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「数百年後の世界」
剛は、震える指でデバイスを受け取った。
無意識に親指が表面をなぞる。
直後——。
視界が暗転する。
まるで意識が吸い込まれるかのように。
次の瞬間、剛の目の前に広がったのは、崩壊した未来の都市だった。
巨大なビルは崩れ落ち、
赤黒い空の下、人々はマスクを手放せず、
子どもたちは咳き込み、倒れていく。
地面はひび割れ、
川はどす黒く濁り、
街灯は無残に折れ、
その隙間を縫うように、異形の植物が這い回っていた。
——この世界は、終わっている。
映像の中、最後に映ったのは。
陽介だった。
かつての無垢な笑顔ではない。
その目は、どこか空虚で、何も映していない。
その陽介が、機械仕掛けの玉座に腰かけ、
静かに、そして冷たく、こう呟いた。
「未来は、僕が創る。」
——バチン!
デバイスが停止し、剛はその場に膝をついた。
呼吸がうまくできない。
心臓が、痛いほど早鐘を打っている。
黒崎はそんな剛を、ただ静かに見下ろしていた。
「この未来を、君は受け入れるか?
それとも——止めるか?」
暗闇に、黒崎の声だけが響いた。




