すれば、次来る時はもう来客扱いか。さすがにその時は無理だな」


「ふふっ、そうですね。折角そう言っていただけたのに残念です」


なにその笑顔。まさか今後うちに住むとか言わないよな。別に嫌じゃないけど。……考えるのやめよ。


その後、一緒に朝飯を作ることになり、準備が整った頃に残りの二人も起きてきた。


「なんで坊主だけサンドイッチじゃなくて白くて三角の塊を食ってるんだ?」


「俺はパンが嫌いなんだよ。あとこれは“おにぎり”だ」


「私はソウジ様から一ついただきましたが、確かにパンとは全然違っていました」


「ですがこのサンドイッチも、いつも食べる物より美味しいですよ」


そりゃそうだろ。具材もパンも全部地球のやつだ。現地のパンと比べたら勝負にならん。


* * *


朝飯を終え、人が動き始める十時過ぎ――


「よし、そろそろ行くか」


「なんだ坊主、随分とやる気じゃねーか」


「うるせぇ。さっさと準備しろ。置いて転移するぞ」


「おい待て! それは鬼畜すぎるだろ。ボハニアまで歩いたら検問で俺だけ捕まる!」


「それが嫌なら四十秒で支度しな」


「無理だって! 絶対置いてくなよー!」


アベルは慌てて部屋に荷物を取りに行き、入れ替わりにお姫様とリアーヌさんが戻ってきた。


「お姫様は現地の服だけど、リアーヌさんは俺があげたメイド服のままでいいのか? 生地や作りが違うから気付かれるかもしれないぞ」


「メイド服でしたらあまり大差ないので大丈夫ですよ」


「う〜、リアーヌだけズルいです。ソウジさんから頂いた服を着た後にこれを着ると、すごく着心地が悪く感じます」


「お嬢様のお洋服も変装用とはいえ、かなり高価な物ですよ」


やっぱり現地服の着心地は悪いのか。コートも日本で探すか……でも前にいいの見つからなかったんだよな。


「はぁはぁ……よかった、まだいた」


「やっと来たか。んじゃ、移動するから俺から離れるなよ」


三人が集まったのを確認し、転移魔法を発動させた。


* * *


「……スッゲー、本当に転移しやがった!」


「昨日もやっただろ。ほら、警備に見つかる前に中に入るぞ。ギルド近くに飛んだのはそのためだ」


「運良く目撃者は少なかったですが、騒ぎになる前に急ぎましょう」


「リアーヌの言う通りです」


俺たちはギルドに入り、例のおばちゃん(ギルド長)の元へ。


「おや、ソウちゃんじゃないか。今日はどうしたんだい?」


「ソウちゃんって俺のことか? ……まあいいや。緊急クエストを頼みたい」


「内容と報酬次第だね」


「依頼は、俺が指定した場所に行って怪我人や病人を全員ギルド前へ連れてくること。軽傷・重病関係なく、自力で来られない人を優先。報酬は一人につき千円。ヤラセや取り合い、窃盗をしたらペナルティーあり」


「う〜ん。ソウちゃんを疑うわけじゃないけど、その依頼は通しづらいね。報酬の面で冒険者達の信頼を得にくいだろうし……高位の誰かが保証してくれれば話は早いんだけどね」


問題ない。こっちには本物のお姫様がいる。


「では、マリノ王国国王の娘、ミナ・マリノが保証いたします」


「……一人でドラゴンを倒したかと思えば、今度はマリノのお姫様まで。アンタ一体何者だい?」


「ギルドって相手の素性を探らないんじゃなかったのか? ま、すぐに俺が何者か分かる。だからそれまで待ってな」


「“何者か分かる”じゃなく、これから“何者かになる”だろ?」


「確かに。今のソウジ様は、ただの素敵な男性ですからね」


「あははは。それじゃあ、ソウちゃんが“何者かになる”のを楽しみにしてるよ」


* * *


依頼書にサインし、俺たちはギルドの屋上へ。

プロジェクシオン(投影魔法)とアンリミテッド・ヴォイス(音声拡張魔法)をボハニア各所に展開し、隣にお姫様がいるのを確認して――


「準備完了。アベル、スマホのカメラを起動しろ」


「おう、これで……よし映ってる」


音声チェックも必要だな。


「あー、あー。マイクテス、マイクテス」


「あの〜、ソウジさん……。ちなみに今は何をしてるいるのですか?」


「何って、マイクのテストという名の遊びだろ」


「遊ぶのも結構ですが、ソウジ様。……今は私達、群衆の視線を一身に集めています。ギルドの屋上ゆえ攻撃されていませんが、警備兵はもう臨戦態勢ですよ」


「大丈夫、大丈夫。最初にやられるのは、背中を向けてるアベルだから」


「ふざけんな! さっさと始めろ!」


一応オートバリアは展開済みだ。……でも面白いから、しばらく黙って観察してやろう。さて――


「えー、唐突ですが発表しまーす! 今からこの国、俺が乗っ取ります。……まずは邪魔なクズ共、まとめて消しまーす!」


……あれ? 騒ぎになると思ったのに静かだな。まあいい、掃除開始だ。


ということで、俺は早速セレクト・ジャッジメント(選別魔法)と転移魔法を発動した。


対象は――この国に巣食うクズ共。

行き先は昨日わざわざ用意しておいた牢獄だ。もちろん、そこは魔法使用不可・外部遮断の結界付きだ。

……脱出なんて夢のまた夢だな。


はい、お掃除終了っと。


「さて、皆さんの周りからクズはいなくなりましたか?」


……反応がない? 失敗したか? それはマズ――


「「「「「うおぉぉぉ‼」」」」」


「横暴だった貴族が消えたぞ!」


「暴力兵士も消えた!」


「こっちもだ!」


街のあちこちから喜びの声が上がり、お姫様たちも笑顔を見せた。

あとは――


「お姫様、頼む」


「はい。……私はマリノ王国国王の娘、ミナ・マリノです。まずお知らせいたします。怪我人・病人の方は全員ギルド前へ集合してください。自力で来られない方は冒険者の方々が運んでくださいます。ご安心ください」


自国のお姫様ではないが、隣国のお姫様なら誰もが知っているはず。呼びかけに応じてくれるだろう。


「最後に――城内に残った者、上層階級、兵士は全員王城に集まるように」


これで準備は整った。牢獄に送った連中の家には防御結界も張ってある。

――さあ、あとは次の一手だ。

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