【翌朝・未来都市「I」各地】
ー静かに始まった、わずかな異変ー
駅前広場にて、、
朝のニュースが巨大スクリーンに映し出されている。
「本日もMEは安定供給中です。皆様の生活を守る、Maguma Energy——」
が、その画面が一瞬だけチラつく。
砂嵐のようなノイズが入る。
すぐに元に戻るが、通行人の一人がふと足を止めて振り返る。
「……今、変じゃなかった?」
誰も答えず、足早に通り過ぎていく。
研究所にて、、、
MEを管理する中央ステーション。
オペレーターの一人が眉をひそめる。
「温度センサーの値、微妙にズレてる……補正入れときますね」
「いつも誤差あるし、気にすんなよ〜」
モニターの隅、0.001%だけ数値が“上”にブレている。
植物園にて、、、、
気候制御された室内。咲き誇る花々の中で、管理者の女性が小さく呟く。
「……この花、咲く時期じゃなかったはずなのに」
手に取った花の蕾が、いつの間にか色づき始めている。
高台のビル屋上。。。。。
風を受けてフードを脱いだ男の横顔が一瞬映る。
まだ“誰か”は明かされない。
しかし、彼の視線の先には——未来都市「I」の中心部。
その目だけが、世界とは違う時を見ているようだった。